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科学技術振興機構の広報誌「JSTnews」 第110回

【JSTnews7月号掲載】戦略的創造研究推進事業CREST 研究領域「ゆらぎの導入・制御による機能性材料の創製」/研究課題「励起状態のゆらぎの制御による有機EL材料の革新」

高効率に発光&発電が可能な太陽電池発電を開発、発電できる有機ELディスプレイへの応用も

2026年07月21日 12時00分更新

文● 中條将典

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 光発電素子である太陽電池と、発光素子であるLEDや有機ELは、ともに共通のエネルギー構造を持つダイオード素子です。光発電と発光の機能を併せ持つ素子を開発すれば、スマートフォンディスプレイに太陽光を当てて充電することなどが可能になりますが、発電効率と発光効率を両立させた素子はこれまでほとんどありませんでした。

 東京科学大学総合研究院の伊澤誠一郎准教授らの研究チームは、1つの素子内で高効率の光発電機能と発光機能の両方を備えた有機太陽電池の開発に成功しました。一般的に有機太陽電池の発光効率が0.1%以下と低いのは、高エネルギー状態の分子が低エネルギー状態へ変化する際に、光りづらい状態になってしまうのが原因です。そこで研究チームは、有機EL分野で使われる発光分子を2種類組み合わせることで、光りづらい状態への変化を抑制するエネルギー構造を実現しました。さらに、これらの分子を用いてダイオード素子を作り疑似太陽光を当てたところ、1.83Vという理論限界に近い高い電圧が得られ、1%以上の光電変換効率を達成しました。逆に、同素子に光を照射せずに電圧を加えていくと、620nm(ナノメートル、ナノは10億分の1)付近の赤色発光が観測され、1%を超える発光効率を確認できました。

 今回の成果により、有機ELディスプレイに発電機能を付加する道が開かれました。有機太陽電池素子の変換効率の向上など幅広い応用展開も考えられます。

今回開発したダイオード素子による太陽光発電で発生した電気を蓄電器にため(上)、ためた電気で同一素子を発光させている様子(下)。

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