【スーパーフォーミュラ】小林可夢偉×利徠斗、年齢差コンビがKDDIチームを変える!?

文●スピーディー末岡  レース写真●折原弘之 編集●ASCII

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 通信キャリアのKDDIがメインスポンサーとしてサポートしているモータースポーツチームがあります。それがスーパーフォーミュラに参戦中の「KDDI TGMGP TGR-DC」です。

 昨年同様、チーム監督はSUPER GTの4号車 初音ミクAMGを駆る片岡龍也選手。そしてドライバーは、今年からその豊富な経験を買われて若手の指導役としてジョインした、元F1ドライバーの小林可夢偉選手。若干20歳ながら速さを見せるルーキーの小林利徠斗(りくと)選手の2名になりました。

 昨年の苦戦を経て、大ベテランと期待の若手という興味深いコンビネーションで挑むことになった今シーズン。第2戦 モビリティーリゾートもてぎのパドックにて、片岡龍也チーム監督、小林可夢偉選手、小林利徠斗選手の3名に、それぞれの現在地と今シーズンの目標について話を聞きました。なお、昨シーズンのインタビューは以下になります。

人材育成を目指す! スーパーフォーミュラのKDDIチームは未来活性化の一助になるか!?

片岡龍也監督:「牽引力」と「速さ」の融合に期待

──昨年チームを立ち上げて1年を戦いましたが、今季この2人のドライバーを起用した背景を教えてください。

片岡監督 昨年はチーム自身も初めての取り組みが多く、経験の浅いドライバー構成で戦いましたが、やはりチーム全体を牽引できる経験豊富な選手が必要だと痛感しました。そこで、豊富な経験を持ち、自らクルマ作りができる小林可夢偉選手に白羽の矢を立てました。彼とは一緒に仕事をしたこともありますし、若手を育てるというチームの育成理念にも賛同してくれたので、まさに適任でした。

──もう一人の小林利徠斗選手については、どのような期待を寄せていますか?

片岡監督 彼はステップアップ前から存在感があり、各チームから「乗せてみたい」と思われるほどの速さを持っています。ただ、育成時代からずっと見てきて、速さはあるものの、まだ足りない部分も多いです。だからこそ、すべてを持っている可夢偉選手の背中を見て学んでほしいという思いがありました。

 面白いことに、実際には本人が背中を見ようとするより先に、可夢偉選手の方から正面に立って教えに行っているような構図になっていますけど(笑)。

──今シーズン、まだ開幕戦が終わっただけではありますが、チームとしての手応えはいかがですか?

片岡監督 まだリザルトには表れていませんが、手応えとしては確実に変化が起き始めています。可夢偉選手が目的を持ってトライ&エラーを行なってくれるので、失敗もチームの経験として着実に積み上がっています。利徠斗選手にはこの環境で多くのことに気づき、変化のきっかけとなる1年にしてほしいですね。

 そして可夢偉選手には、チームの牽引だけでなく、自身初となるスーパーフォーミュラでの優勝を、最終戦までに見せてほしいと期待しています!

小林可夢偉選手:世界的にも稀有なマシンでの新たなチャレンジ

──この育成チームに入ることになったきっかけは何だったのでしょうか?

可夢偉選手 育成チームが苦戦しているという状況の中で、モリゾウさん(豊田章男トヨタ会長)や片岡監督から「可夢偉ならいいんじゃないか」とお話をいただき、チャンスをもらいました。僕自身も長くWEC(世界耐久選手権)をやっていて苦戦していた時期があったので、心機一転、新しい挑戦ができる機会にやりがいを感じて「すぐにやります」と引き受けました。

──実際にスーパーフォーミュラのマシンに乗ってみた印象と、ここまでの手応えはいかがですか?

可夢偉選手 今乗っているハイパーカーは重いんですが、このマシンは軽くてダウンフォースがある、世界的にもかなり特殊で珍しいレーシングカーですね。現状の手応えとしては、まだ完全にパズルはハマっていませんが、そこそこ良いパフォーマンスが出るようになり、ダメなときの理由も明確になってきました。

 テスト3日と今回の走行だけで、まだ僕自身の経験不足な部分もありますが、すべての要素がしっかりはまって結果に繋がるようにしていきたいです。

──チームメイトの利徠斗選手とのコミュニケーションはいかがですか?

可夢偉選手 テストの時は50%くらいでしたが、今週で60%くらいまではいけましたね。ただ、まだ100%心を開いてくれていないんですよ(笑)。シーズン終わりまでには、ちゃんと心を開いてもらえるように頑張りたいと思います。

小林利徠斗選手:偉大な先輩から学び、確実な進化を感じる日々

──今年スーパーフォーミュラへのステップアップを果たしましたが、ここまでの手応えはいかがですか?

利徠斗選手 2024年はスーパーフォーミュラ・ライツでフル参戦して、2025年はスーパーフォーミュラにスポットで出場しましたが、それまでの結果や走りを評価していただき、このチームでフル参戦できるのは非常に良い機会だと思っています。スポット参戦していた他チームとはマシンの特性もセッションの進め方も異なり、少しずつ慣れていく段階ではありますが、監督や可夢偉さんを中心にセットを大胆に変えながら進めていて、すごく希望が見えています。

 絶対的なトップとのタイム差も少しずつ縮まってきているので、ポテンシャルは上がってきていると感じています。

──チームメイトである可夢偉選手の印象を聞かせてください。

利徠斗選手 やはり経験豊富で、おっしゃるセッティングのレベルが本当に高いです。僕らも経験が少ない中で「どうしたらいいか分からない」という場面があるんですが、可夢偉さんは確実な順序立てをして、チームを前に進める力がすごいなと感銘を受けています。本当に頼れる存在ですね。開発能力など、先輩からたくさん学んで、僕自身ももっとクルマの動きを感じ取って言葉にできるようになりたいです。

【まとめ】経験と若さが生み出す化学反応
そして今シーズンへ向けた期待

 今回、3人のお話を聞いて強く感じたのは、チーム内に生まれつつある確かな「変化の兆し」です。

 まだインタビュー時は開幕戦が終わっただけなので、リザルトという目に見える形には表れていないものの、小林可夢偉選手という圧倒的な経験と開発力を持つベテランの加入により、チーム全体が明確な目的を持ってトライ&エラーを繰り返せるようになったようです。小林利徠斗選手が語るように、マシンのポテンシャルは引き出され、トップとのタイム差も確実に縮まってきています。

 また、期待の若手である利徠斗選手にとって、可夢偉選手の開発能力を間近で見られるのは、彼自身の才能をさらに開花させる絶好のチャンスとなっています。可夢偉選手から正面切って教えにいくという熱いコミュニケーションは、シーズン終盤に向けて2人の連携をさらに深めていくことでしょう。

 ちなみに利徠斗選手はフォーミュラ以外には、2025年のSUPER GT GT300クラスで優勝も経験しており、さらに今年はGT500クラスにステップアップしています。さらにスーパー耐久にも参戦するなど、若手の実力者と言えるでしょう。

 可夢偉選手の言うマシンの「パズル」がすべてはまった時、このチームはどのようなパフォーマンスを見せるのか。片岡監督が期待するように、最終戦の頃には、利徠斗選手の大きな飛躍と、可夢偉選手自身のスーパーフォーミュラ初優勝という最高の結果の可能性が見られるかもしれません。

 異なる個性と才能が入り交じるこのチームが、シーズンを通してどのように進化していくのか、今シーズンの戦いから目が離せません。

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