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FeliCaが生き残るとは限らない 日本のモバイル決済が変わる日 ― 第16回

NFCとスマホモバイル決済の今後10年先を考える

2016年12月15日 19時00分更新

文● 鈴木淳也(Twitter:@j17sf

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 筆者が2011年にNFCとモバイル決済に関する本格的な取材を開始したころ、世界は明るい見通しに包まれていた。2010年には「NFC」に準拠した初の携帯電話がNokia、Research In Motion(BlackBerry)、Sony Ericsson Mobile Communications(ソニーモバイルコミュニケーションズ)、Samsung Electronicsなどから続々と発表され、日本ではすでに利用が進んでいた「モバイルウォレット」の世界が本格的に実現しようとしていた。それに呼応するかのごとく、世界各国では大小さまざまな国家レベルのプロジェクトが立ち上がり、本格的なインフラやサービス整備に乗り出す動きが進んでいた。このあたりは連載の第1~4回目の「モナコ編」「フランス・ニース編」「フランス・ストラスブール編」「リトアニア編」で詳しく触れてきた。

 だが技術開発による切磋琢磨が期待されたサービスは、業界同士の足の引っ張り合いや数々の困難を経て停滞が明らかとなり、インフラ整備の難しさを改めて理解するきっかけとなった。このあたりについては「Google Walletが失敗した背景」「Apple Payの裏で進行していた勢力争い」「巨大イベント開催前後での明暗(ロンドン編)」「巨大イベント開催前後での明暗(ミラノ編)」を改めてチェックしていただきたい。

 こうした困難がある一方で、着実に決済にまつわるインフラは整備されつつあり、少なくとも「非接触ICカードによる決済と公共交通利用」に関しては世界各地で年々利便性が向上しつつあるというのが6年間にわたって世界各地を巡ってきた印象だ。いずれにせよ、インフラ構築というのは数年程度で一気に拡大できるものではなく、それこそ10年や20年をかけて地道に積み上げていくものだ。「なかなか完成しない」ものの代名詞としてよく語られるスペインのバルセロナにある聖家族教会(サグラダ・ファミリア)が、技術の進化により「2026年にも完成見込み」とのプランが出て話題となったが、2016年末を前にNFCの今後10年について改めて考えてみたい。

スペインのバルセロナにある聖家族教会(サグラダ・ファミリア)は現在もなお建設中の姿を晒しながら日々観光客や信者を迎え入れている

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