新任チーフ育成を「役割を教える研修」から「判断を経験する実務」へ ―『チーフから始める 判断デザイン』10ページを公開
組織行動科学(R)︎
自分で判断できる人から、周囲が判断できる状態をつくる人へ。最初のリーダー層の役割転換を、日常業務から設計する
980社・33.8万人のデータを基盤とするリクエスト株式会社は、主任・係長・チームリーダーなど、組織における最初のリーダー層を対象とした実務資料『チーフから始める 判断デザイン』全10ページを公開しました。
本資料では、こうした「自らも担当業務を持ちながら、担当領域と周囲の仕事を前へ進める最初のリーダー層」を総称して「チーフ」としています。
今回のテーマは、チーフに求められる知識や役割を説明することだけではありません。
これまで自分の仕事を進めるために使ってきた経験を、周囲の仕事と成果を前へ進めるための判断へ、どう変えていくか。
さらに、自分が判断するだけではなく、周囲が事実と条件を見ながら判断できる仕事の状態を、どうつくるか。その考え方と実務への落とし込み方を、10ページに整理しました。

昇格すると、役職だけでなく「成果をつくる単位」が変わる
メンバー層では、自分に任された仕事を確実に完了することが、成果の中心になります。一方、チーフになると、自分の仕事だけでは完了しません。
- 周囲の仕事が進んでいるか?
- 必要な人がつながっているか?
- メンバーが判断できているか?
- 問題が起きたとき、誰がどこまで判断するのか?
- 経験が次の仕事へ残っているか?
見る範囲が広がります。
つまり、昇格によって変わるのは、単なる責任の大きさではありません。
成果を生み出す単位が、「自分」から「自分と周囲」へ変わります。
この変化を、役割説明だけで実現することは難しい。
だからこそ、新任チーフ育成には、実際の仕事の中で判断を担う経験が必要だと考えています。
一定の経験を積んだからこそ、「この先」を考える時期でもある
多くのチーフ昇格者には、すでに一定の実務経験があります。顧客とのやり取り。標準どおりに進まなかった仕事。関係部署との調整。問題への対応。失敗と修正。
仕事を続ける中で、入社当初には見えなかったことも見えてきます。
自社の強み。組織の制約。意思決定の特徴。評価される行動。上位者が実際に担っている仕事。
そして、自分自身の得意・不得意や、これから伸ばしたいこと。
だからこそ昇格期は、
「責任が増えるだけではないか?」
「これまでの経験を、次の役割でどう生かすのか?」
「この組織で、この先何を担っていくのか?」
と、自分の次を考える時期とも重なり得ます。
ここで必要なのは、将来像を言葉だけで示すことではありません。
新しい役割を、実際の仕事の中で経験できること。
これまで蓄積してきた経験が、周囲の成果につながることを、自分自身で確かめられること。
それが、チーフ昇格を「責任が増える節目」だけで終わらせず、「経験の価値が広がる節目」に変える一つの条件になります。
新任チーフ育成を、役割説明から「判断の実務設計」へ
役割、コミュニケーション、報告・連絡・相談、マネジメントの基礎。新任リーダーに必要な知識は数多くあります。
しかし、知識を理解したことと、仕事の中で役割が変わることは同じではありません。
実務では、その都度、何を確かめるのか。何を判断するのか。何を守るのか。誰に相談するのか。どこまで任せるのか。どこから上位者が判断を引き取るのか。
という選択が発生します。
この部分を本人任せにすると、忙しい状況ほど「自分で処理した方が早い」という従来の行動に戻りやすくなります。
そこで私たちは、980社・33.8万人のデータを基盤とする組織行動科学(R)の研究・教育開発を踏まえ、チーフ育成を次のように捉え直しました。
新任チーフ育成を、役割を教える研修から、実際の仕事の中に判断経験を設計する育成へ。
今回公開する『チーフから始める 判断デザイン』全10ページ
以下、全10ページを公開します。画像そのものが実務ガイドとして使えるよう、各ページには考え方だけでなく、仕事を見る視点、判断の境界、問い、実践方法まで視覚化しています。










