このページの本文へ

業務改善に効く最新ビジネスクラウド活用術 第41回

「Notion AI」で文書の要約やアイデア出し、情報収集が爆速化する

2023年03月09日 15時00分更新

文● 柳谷智宣 編集●MOVIEW 清水

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 統合的な情報管理ツール「Notion」は万能メモツールとして人気を集めており、日々機能拡張が続けられている。そんなNotionに2023年2月23日、特大の機能追加が行なわれた。AIがユーザーの業務をサポートしてくれる「Notion AI」が搭載されたのだ。今回は、このNotion AIについて紹介する。

AIを搭載し、ますます便利になった「Notion」

 Notion AIは2022年11月からアルファ版をリリースし、100万人が利用していた。テキスト生成AIということで、今流行の「ChatGPT」に似てはいるものの、得意分野が少々異なる。登録したメモから要約を作ったり、文章を編集するような用途に向いている。

 ユーザーデータは暗号化されており、非公開となっている。Notionには重要情報を記載しているユーザーも多く、ユーザーデータを学習モデルに利用しないと明言しているのは安心できる。

 Notion AIはメンバー1人につき20回まで無料でトライアルでき、それ以降は有料プランの契約が必要。月額10ドルで無制限利用が可能になる。

 早速利用してみよう。たとえば、「自社サイトのホームページをリニューアル」するタスクリストを作成してみる。全角で「;」と入力すると「Notion AI」のメニューが開くので、命令したい文章を入力できる。ここでは、メニューから「AIに文章作成を依頼」をクリックし、「その他」→「ToDoリスト」をクリックした。そして、「ホームページのリニューアル」と入力して、Enterキーを押す。

 これだけで、9つのToDoリストが作成された。わずか10秒でリストのたたき台が出来上がるのだ。もちろん、Googleで検索しても似たような情報は手に入るが、圧倒的に短時間で済むのがメリットだ。

 もし、リストがシンプルすぎて具体性がないというなら、続いて「Notion AI」に「それぞれの項目を詳細に説明して」と入力すればいい。リストが詳細な文章に置き換わる。このあっけなさ、簡単さ、がAIの真骨頂と言える。

 もちろん、現在のAIは必ずしも正解を返すとは限らない。鵜呑みにすることはできないし、外部に見せたりするなら裏取は必要になる。しかし、それは人間が作業しても、Googleで検索しても同じことだろう。

「Notion AI」を開き、「AIに文章作成を依頼」をクリック

「ToDoリスト」をクリック

「ホームページのリニューアル」と入力

即、リストができたがシンプルすぎるので「それぞれの項目を詳細に説明して」と入力

ToDoリストが完成した

アイデア出しから文章の要約まで、作業効率が高まる

 次は、連載の企画を考えてみよう。たとえば、新社会人向けにデジタルの活用法を紹介する連載のネタを考えて、最初の5つをピックアップしたとする。この状態で、「Notion AI」に「上記のアイデア以外に思いつくアイデアを列挙して」と頼んでみよう。

 即、追加で5つのアイデアが列挙される。内容が物足りないなら、「続きを書く」をクリック。瞬時に10個のアイデアが生まれた。もちろん、全部が使えるわけではない。続けて、不要なものを削除し、これらのネタの具体的な内容まで考えてもらえば、あっという間に完成する。

自分である程度アイデアを出した状態で、ネタを追加してもらう

足りない場合は、「続きを書く」をクリック

十分な数のアイデアが出せた

アイデアの詳細も「Notion AI」に作ってもらえる

 文章の要約もNotion AIが得意とするところ。議事録などをまとめさせてもいいのだが、今回はウェブページの要約を紹介する。

 筆者はスマホでブラウジングしていて、面白そうなサイトは片っ端からNotionに共有している。いわゆる「あとで読む」サービスのように活用しているのだ。登録したページを開くと、URLだけでなく、ウェブページの内容もクリッピングされている。これまでは、ページが削除されていない限り、URLを開いてブラウザで閲覧していた。しかし、これからはNotion AIを使うことになりそうだ。

 さらに登録したウェブページを開き、Notion AIのメニューから「要約する」を選ぶだけで、その記事の要約が表示されるのだ。そのままでは短めだが、興味がなければ即次の記事へ移れる。興味があるなら、「長くする」をクリックすれば、長い文章でリライトしてくれる。さらに興味があれば、そのまま下の記事を読めばいい。情報のインプットがさらに効率的になることは間違いない。

興味があるウェブページは「Notion」に保存しておく

「Notion AI」で要約する

長めの要約なら大体の内容を把握できる

 Notionの機能を利用できるのもNotion AIの特徴だ。たとえば、箇条書きを選択して、表にしてください、と指示すればOK。その際、企業名や設立年、企業概要などを入れるように指示することもできる。何らかのリサーチをする際の下準備としては超便利だ。

 ここで「下準備」と言ったのは、AIが出力した結果を信用して、右から左に横流しして提出してはいけない、という点だ。AIの出力結果は間違っていることも多いので、あくまでたたき台として使うことが重要だ。

 たとえば、筆者が経営する「原価BAR」についてブログを書いてもらったところ、無茶苦茶な内容が生成された。まだまだ、検索サイトのように使うことはできないので、必ずファクトチェックしてほしい。

企業名の羅列を選択してAIに下調べをお願いしてみた

CXに力を入れている企業の一覧が一瞬で生成できた

不正確な情報を出力することも多いので、必ず情報のチェックをすること

 ソフトウェアの動作確認やプレゼン資料に入れるために、ダミーデータを大量に作ることがある。筆者であれば、記事に載せる画面をキャプチャーするときなどに利用する。Excelに適当に入力していけばいいのだが、大量にランダムなダミーデータを作るのは意外と面倒だ。そんな時も、Notion AIなら簡単に作ってくれる。ダミーデータであれば、正確性を気にする必要はない。

 たとえば、「企業のダミーデータを20件リストにしてください」と入力すると、「1. 株式会社サンプル」「2. 有限会社ユーザー」「3. 株式会社テスト」といった企業名が手軽に列挙できる。もし、他の企業情報も欲しいなら、思い切りわがままに条件を指定すればいい。

「企業のダミーデータを20件リストにしてください。企業名は株式会社の後に日本人のランダムな苗字を付け足してください。さら、業種や設立日、架空の住所、電話番号も入れてください。電話番号の末尾1桁はXにしてください。住所の最後は適当なビル名と部屋名を入れてください。リストは表にしてください」と入力してみよう。

 あっと言う間に、「株式会社佐々木 IT 2000年1月1日 東京都渋谷区神南1-1-1 ヒルサイドテラス201X 03-1234-567X」のようなダミーデータを作成できる。表で出力させれば、そのままExcelなどにコピーして利用することも可能だ。

手軽にダミーデータを生成できる

表で出力すれば、Excelにコピペして再利用できる

業務効率を大幅向上するポテンシャルを秘めている

 Notion AIは業務効率を大幅に向上するポテンシャルを秘めた機能だが、使いこなすには少し慣れが必要になる。また、生成された情報をどう活用するのか、というところもリテラシーが必要になる。

 何か、素晴らしい人工知能が完璧な回答をしてくれているわけではない、ということは肝に銘じておこう。AIはそもそも言葉の意味を理解しているわけではない。それでも、それっぽく出力されたものが、ビジネスではドラフト版として活用できる、というところに大きな価値があるのだ。

 Notion AIの料金は月10ドル。日本円で1400円程度だが、1日に3分でも作業を短縮できるなら充分ペイするはず。Notionユーザーであれば、ぜひ有料契約して使い倒してほしいところだ。

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事
ピックアップ