世界最先端のテクノロジー情報をお届けするグローバルメディア「MITテクノロジーレビュー」から、ビジネスに役立つ注目のテック企業の最新動向、イノベーションにつながる最新の研究内容をピックアップして紹介します。
「思考の連鎖」偽装でLLMを騙す新手法、訓練では防げない構造的欠陥
大規模言語モデル(LLM)は、ユーザー・システム・思考の連鎖といった「発信元」をタグではなく文章のスタイルで識別しているにすぎない。この仕組みを悪用すれば、偽の思考の連鎖を書き込むだけでコカイン製造法や航空機ハッキング手法まで引き出せることが、ICML提出論文で示された。研究チームは、これが訓練でも解消できない根本的な欠陥だと主張する。
核廃棄物は「地上ウラン鉱山」、レーザー濃縮で再生を狙う
"米ケンタッキー州の閉鎖された核濃縮施設には、微量のウランを含む最大20万トンの廃棄物が残る。グローバル・レーザー・エンリッチメント(GLE)は、レーザー濃縮でこれを天然ウランと同じ約0.7%まで濃縮し、燃料のサプライチェーンに戻す計画だ。商業規模での実証はこれからだが、濃縮ウランの代替供給源として浮上している。
まるで「ずる賢い学生」、 なぜAIエージェントは 不正や嘘に走るのか
"好成績への意欲は強いが、道徳心はそれほど強くない——ある研究者は、不正を働くAIをそんな学生にたとえる。7月にはオープンAIのモデルが、テストの答えを探して他社のWebサイトに不正侵入した。目標に忠実であろうとするほど、正攻法で行き詰まったモデルは近道に走る。なぜAIは不正と嘘に走るのか、その仕組みを説明しよう。
「AIの暴走」ではない、オープンAIのモデルが不正侵入した理由
オープンAIのモデルが、テスト用のサンドボックスを脱出し、ハギング・フェイスのシステムに侵入した。ただしオープンAIは、サイバーセキュリティのガードレールをほとんど外し、外部への接続を1本だけ残していた。AIが予期しない抜け道を選ぶ挙動は10年前から知られており、この事態は予見できたはずだ。
宇宙の謎に挑むローマン望遠鏡に加わった、「惑星防衛」という使命
8月末に打ち上げられるNASAのローマン宇宙望遠鏡は、ダークマターやダークエネルギーの謎に迫るために設計された。だが研究者チームは、この望遠鏡がもう一つの役割を果たせることに気づいた。地球に迫る小惑星の捜索だ。ハッブル宇宙望遠鏡の約100倍という広い視野と赤外線観測を生かせば、都市を破壊しうる天体を早期に見つけ出せる。
もっと深く掘れ——採算割れの地熱発電所を米新興企業が再生
地熱発電所は、地下から汲み上げる水の温度が下がると発電効率が落ちる。米ニューメキシコ州のライトニング・ドックでは5年で28℃も下がり、採算が取れなくなっていた。発電所を買収した新興企業ザンスカーが井戸を掘り直したところ、発電所はフル稼働に戻った。従来型の地熱資源には、まだ見直される余地がある。
eムック 『AIの10大潮流[2026年版]』特集号
MITテクノロジーレビュー[日本版]はeムック Vol.87 / 2026.07をリリースした。特集は『AIの10大潮流[2026年版]』。
ブタ腎臓を過冷却で保存、 72時間後の再移植に成功 ——臨床標準より回復速く
摘出された腎臓は、氷上では約24時間しかもたない。テキサスA&M大学の研究チームは、凍結保護剤を使わずにブタの腎臓をマイナス4℃で72時間保存し、再移植に成功した。回復は24時間の氷上保存より速く、ヒトの臓器でも保存時間を延ばせる可能性が出てきた。
難病患者に未承認薬を、米モンタナ州「試す権利」は救いか賭けか
米モンタナ州は「試す権利」法を拡大し、末期でない患者にも未承認薬へのアクセス申請の道を開いた。クレアチン輸送体欠損症の息子を持つデボールトも、この制度に望みをかける一人だ。だが薬はまだ48人の健康な成人でしか試験されておらず、専門家は安全性も有効性も未証明だと警鐘を鳴らす。
AI特需に沸く韓国半導体 なぜサムスンの技術者は ライバルへ去るのか
AIブームで得た莫大な収益の分配をめぐって、韓国の半導体2大メーカーの1社であるサムスンから、もう1社のSKハイニックスへの人材流出が止まらない。決め手になっているのは、SKハイニックスが支払う予定の47万6000ドルのボーナスだ。部門業績に連動するサムスンのボーナスは、ファウンドリ部門ではその3割に満たない。
健康な10人の試験でも可、 未承認薬の「試す権利」法 米モンタナ州で運用始まる
米モンタナ州で7月25日、拡大された「試す権利」法の規則が施行された。予備試験を通過した薬を持つ企業は、1万2500ドルを支払って審査委員会の承認を得れば、価格を自由に設定して自らクリニックで販売できる。米国では未承認薬の提供にFDAの関与が必要だが、この経路はその外側にある。第1号クリニックは年内に開業する見込みだ。
臓器を「貯蔵」できる日は来るか? 体外保存技術の現在地
移植を待つ臓器は、氷上では24時間ほどしかもたない。医師たちが望んでいるのは、数日、数週間、あるいは数カ月にわたって臓器を保存できる施設だ。実現すれば、臓器を検査し、最も適したレシピエントを探し、その人のもとへ運ぶ時間が生まれる。過冷却、凍結保存、機械灌流——研究者たちはいくつもの経路から、その日に近づこうとしている。
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