「Oracle CloudWorld 2024」の主要な新発表を“3つの戦略”でまとめる
分散クラウドからソブリンAIへ、“先行他社とは違う”オラクルOCIの戦略とは
2024年10月18日 11時00分更新
「オラクルのクラウドは、明らかに先行他社とは違う方向へ進化を遂げ始めた」――。今年(2024年)7月、日本オラクルの新年度事業戦略説明会において、日本オラクル社長の三澤智光氏が語った言葉だ。
9月に米国ラスベガスで開催された「Oracle CloudWorld 2024(OCW 2024)」では、Oracle Cloud Infrastructure(OCI)に関連したさまざまな新発表が行われた。大きな注目を集めた「Oracle Database@AWS」をはじめ、“顧客専用リージョン”の導入をより容易にした「Dedicated Region25」、AI開発向けの巨大GPUインフラ「Oracle AI Infrastructure」、新しいネットワークセキュリティ技術「ZPR(Zero Trust Packet Routing)」のOCIへの実装など、他のクラウドベンダーには見られないユニークな発表も多い。
こうした新製品/新機能の追加を通じて、オラクルはどんな「進化の方向性」を目指しているのか。OCI担当EVPのマヘシュ・シャガラジャン氏のセッションで語られた、現在のOCIがとる戦略の全体像を、主要な新発表の紹介もまじえつつ見てみたい。
注力戦略は「分散クラウド」「AIインフラ」「分散AI(ソブリンAI)」
シャガラジャン氏はまず、現在の顧客企業では、従来のパブリッククラウドサービスではカバーできない課題が生まれていることを指摘する。
「たとえば、エンタープライズワークロードの70%以上がまだオンプレミスに残っているのは、Gen1クラウド(OCIに先行した他社パブリッククラウドを指す)に技術的な制約、マイグレーション作業の難しさ、予測不可能なコストといった課題があるからだ」
同様に、生成AIのビジネス活用に72%以上の企業が取り組むなかで、AIへの投資価値を具現化することが強く求められている。また、多国籍企業の50%が「デジタル主権戦略」(データ、AIの所有権、主権にまつわる戦略)を2028年までに策定する計画だが、それと同時に各国におけるプライバシー規制やデータレジデンシーの規制が複雑さを増していることも懸念点だ。
顧客が直面するこれらの課題を解消するべく、現在のOCIは「分散クラウド」「AIインフラ」「分散AI」という3つの戦略に注力していると、シャガラジャン氏は説明する。
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