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final「TONALITE」
“本当の音“が聞けるイヤホン 聞き始めるまでに40分かかる「TONALITE」が凄かった
2026年01月28日 17時00分更新
「ワイヤレスイヤホンの音質は、どれも似たり寄ったりではないか」。
finalの最新モデル「TONALITE」は、その前提を静かに揺さぶってきます。外観はfinalらしいシンプルで上質なたたずまいですが、一般的なワイヤレスイヤホンとの大きな違いは感じられません。
本機の本質は内部にあります。一見「普通」に見えるこのプロダクトには、馬鹿馬鹿しいほどに手の込んだ技術開発が詰め込まれているのです。
最大の特徴は本機が持つ「個人性適用」機能です。
人の身体形状が異なる。それを前提に一人一人に合った音を提供するという、極めて手間のかかるアプローチをワイヤレスイヤホンとして成立させた点にあります。少々複雑な話になりますが、人間は耳や頭部周辺の形がひとそれぞれなので、同じ音を聴いていても鼓膜に到達する音は同じではありません。
人はこれを脳で補正して聴くため、自然の音を聞いたり、スピーカー再生では問題になりません。しかしながら、耳の中に入れ、直接鼓膜に音を届けるイヤホンでは少し事情が異なります。一般的なイヤホンはこの個体差を考慮せず「平均値」で設計されているため、誰にとっても「100%正解の音」ではない、少し不自然さをはらんだ音になってしまうのです。
TONALITEは3Dスキャンで自分のアバターを作り、仮想空間で音の聞こえをシミュレーションすることで、この不自然さを解消します。
使い始めるまでに約40分の設定時間を要するという点は、明確なハードルです。しかし、その時間は単なる初期設定ではなく、世界に一人だけの「自分の身体」という楽器に合わせて音を調律する、贅沢な工程なのです。本記事では、この執念とも言える最適化がもたらす「本当の音」の価値を、ガジェットを愛する一人のユーザー視点で紐解いていきます。
TONALITEを購入する3つのメリット
ポイント(1)イコライザー調整とは別次元の「個人性適用」で本当の音が聞ける
TONALITEの核となるのは、final独自の音響最適化技術「DTAS(Digital Tone Alignment System)」です。これは、アプリで撮影した耳や頭部の形状から3Dモデルを生成し、音の伝わり方を物理的にシミュレーションする仕組みです。
パーソナライズ機能を持つイヤホンは珍しくありませんが、信号音を聞いて聞こえにくい周波数の音を上げたり、あらかじめ用意されたプロファイルからうまく合いそうなものを適用したりするものが中心です。
TONALITEは耳や頭部周辺の写真から、ユーザーの3Dモデルを作成して、それをバーチャル空間に置き、膨大な演算を通じて、音の複雑な伝達方法をシミュレーションして最適化する仕組みです。つまり、「好み」に合わせるイコライザーとは次元が違う処理なのです、
衝撃を受けたのは、音の「距離感」の変化です。最適化前は耳の外側で鳴っていた音が、設定後は自分の鼓膜へダイレクトに、かつ自然に吸い込まれてくるような感覚になりました。あるユーザーは「広すぎて草原のようだった音場が程よくまとまり、聴きたい音がぐっと前に出てくる」と表現していましたが、まさにその通り。音が「整う」ことで、脳が音を解釈する際のストレスが消え、音楽そのものに深く没入できるのです。
「自分の身体条件に合わせて音を再構成する」というこのプロセスを経て初めて、私たちは制作者が届けたかった「本当の音」に出会えるのかもしれません。この「自分専用の音」を体験してしまうと、平均化された従来のイヤホンにはもう戻れない……そんな抗いがたい魅力があります。
YouTubeでfinal「TONALITE」のレビュー動画を見る
ポイント(2)普通に使っても大満足の、広がりある高音質
「設定に40分も待てない!」という方もいるでしょう。DTASを適用しない「デフォルト」の状態でも、TONALITEは3万円台のワイヤレスイヤホンとしてトップクラスの完成度を誇ります。finalが長年培ってきた音響工学に基づき、特定の帯域を強調しない、極めてナチュラルで解像感の高いサウンドです。
中高域の透明感がよく、ボーカルや弦楽器の輪郭が驚くほど鮮明に描かれます。低域についても、ドンドンと響く派手さはありませんが、ベースラインのうねりやバスドラムの震えが躍動感を持って伝わってくるなど、質の高さを感じます。
音の傾向については「万能さ」があります。ジャズからロック、クラシックまで、どんなジャンルも無理なく、かつ上品に鳴らし切ってくれます。ここは日常使いの道具としてこれは大きな強みです。個人最適化という「飛び道具」を抜きにしても、純粋に「良い音のイヤホン」を求めている人の期待を裏切らない1台と言えます。
ポイント(3)5万円の追加料金が必要だった技術を「無料」で利用できるお得感
オーディオファンにとって、今回のTONALITEが「事件」である最大の理由は、その価格設定にあります。実は、この「個人性最適化」の基盤となった技術は、以前のモデルZE8000向けに「5万円+税の追加料金」を払って受けるオプションサービス(自分ダミーヘッド)として提供されていたものが下地になっています。
当時はそれでも予約が殺到したほどの人気メニューでしたが、TONALITEではこの贅沢な体験が製品価格そのものに含まれているのです。限られたマニアだけの特権だった究極のチューニングが、追加課金なしで、しかも自宅にいながら手に入る点は魅力と言えます。そう考えれば安い製品なのかもしれません。
購入時に確認したい2つのポイント
ポイント(1)初期設定には結構な「時間」と「環境」が必要
すでに述べたように「使い始めるまでのハードル」があります。DTASの設定には、スマホによる撮影、データの解析、イヤホンへの転送、さらに自分の好みを反映するための設定などを含めて約40分という長い時間がかかります。一度設定を済ませれば、毎回必要になる作業ではありませんが、「アプリを入れてペアリングすれば完了」というのに慣れた人から見れば、驚きかもしれません。
また、「スキャンが意外と難しく、静かな環境と写真撮影ができる明るい場所が必要」「外出先でサッと設定するのはまず不可能」といった声もあるようです。スキャン用のヘッドバンドやQRコードを使用する本格的な「儀式」は、人によっては煩わしく感じるかもしれません。また、「サーバーでの演算待ちが長く、途中で中断できないのが辛い」というリアルな指摘もありました。
ポイント(2)ANC性能やバッテリー性能など、トレードオフになる部分も
もう一点理解しておくべきは、高音質を得るために、最新のハイエンド機に期待される「静寂を生むノイズキャンセリング(ANC)」や「超ロングバッテリー」といった利便性は、あえて二の次にされている点です。ANCについては「音楽を邪魔しないこと」が優先されていますし、DTASを適用した「Personalized」モードでは処理負荷が高まるため、バッテリー消費が早まる傾向にあります。
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