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異機種・多機能ロボットの統合制御基盤に挑戦。ドコモ発スタートアップ「ROBOTS」がスピンアウト

 株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)は、同グループの新規事業創出プログラム「docomo STARTUP」を通じて、ロボット統合制御基盤およびフィジカルAIの研究開発を行うスタートアップ「株式会社ROBOTS(ロボッツ)」をスピンアウトし、事業を開始したと7月15日に発表した。代表取締役CEOには河内洸貴氏、取締役CTOには藤枝慶弘氏がそれぞれドコモから就任。同経営陣に、創立の狙いやスタートアップとしてのチャレンジについて伺った。

事業設立の背景とスピンアウトの狙い

 設立の背景について代表の河内氏は、インフラ関連の技術開発を行う中で現場の深刻な人手不足を目の当たりにし、「日本の人口減少に対する直接の労働代替策はロボティクスだ」と確信したことが創業の原点だと語る。通信や金融といったドコモのコア領域を超えた分野へ挑むため、社内制度を活用して起業・スピンアウトを選択した。

 背景には、大企業発の新規事業でありがちな既存事業と同等のガバナンスを一律適用することによる意思決定の停滞がある。これを避けるため、外部VCの知見やネットワークを活用しながら、自ら意思決定権限を持って機動的に資金調達や外部連携を行うスピード感を確保することが狙いだ。

 資本構成としては、独立系ベンチャーキャピタルのインキュベイトファンド株式会社およびドコモからの出資を受けている。投資家側からの評価として河内氏は、自社でハードウェア開発を行わないことによる高い資本効率、導入データの蓄積に伴い基盤の精度が向上する構造、そしてエンジニア自らが現場に入り込んで課題抽出から検証までを行う実績の3点を挙げている。

警備現場が抱える課題と初期ターゲットの選定理由

 同社が最初の適用領域として選定したのが人手不足と高齢化が進行している警備現場だ。2025年12月に警察庁が公表した「省力化投資促進プラン-警備業-」によると、全職業平均の有効求人倍率が1.10倍であるのに対し、警備業の有効求人倍率は6.70倍に達している。また、2024年時点における65歳以上の労働者割合は、全職業平均の13.6%に対し、警備業では34.3%を占める。

令和7年12月22日 警察庁 「省力化投資促進プラン ―警備業― 」より

 巡回や監視業務を代替・補助する警備ロボットの導入が進められているが、現場ごとに求められる作業要件が異なり、単一のロボットですべてに対応することは難しく、作業ごとに専用機を個別開発する手法では、現場環境の変化への対応やコスト抑制に課題があった。

 足がかりに警備領域を選んだ理由について、業界の切迫した人手不足に加え、すでに警備ロボットの認知や受容性が高まっていること、既存の車輪型ロボットでは対応できない課題が明確に浮き彫りになっていたためだと河内氏は説明する。

「動作レベル」での統合制御技術に挑戦

 これらの課題に対し、同社はメーカーや機種の異なるロボット、アーム、各種センサーを単一のシステムに接続し、統合制御する「ロボット統合制御基盤」を開発する。

 「従来のフリートマネジメントが主に車輪型ロボットの衝突回避や経路管理を行うのに対し、当社の基盤は異なるメーカーの足部・手部・センサー類を組み合わせ、足で目的地に近づき、手を動かして対象物に触れるといった物理動作を一体として指揮・制御する司令塔の役割を果たします」(藤枝氏)

 従来の単一ロボットでは困難であった階段や段差の移動、ドアノブ操作を伴う施錠確認といった複雑な作業への対応を目指す。

 接続対象となるハードウェアの条件は、外部制御用のインターフェースが提供されているものを想定しており、現在は海外製を中心に、現場に応じて適切なものを採用する方針をとっている。

 また、通信遅延や機体ごとの個体差による誤動作を防ぐ工夫も凝らしている。重要な制御はクラウドを介さずロボット側で直接処理して安全性を確保。ロボットにパーツを取り付けた際に生じるミリ単位のズレはキャリブレーション(機器のズレを計測し、正しい基準に合わせて調整すること)で補正する。さらに、現場で実際に動かしながらデータを学習させることで、障害物の避け方などを認識し、使えば使うほど現場環境に最適化していく想定だ。

導入コストの抑制と今後の展開

 既製の高性能ロボットやパーツを現場の課題に応じて適材適所で組み合わせる手法をとることで、ゼロから専用機を開発する場合と比較して、短期間かつ低コストでの現場導入を図る。従来のプロセスでは4〜6カ月ほどかかっていた導入準備期間について、将来的には1カ月程度まで短縮することを目指している。

 同社の基盤で制御するロボットは建物環境に合わせて動作するため、一般的に必要となる数千万円規模のエレベーター改修工事やスロープ設置工事が不要になる。さらにロボットメーカー側にとっても、自社単体では対応が難しかった複雑な現場環境へ自社製品を売り込める相互メリットが生まれるという。

 同社は2026年度中にパートナー企業との実証実験を実施し、得られた結果の検証を経て2027年度中の商用化を目指している。河内氏によると、現在は秘密保持契約を締結した企業と実証実験(PoC)および商用化に向けた準備を進めている段階だという。

「人間の物理作業の本質は『階段や段差を超えて現場へ行き、手を使って作業する』という2点に集約されます。これは建設現場や工場の設備点検でもまったく同じです。人とロボットが協働する社会を目指して、警備分野で構築した技術基盤の他産業への展開を進めていきます」(河内氏)

 将来的には、警備現場で蓄積した制御技術や運用データを活用し、段差移動や物体操作を伴う設備点検・保守、建設・土木などの他産業分野へ事業を展開していく方針だという。

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