限界を打破するハイブリッドボンディング
AIの進化を支えるHBM積層技術の新潮流
HBMといってもDRAMには違いないわけで、セルの構造の進化そのものはDRAMと違いはない。異なるのはパッケージ技術のみである。そのHBM、AIブームのおかげで猛烈な売り上げが立ち、かつどんどん高速化しているというのはご存知のとおり。
問題となるのは、より高い帯域が求められていることと、もう1つは積層数が多すぎて高さがかなりのものになっていることだ。
これは2つのデメリットがある。1つは高さがありすぎて、ASICの横に置くとASICの高さを超えてしまうこと。これは、ヒートスプレッダの工夫が必要になる。それともう1つ放熱の問題もある。HBMの場合、積層の一番下にASICとのI/Fのダイが入るが、この発熱を逃がすためには上に積みあがっているDRAMのダイを経由して放熱する必要があるのだが、層数が多くなると放熱効率が当然悪いことになる。
特にHBM3以降(3/3E/4/4E)では信号速度が高速化する分発熱量も多いので、これをなんとかしないと発熱を抑制する(=信号速度を低めに抑える)必要性が出てしまい、好ましくない。
ではどうするか? というと、従来のμBumpを使った接続方式から、Hybrid Bondingに切り替えるというやり方である。
これによりμBumpがなくなる分高さを削減できるし、ついでに言えばμBumpを使った時より電気抵抗も下げられる。加えてダイ同士を極めて高密度に接触させられるので、熱抵抗も下がることになる。
実際高さが減じられたうえ、画像右にあるように熱抵抗も15~30%削減できるとしている。欠点としては、ダイを削る(右下のHCB Process flowで言えばDishingの部分)際に従来より極めて平滑度を上げる必要性がある。おそらくHybrid Bondingに対応できる新しい研磨装置と研磨材料が必要になるので、そこにコストがかかることと、その後にHybrid Bondingならではの工程が入ることだろう。
ただすでにHybrid BondingはTSMC以外にも多くの前工程/後工程企業が手掛けているので、これから手順を開発するほど手間がかかる技術ではない。わりと現実的に実用化は可能かと思われる。
ということで昨今のDRAMの進む方向性を簡単に説明した。足元では引き続きDDR5を始めとしたDRAMの入手難が続き、ついにビデオカードが入手困難、発売中止などいろいろ影響は出ているが、これはあくまでも一過性の話であり、その対応とは別に各DRAMメーカーは将来を見据えていろいろ水面下でやっている、という話である。
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります

この連載の記事
-
第876回
PC
このままではメモリーが燃える! HBM4/5世代に向けた電力供給の限界と、Samsungが示すパッケージ協調設計の解 -
第875回
PC
1000A超のAIプロセッサーをどう動かすか? Googleが実践する垂直給電(VPD)の最前線 -
第874回
PC
AIの未来は「電力」で決まる? 巨大GPUを支える裏面給電とパッケージ革命 -
第873回
PC
「銅配線はまだ重要か? 答えはYesだ」 NVIDIA CEOジェンスンが語った2028年ロードマップとNVLink 8の衝撃 -
第872回
PC
NVIDIAのRubin UltraとKyber Rackの深層 プロトタイプから露見した設計刷新とNVLinkの物理的限界 -
第871回
PC
GTC 2026激震! 突如現れたGroq 3と消えたRubin CPX。NVIDIAの推論戦略を激変させたTSMCの逼迫とメモリー高騰 -
第870回
PC
スマホCPUの王者が挑む「脱・裏方」宣言。Arm初の自社販売チップAGI CPUは世界をどう変えるか? -
第869回
PC
半導体プロセスの新たな覇権! インテルのDNNプロセッサーはAMDやMetaを凌駕する配線密度と演算密度 -
第868回
PC
物理IPには真似できない4%の差はどこから生まれるか? RTL実装が解き放つDimensity 9500の真価 -
第867回
PC
計算が速いだけじゃない! 自分で電圧を操って実力を出し切る賢すぎるAIチップ「Spyre」がAI処理を25%も速くする -
第866回
PC
NVIDIAを射程に捉えた韓国の雄rebellionsの怪物AIチップ「REBEL-Quad」 - この連載の一覧へ