「本人の問題」と考える前に、仕事の状態を見る
今回の資料で特に重視しているのが、本人の意欲や能力だけで問題を捉えないことです。- 「主体性がない」
- 「自分で考えない」
- 「すぐ答えを聞きに来る」
こうした状態が見られたとき、本人だけを変えようとすると、育成は指導や注意に偏ります。
しかし、その前に確認すべきことがあります。
- 本人が判断できるだけの情報があるか
- 何を目指す仕事なのかが明確か
- 守る条件が分かっているか
- 相談すべき境界が決まっているか
- 判断した結果を振り返る機会があるか
つまり、「判断しなさい」と求める前に、判断できる仕事の状態になっているか。
この視点を持つことで、人材育成と仕事の設計を切り離さずに考えられるようになります。
「任せる」と「放す」を分ける
人を育てるためには任せることが必要です。一方で、任せ方が曖昧であれば、本人にも上司にも不安が生じます。
すべてを自分で判断させることが、育成ではありません。
反対に、失敗を避けるためにすべて上司が判断していては、判断経験は増えません。
重要なのは、その間にある設計です。
- 本人が判断してよい範囲
- 守らなければならない条件
- 相談する条件
- 承認が必要な条件
- 仕事を止める条件
- そして、チーフや上位者が判断を引き取る領域。
ここをあらかじめ明確にすることで、小さく、安全に、本人が判断する経験をつくることができます。
答えを教える前に、判断できる「問い」を渡す
経験のあるチーフほど、メンバーより早く答えが見えることがあります。そのため、相談された瞬間に、「こうした方がいい」「前にも同じことがあった」と答えを伝えることができます。
短期的には、その方が仕事は速く進むかもしれません。
しかし、答えを受け取るだけでは、本人が何を見て判断すべきだったのかは残りません。
そこでチーフに必要になるのが、答えを伝える前に、本人が事実と条件を見るための「問い」を渡すことです。
この小さな違いが、上司に答えを求め続ける仕事と、自分で判断できるようになる仕事を分けます。
AIで「答えの候補」が増えるほど、人が判断する地点を明確にする
生成AIの活用によって、情報整理や選択肢の生成を支援できる場面は広がっています。これは仕事を進めるうえで大きな支援になります。
一方で、AIから出た内容をそのまま採用するだけでは、人の判断経験は残りません。
- 何を事実として確認したのか
- どの前提で比較したのか
- 何を守ったのか
- なぜその案を選んだのか
- 行動した結果、何が起きたのか
ここを人が担う必要があります。
私たちは、AI活用と判断力育成を対立するものとは捉えていません。
AIに任せられることが増えるほど、人が判断する地点を明確にする。
これが、AI時代の仕事設計に必要な視点の一つだと考えています。
研修室ではなく、日常業務で役割を変える
判断力は、知識として理解するだけでは定着しません。だから今回の資料では、研修そのものよりも、その後の日常業務を重視しています。
- 実際の仕事を一つ選ぶ
- 小さな判断を任せる
- 行動後の反応を見る
- 振り返る
- 条件を少し変えて、もう一度試す
- そして、本人の経験を次の判断へ使える形で残していく
この短い循環を繰り返します。
研修は、実務から離れた学習の場ではなく、次に経験する仕事を設計する場として位置づけます。
本資料の想定活用場面
『チーフから始める 判断デザイン』は、特定の企業、業界、職種を前提としていません。たとえば、
- 新任主任・係長・チームリーダー研修
- 昇格前後のOJT
- 上司との1on1
- 現場での権限委譲
- 次世代リーダー育成
- メンバーの主体性向上
- AIを利用する業務の判断ルールづくり
- 判断事例の記録・共有
- 現場の組織学習
などで活用できます。新しい研修を増やすこと以上に、現在行っている仕事そのものを、判断経験が残る仕事へ変えることを想定しています。
全10ページは以下よりダウンロードできます。
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「仕事ができる人」を増やすだけでなく、「判断できる組織」をつくる
多くのチーフ昇格者には、すでに経験があります。重要なのは、その経験の量をさらに増やすことだけではありません。経験の使い方を変えることです。- 自分の中にある経験を言葉にする
- 実際の仕事で判断に使う
- 周囲が判断できる条件を整える
- 行動後の反応を見る
- そして、その経験を次に使える判断基準として残す
これが繰り返されると、個人の経験は、その人だけのものではなくなります。周囲が使える判断基準になり、やがて組織の中に残ります。
私たちが「判断デザイン」で目指すのは、優秀な一人が多くの判断を抱える組織ではありません。
現場の一人ひとりが、必要な事実を確かめ、条件の中で判断できる組織です。
新任チーフ育成を、役割を教える研修から、実際の仕事の中に判断経験を設計する育成へ。
昇格を、責任が増える節目から、これまでの経験を周囲の成果へ広げる節目へ。
良い行動の上流には、良い判断がある。良い判断の前には、事実確認がある。
今回公開する10ページが、組織の中で「誰が判断するか」だけでなく、「どのような判断経験を残していくか」を考えるきっかけになればと考えています。

組織行動科学(R)について
組織行動科学(R)は、組織で働く人の思考と行動が「なぜ起こり、なぜ続くのか」を、事業環境、歴史、経験から解明し、より善く再現するための手段です。リクエスト株式会社は、980社・33.8万人の働く人のデータを基盤に、組織で働く成人の研究と教育開発を行っています。

会社概要
会社名:リクエスト株式会社代表者:代表取締役 甲畑 智康
所在地:〒160-0022 東京都新宿区新宿3丁目4番8号 京王フレンテ新宿3丁目4F
事業概要:リクエスト株式会社は、「より善くを目的に」を掲げ、980社・33.8万人の働く人のデータに基づく「組織行動科学(R)」を基盤に、組織で働く成人の研究と教育開発を行っています。
公式サイト:https://requestgroup.jp/
会社概要:https://requestgroup.jp/corporateprofile
代表プロフィール:https://requestgroup.jp/profile

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