先日、「決済の黒船 Apple Pay(日経FinTech選書)」(ISBN-13:978-4822239183)と題した著書を出させていただいた。米国でのApple Pay発表から日本上陸までの奇跡やその背景、そしてそれを取り巻くモバイルマネーの現状などを一通りまとめたビジネス書となっている。ただ、編集部の方針で読者の間口を広くとることを念頭に置いていたこともあり、本来は載せたかった情報や詳細が割愛されてしまったという経緯がある。今回は番外編ということで、連載でこれまで触れてきたNFCとモバイル決済の歴史とは別に、Apple Pay上陸にまつわる取材でのこぼれ話をまとめてみたい。
FeliCa対応は実は焦点ではなかった
今回、9月のAppleのスペシャルイベントでApple Payの日本上陸が発表される直前、発表が見込まれる新型iPhone(iPhone 7)がFeliCa対応するかが大きな話題になっていたと思う。実際、交通系ICカードのSuicaを展開するJR東日本は、スマートフォンでのモバイルSuica対応にはFeliCaチップ搭載が必須であることを公言していたし、日本国内に展開されていたFeliCaインフラの範囲を考えれば、日本で非接触での決済サービスを便利に利用するうえで重要だと考えられていたからだ。
この連載の記事
- 第16回 NFCとスマホモバイル決済の今後10年先を考える
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- 第12回 スマホモバイル決済は“決済”以外でも活用されるべき
- 第11回 Apple Pay登場の裏にあった本当の戦い
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- 第9回 将来的にモバイル端末1つで買い物も含めてすべて完結する世界になる
- 第8回 世界トップクラスのNFC先進国、韓国・ソウル電子マネー探訪記
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