このページの本文へ

前へ 1 2 3 次へ

F1のリモートプロダクション、FIFA W杯の「Football AI Pro」などの裏側を披露

今年のサッカーW杯には「3Dアバター判定」「試合分析AI」も登場 FIFA・F1がレノボと取り組む技術革新を語る

2026年04月14日 09時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 Lenovoは今年1月、米国ラスベガスで開催した「Lenovo Tech World @ CES 2026」において、同社が公式テクノロジーパートナーとして支援する、Formula 1(F1)とFIFA(国際サッカー連盟)の技術責任者を招き、「スポーツとテクノロジー」をテーマとしたセッションを開催した。

(左から)Formula 1 IT部門ディレクターのクリス・ロバーツ(Chris Roberts)氏、FIFA テクノロジー担当ディレクターのナチョ・フレスコ(Nacho Fresco)氏、FIFA イノベーション部門ディレクターのヨハネス・ホルツミュラー(Johannes Holzmüller)氏、Lenovo CIO兼チーフテクノロジー・デリバリー責任者のアーサー・フー(Arthur Hu)氏

F1:パンデミックがF1にもたらした技術革命

 Lenovoは、Formula 1のグローバルテクノロジーパートナー、そしてFIFAが2026年夏に開催する「FIFA World Cup 26」の公式テクノロジーパートナーを務める。

 Lenovoが両団体とパートナーシップを組んだ理由について、Lenovo CIOのアーサー・フー氏は「世界で最も技術的に進化したスポーツであるF1と、世界で最も人気のあるスポーツであるサッカーには、Lenovoとの高い親和性がある」と語る。

 「Lenovoが掲げる『Smarter AI for Al(すべての人にスマートなAIを)』というミッションは、『スポーツを進化させ、世界中のファンに感動を届けたい』というF1やFIFAの情熱と一致している」(フー氏)

Lenovo CIO兼チーフテクノロジー・デリバリー責任者のアーサー・フー(Arthur Hu)氏

 現代のスポーツは、テクノロジーの進化と切っても切り離せない関係にあると言えるだろう。Formula 1 IT部門ディレクターのクリス・ロバーツ氏は、「10年前を振り返ると、テクノロジーの進化には目覚ましいものがある」としたうえで、テクノロジーの側面で最も大きな転換点となったのは「5年前の(新型コロナウイルスの)パンデミックだった」と続けた。

 F1は世界中を転戦するモータースポーツイベントであり、パンデミック前は、レースの放送映像を制作するために必要な大規模システムを、各レース開催地に持ち込んでいたという。「しかし、この方法は一夜にして機能しなくなった」(ロバーツ氏)。

Formula 1 IT部門ディレクターのクリス・ロバーツ(Chris Roberts)氏

 そこでF1が挑戦したのが、現地のカメラ映像を使って遠隔地で放送制作を行う「リモートプロダクション」だ。「主要スポーツの中でも、F1は比較的早期に活動を再開できたほうだが、映像制作は従来の方法では不可能だった。そこで、通常は3年かかるリモートプロダクションシステムの構築を、わずか10週間ほどで実現した」。

 具体的には、各国のレース会場にはカメラなどの映像収録機材のみを送り、ディレクション、グラフィックス、車載カメラ映像の編集など、あらゆる制作作業は英国のスタジオで行う体制を確立した。これにより、F1では機材やスタッフの移動を大幅に削減し、中継映像にかかるオペレーションそのものをを半減させた。このような規模のリモートプロダクション事例は世界的にも初めてだったと、ロバーツ氏は強調する。

 さらに、2022年から2023年の冬にかけて、Lenovoの技術協力を受けながらシステムの仮想化移行も実施した。「倉庫を解体し、8週間でゼロからデータセンターを建設して、2023年シーズンの開幕に間に合わせた」とロバーツ氏は振り返る。

 ロバーツ氏は、F1ではLenovo製のハードウェアを「過酷な環境で使っている」としたうえで、その堅牢性を高く評価した。F1のデータセンター機材は、転戦するレースに合わせて世界各地に輸送される。高温多湿の地域から寒冷で乾燥した地域まで、年間で24カ所に移動することになるという。「それでも、Lenovoのハードウェアは堅牢で、電源を入れれば確実に動作する。そして、世界中どこにいても、電話一本でサポートが受けられる」。

前へ 1 2 3 次へ

カテゴリートップへ

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

アクセスランキング

  1. 1位

    TECH

    フォーティネットの「SSL-VPN廃止」 IPsec移行と脱VPN、それぞれの注意点を総ざらい

  2. 2位

    ソフトウェア・仮想化

    「SaaSの死」の影響は感じない ― グローバル以上に好調な日本市場、ServiceNow鈴木社長が語る

  3. 3位

    ビジネス・開発

    いますぐ捨てたいITサービスは? AI推しにそろそろ飽きてません? 情シスさんのホンネを「ゆるっとナイト」で聞いた

  4. 4位

    TECH

    「蟻の一穴」となるリモートアクセスVPNの脆弱性 ZTNA/SASEはなぜ必要か?

  5. 5位

    ネットワーク

    ネットワークとセキュリティの統合に強み 通信事業者系ZTNA/SASEサービス3選

  6. 6位

    デジタル

    海外駐在員の負担を軽減し、ワンチームへ kintoneは言語と文化の壁を越える「翻訳の魔法」

  7. 7位

    エンタープライズ

    基盤も古いし、コードも酷い! そんなクエストにGitHub Copilotで試行錯誤しまくった「みんな」こそ最高

  8. 8位

    ITトピック

    「AI導入で人員を減らしても収益は増えない」その理由/「専任情シス不在」中小企業の3社に2社/ユーザーアカウント流出が加速、ほか

  9. 9位

    sponsored

    完全自動運転の実現へ、チューリングが開発基盤にGMO GPUクラウドを選んだ理由

  10. 10位

    ビジネス

    医療費5兆円抑制につながる“国産ヘルスケア基盤”構築へ SMBC×富士通×ソフトバンクが業務連携

集計期間:
2026年05月17日~2026年05月23日
  • 角川アスキー総合研究所