サッカーとテクノロジー〔FIFAワールドカップ2026〕 第10回
30以上に及ぶ大会運営アプリのインフラ監視から、3カ国/16スタジアムの運営支援まで
史上最大のワールドカップを支える“オフィスワーク”? TCCとTOCのテクノロジー
2026年07月11日 09時00分更新
16都市での大会運営を統括する「トーナメント・オペレーションセンター(TOC)」
トーナメント・オペレーションセンター(TOC)は、TCCとは別のフロアに置かれている。16の開催都市、各開催国のベースキャンプをはじめ、世界600以上の公式拠点と連携する中枢拠点であり、TOCの全体を統括するのはFIFAワールドカップ(FWC)のCOO(最高執行責任者)であるハイモ・シルギ(Heimo Schirgi)氏だ。
TOC内部を案内してくれたFWCプロジェクトオフィスのチームリード、マリア・ロドリゲス・カボーロ(Maria Rodriguez Ceborro)氏によると、TOCにはおよそ90席があり、担当業務別のブースは45にのぼる。
TOC内の座席は大きく5つの“島”に分かれていた。大会運営チーム自体が座る島が中央にあり、最も規模が大きいのが、試合当日のピッチ管理/技術サービス/警備を担う、最も規模の大きい「マッチデー」の島。そのほか、開催都市への対応や広報を担う島、チケット販売やホスピタリティなど収益系機能を担う島、宿泊/輸送/物流といったサービス系機能を担う島がある。
筆者が訪問したのは、ちょうどラウンド16のカナダ対メキシコ戦が始まる数時間前だった。会場であるヒューストンのスタジアムで、サポーターたちがスムーズに入場できているかどうかを映像で確認していた。何かトラブルがあれば、すぐに対応できる体制を整えている。
万が一、現場で解決できない問題が発生した場合は、FIFAのCEOレベルまでエスカレーションされる体制になっているという。フロアの一角には、チーム輸送用の航空機や車両の追跡を専門に行う担当者の席もあった。ここでもLenovoとの共同開発によるコックピット画面が使われており、チームの移動状況や会場周辺のマップ、天気情報、カレンダーなど、複数の情報が一つの画面に集約されている。
これまでの連載で紹介してきた、Referee ViewやSAOT(半自動オフサイドテクノロジー)、3Dアバター、FIFA AI Proといったテクノロジーは、ピッチ上の試合を支えるためのものだった。
一方で、TCCやTOCで使われているテクノロジーは、試合を含めたワールドカップの大会運営全体を裏で支える基盤にあたるものと言える。3カ国/16都市をつなぐ、史上最大規模のワールドカップを計画どおりに運営するためには、こうしたオペレーションのためのテクノロジーも欠かせない。こうしたテクノロジーの存在があってこそ、世界中のサポーターたちも全力で応援できるのだ。
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