今年10月でSkypeが終了
そこでMSのコミュニケーションアプリの流れをまとめた
今年10月でMicrosoftのSkypeが終了する。これを機会に、Microsoftの「コミュニケーションアプリ」のこれまでを、まとめてみることにする。
コミュニケーションアプリでは一般に、テキストベースのチャット、音声、ビデオ通話機能、インターネット接続中かどうかを表示する機能(プレゼンス)、ファイル交換機能などから構成される。
Skypeを始め、今では1つのアプリケーションがこれらの機能を総合的に持つのが一般的だが、過去には、チャットのみ、音声・ビデオ通話のみの単体アプリケーションがあり、発展の過程で統合された。
Windowsが標準でTCP/IPをサポートして、インターネット接続が可能になったのは1995年のWindows 95のこと。これに合わせて、1996年には、オンラインビデオ会議ソフトウェアであるNetMeetingが登場した。同時期に、インスタント・メッセンジャーでは「ICQ」(Mirabilis社)が登場している。
1996年のInternet Explorer 3と同時に出荷されたのがNetMeetingで、音声や映像通話(オンライン会議)、テキストチャットなどの機能を持っていた。現在のコミュニケーションアプリの原型はすでにできあがっていたわけだ。
当時は、インターネット接続にアナログ回線とモデムを使っていたが、接続が高速ならばテレビ会議も可能だった。筆者も国際電話が高価だった当時、米国から自宅への連絡にNetMeetingを使っていた。
その後、AOL Instant Messenger(AIM)やYahoo! Pager(米Yahooのサービス)が登場する。インスタント・メッセンジャーアプリが、インターネットでの個人間コミュニケーションの中心となる。
というわけで、Microsoftもインスタント・メッセンジャーアプリとして、1998年のWindows 98 Second EditionにMSN Messengerを搭載する。ただし、初期のMSN Messengerには、ビデオ通話機能がなかった。当時はまだNetMeetingが付属していたため、問題なかったわけだ。
しかし、Windows XPが登場した2001年、MSN Messengerに通話機能が搭載された。同時にWindows XPには、MSN Messengerのサブセット版ともいえる「Windows Messenger」が搭載された。
Skypeの登場とMicrosoftによる買収
2003年にSkypeが登場する。Skypeは、P2Pファイル共有アプリ「Kazaa」のシステム上で動作するものだった。1999年のNapsterや2000年のGnutellaなど、この頃はP2Pベースのファイル共有システムが流行した。Kazaaは、2001年にサービスを開始している。
Skypeが急速に立ち上がったのは、すでに稼働していたP2Pネットワークを利用することで、コストのかかるサーバーを立ち上げることなく広範囲にサービスを展開できたからだ。ユーザーがSkypeを導入すれば、それがノードの一部となり、P2Pネットワークが拡大していく。ただし現在では、MicrosoftのAzure上にあるサーバーを使ってサーバー/クライアント型で運用されている。
Microsoftは、2011年にSkypeを買収するが、それまでにさまざまな試みがあった。2005年には、マイクロソフトの消費者向けサービスがWindows Liveという名称に変わり、MSN Messengerも「Windows Live Messenger」に名前が変わる。この頃、Googleはチャットプログラム「Google Talk」をリリースした。
2006年になりようやくWindows Vistaが登場すると、NetMeetingが廃止される。Windows Live Messengerに通話機能があったために特に大きな問題にはならなかった。
翌2007年には、Microsoft Officeのビジネス向け機能として、Office Communicator 2007が登場する。のち2010年には、名称がLyncに変更され、企業向けサービスとなった。
マイクロソフトは、2011年にSkypeを買収するとWindows Live Messengerとの統合を発表する。2013年には、Windows Live Messengerを廃止して、Skypeに移行された。また、2015年には、LyncはSkype for Businessに名前が変更になる。

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