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SONY「MDR-M1」

鉄板モニターヘッドホンの新作が出たので、本当にすごいのか試してみた SONY「MDR-M1」

2025年11月14日 17時00分更新

文● イチ/三宅/ASCII 編集⚫︎ASCII

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素人が聞いても進化の感じられたMDR-M1。MDR-900STと比較して、音がさらにバランスよくなった印象

 正直、最初は「どうせプロ向けなんでしょ?」という気持ちでした。プロの音ですがM1は音がすっきりしていて、全体のバランスがとても自然。プロ向けらしい正確さを持ちながらも、聴いていて心地よいんです。業務用だからといって堅い音というわけではなく、「純粋に音がよく聴こえる」印象。

 プロが使う理由がなんとなくわかる。そんな感覚を初めて味わいました。なんせ、普段使っている1万円台のワイヤレスイヤホンでは聞こえない音が聞こえてくるんです!これが限りなくレコーディングに近い音源なのか!と感動しました。

 値段は4万5100円と安くはないですが、音を正しく聴くという体験を家庭で味わえるヘッドホンとして、十分に価値のある1台です。

MDR-M1を購入する3つのメリット

ポイント(1)プロの現場でもリファレンスに使われる安心感

 MDR-M1は、あのニューヨークの老舗スタジオ「Power Station at BerkleeNYC」がリファレンス機として採用しているそうです。

 正直、その事実を知ったときは「へぇ、そうなんだ」くらいの感想でした。でも実際に聴いてみると、なるほど納得。音が“整理されている”というか、どこか整然としていて、どのジャンルの曲を聴いても無理なくまとまって聴こえるんです。

 たとえば900STではボーカルが少し前に出すぎたり、M1STでは高音がシャキッとしすぎたりする曲も、M1では全体の輪郭がなめらか。イヤーパッドもM1STと比較するとすっぽり収まる印象で、耳が疲れにくく長く聴いていられるのも印象的でした。

 プロが基準として使うヘッドホンを、素人がそのまま体験できるというのはちょっと贅沢。細かい音の差を「なんとなく感じ取れる」というだけで、音楽の聴き方が変わる気がします。

これまで販売されてきた業務用モニターヘッドホン
左からMDR-CD900ST、MDR-M1ST、最新製品のMDR-M1

レコーディング、ミキシング、マスタリングなど、用途別に用意されているのも特徴です

YouTubeでSONY「MDR-M1」のレビュー動画を見る

ポイント(2)900STより使いやすい。保証付きでケーブルも着脱可能

 ソニーの900STと言えば、音は良いけど業務用だからメーカー保証がないというのが定番の話。実際、ケーブルが本体に固定されていて、断線したら修理もひと苦労です。MDR-M1ではそのあたりがしっかり改善されていて、まずケーブルが着脱式になりました。付け替えが簡単なので、断線しても安心。しかもメーカー保証もちゃんと付いています。

 個人的には、この安心して使えるプロモデルというのがうれしいポイントでした。見た目もシンプルで扱いやすく、ケーブルが抜けにくい構造なのもありがたい。

 普段から動画編集をしたり、原稿を書きながら音楽を聴いたりする自分のようなユーザーにとっても、かなり実用的です。プロ仕様の音を、自宅でも気軽に体験できる――そんな距離感に仕上がっていると感じました。

ケーブルは1.2m/2.5mのステレオミニプラグが同梱。着脱式となっています

ポイント(3)パーツ単位で交換できる安心設計

 MDR-M1のもうひとつの特徴が長く使う前提で作られていること。イヤーパッドやヘッドバンド、ケーブルなどの部品はすべて交換可能で、必要になったら単体で購入できます。

 これはスタジオの現場では当たり前の考え方のようですが、家庭用ヘッドホンとして見るとかなり珍しい。買い替えるのではなく、直しながら使い続けられる安心感があります。

 さらに、あえて特殊な素材を使わず、長く供給できるパーツを採用しているのもポイント。つまり、数年経っても部品が手に入らなくなる心配が少ないわけです。プロの現場で求められる「ずっと使える道具」という思想が、そのまま一般向けにも生きています。

 丁寧に使えば10年単位で付き合えるヘッドホン、4万円ほどしますが、むしろそんな長く使えるならコスパいいんじゃねと思ったり。

サービスパーツとして交換用イヤーパッドを用意。ユーザー自身で交換できます

購入時に注意するべき側面

ポイント(1)音の個性が控えめ。好みのジャンルに合うか確認を

 MDR-M1は、いわゆる“味付けのない音”です。これはモニターヘッドホンとして正解なのですが、普段から低音がズンズン鳴るタイプのヘッドホンを使っている人だと、「ちょっとおとなしい?」と感じるかもしれません。派手さや迫力は控えめで、全体が落ち着いて聴こえます。

 ただ、そのぶんボーカルや楽器の細かい部分までよくわかるのが魅力。最初は筆者も聴いている曲によっては物足りないと思うこともあったのですが、曲のミックスや空気感に気づいたり、「この音、こんな風に入ってたんだ」と発見があるタイプです。

 自分がよく聴くジャンルとの相性を確認してから選ぶと、より満足度が高くなると思います。

ポイント(2)4万円台は迷う価格。用途を決めて選ぼう

 MDR-M1の価格は4万5100円。安くはありません。この価格帯になると、ゼンハイザーやオーディオテクニカなど、有名メーカーの上位モデルも視野に入ります。なので、単に「いい音が聴きたい」だけなら少し悩むラインです。

 ただM1の価値は正確に聴けること。音楽制作や動画編集、ナレーションのチェックなど、音のバランスを見たい人にはぴったりです。もちろん「ちょっとソニーのモニターヘッドホンに憧れが…」と思っている人が買っても後悔はしないはずです。

価格は4万5100円ほど。音楽を正確に聴きたいという人にはおすすめできますが、ほかにも選択肢はあるので、目的用途にあったショッピングをしましょう

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