最新ユーザー事例探求 第60回
使い慣れたツールからの移行を促し、全社で利用を定着化させたノウハウを披露
規模拡大するSansanが抱えた“成長痛”、Notion全社導入と定着化で克服
2024年11月12日 08時00分更新
法人向けの名刺管理サービスからスタートし、現在では複数のビジネスプロダクトを持つSansan。組織の拡大に伴ってプロジェクトの情報共有が難しくなったことから、同社では「Notion」を導入した。導入後、利用の定着化に「個人」「組織」の両方の視点から取り組んだことで、Notionの業務活用に成功しているという。
Notionが2024年11月7日に開催したイベント「Make with Notion Showcase Tokyo」では、Sansan 執行役員の西場正浩氏が登壇し、Notion導入から定着化までの経緯を振り返った。
ビジネスと組織の拡大、情報共有が難しくなる“成長痛”に陥る
Sansanは急成長している。2007年に設立され、社名と同じ名前の名刺管理サービスからスタートし、その後は名刺アプリ「Eight」、請求書受領サービス「Bill One」、契約データベース「Contract One」とプロダクトを増やしてきた。
ビジネスの拡大に伴って社員数も増えている。5年前は500人程度だった従業員数は、現在1700人を超えている。その4~5割が入社3年以内の社員だ。
組織体制も変化した。以前は大きく3つの部門だったのが、現在ではプロダクトごとの事業部門ができ、さらに「CPO室」「COO室」「技術本部」「人事本部」と横断的な組織もある。
そして、大規模なプロジェクトも増えている。成長すればこそではあるが、社員数が増えて組織も複雑化する中で、プロジェクト管理は難しくなっているという。
西場氏は「1つ1つのプロジェクトが大きくなり、影響範囲も大きくなる。相互依存も増えた」と語る。かつては何か問題があれば直接話して対処するなど、非公式なコミュニケーションで解決できることもあったが、それが難しくなってくる。
「大きなプロジェクトが増えることは喜ばしいことではあるが、“痛み”を伴っていた」(西場氏)
部署ごとの「局所最適」から「全体最適」へ進化したい
以前のプロジェクトは、事業計画担当、営業担当、プロダクト担当、システム開発担当といった関係者全員が定例会議に参加して、準備を一気通貫で進めるというやり方が主だった。
だが現在は、プロジェクトが拡大し「関係者が多くなりすぎ」て、定例会議への全員参加は難しくなった。そのため、定例会議には各担当から代表者のみが出席し、そこから各担当領域でサブプロジェクトが立ち上がる“二段構え”の会議体制になっている。
定例会議で話し合われた内容は、代表者が持ち帰って関係者に伝えるが、やはりそれは「全員が顔を合わせる」会議とは違い、意思疎通が難しい。また、プロジェクト間で相互依存が進み、依存関係が後から分かることもあるなど「非常に難しい状況」(西場氏)を招いていた。
当時の状況について、西場氏は「細かな要件が分からない、お互いに把握していないといった状況が多発していた。リリース2週間前に不備が発覚し、リリースを1カ月遅らせるようなケースも出ていた」と振り返る。まさに“会議が増えても情報が共有できない”、そんな状況だったという。
混乱の原因はほかにもあった。社内で使う業務ツールのサイロ化だ。
たとえば事業企画は「Googleスプレッドシート」、プロダクトチームは「Jira」、営業は「Salesforce」といった具合で、各部署/チームがそれぞれ独自にツールを導入していた。しかし、スプレッドシートはプロジェクトの内容で検索しても出てこないし、Jiraのアカウントを全員に配布するのは大きなコストがかかる。
部署ごとに「局所最適」された状態を、全社レベルの「全体最適」に変えたい――。そこで白羽の矢が立ったのがNotionだった。
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