【JSTnews1月号掲載】NEWS&TOPICS 創発的研究支援事業(FOREST)/研究課題「『自己』と『他者』の脳内表象メカニズムの解明」/研究課題「長寿齧歯類特有の恒常性維持機構の解明と応用」
女王を中心とした分業制社会をつくるハダカデバネズミの行動を解明
2026年01月16日 12時00分更新
アリやハチなど高度に分業化された社会を作る「真社会性」を持つ生物は、女王や繁殖オスなどの繁殖個体と非繁殖個体が分業し、協力し合って社会生活を営んでいることがわかっています。しかし、真社会性の哺乳類であるハダカデバネズミについてはこれまで多くの点が謎のままでした。
熊本大学大学院生命科学研究部の山川真徳博士研究員、東京大学定量生命科学研究所の奥山輝大教授、九州大学大学院医学研究院の三浦恭子教授らの研究グループは、群れ全体を対象にした30日間にわたる行動解析によって、ハダカデバネズミの社会全体の構造と個体間の社会的関係性を初めて明らかにしました。研究グループは、無線で個体を識別できる「RFIDタグ」を使って個体の動きをそれぞれ追跡できるシステムを開発。5つの群れ・合計102匹のハダカデバネズミの体にタグを埋め込んでその行動を観察しました。その結果、繁殖個体は群れ全体を監視する役割を果たし、社会の中心的存在であることや、非繁殖個体は「働き者」など6種類の行動型に分かれ、安定した役割分担をしていることが判明。さらに、移動の少ない個体は活動的な仲間と同じ場所で活動するのを避けるなど、行動型ごとに他の個体との関係性が異なることも見いだしました。
この研究は、多様な動物種における協力社会の仕組みやその維持メカニズムを解明する社会性研究の基盤になり得るものです。研究グループは引き続き、群れの社会構造に意図的に変化を与えるなどして、協力社会がどう維持され、どれほど強靭(きょうじん)であるのか調べる計画です。
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