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「Oracle CloudWorld 2023」レポート

生成AI、マルチクラウド、データ主権、サステナビリティなどのテーマに対応、「Oracle CloudWorld」レポート

「統合」と「分散」、オラクルが掲げるクラウド戦略とOCI新発表まとめ

2023年09月27日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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 2023年9月18日~21日に米国ラスベガスで開催された「Oracle CloudWorld 2023(OCW 2023)」。Oracle Cloud Infrastructure(OCI)担当EVPのクレイ・マグワイク氏による基調講演では、SaaSも含めたOracle Cloud全体で掲げる「統合クラウド」と「分散クラウド」の戦略が紹介された。さらに、生成AI、マルチクラウド、データレジデンシー、サステナビリティといった、現在注目のテーマに対応するさまざまなOCIの新発表も行われている。本記事ではそれらをまとめてお伝えする。

米オラクル Oracle Cloud Infrastructure担当EVPのクレイ・マグワイク(Cray Magouyrk)氏

「統合クラウド」と「分散クラウド」、2つの戦略の意味

 マグワイク氏の基調講演ではまず、Oracle Cloudが掲げる「統合クラウド(Unified Cloud)」と「分散クラウド(Distributed Cloud)」という2つの戦略が紹介された。「統合」と「分散」という言葉は正反対にも思われるが、それぞれOracle Cloudのユニークな特徴を表す言葉だ。その意味を確認しておこう。

 まずは統合クラウドからだ。マグワイク氏は「一般的なクラウドベンダーは、アプリケーションレイヤーとインフラレイヤーを別々に構成する戦略をとっている。そして、この2つのレイヤー間にはまとまりがない」と指摘する。たとえばエンタープライズSaaSベンダーの多くは、サービスの提供基盤として他社のパブリッククラウドを利用しており、インフラレイヤーに手を加えることはできない。

 しかしオラクルの場合は、IaaS/PaaSとしてOCIを、エンタープライズ向けのSaaSとして「Oracle Fusion Cloud Applications(Fusion Apps)」を、それぞれ自社で開発/構築し、提供している。この特徴を生かし、IaaS/PaaS/SaaSの各レイヤーを個別にではなく「統合的に」再開発/再構築することで、インフラからアプリケーションまでの機能群にまとまりを持つクラウドとして提供する。これが統合クラウド戦略だ。

 マグワイク氏は、顧客企業は「デプロイの選択肢」「拡張性」「ガバナンスとコントロール」という3つのメリットを享受できると説明する。

 「デプロイの選択肢」は、パブリックリージョンからソブリンリージョン(EU地域で提供)、政府専用リージョン、顧客専用リージョンまで、プラットフォームの一貫性を保ちながらデプロイ先を柔軟に選択できるという意味だ。また、Fusion Appsや「NetSuite Analytics」はOCIのデータプラットフォームを利用して構築されており、OCI上にあるカスタムアプリケーションやデータとも容易に連携できる「拡張性」を持つ。さらに「ガバナンスとコントロール」についても、クラウドセキュリティ、IDサービス、コンプライアンスなどの統一されたスタックが用意されており、一貫性が担保される。

 「たとえばFusion AppsやNetSuiteで作成されたビジネスデータは、カスタムアプリのデータやその他のビジネスデータと共に、オラクルのデータプラットフォームを使った自律型データウェアハウスに統合できる。また、Fusion Apps向けに独自の拡張機能を開発できる『Oracle Integration Cloud』も提供している」(マグワイク氏)

 さらに今回のOCWでは、エンタープライズ向け生成AIサービス「OCI Generative AIサービス」が発表され、Fusion AppsやNetSuiteなどのSaaSへの生成AI機能組み込みにも活用するとしている。たとえばSaaS上にあるビジネスデータを使ってモデルの生成やファインチューニング、RAG(Retrieval Augmented Generation)を行う場合にも、統合クラウドのメリットが生きてくるという考えだ。

インフラ(IaaS/PaaS)とアプリケーション(SaaS)を統合的に開発する「統合クラウド(Unified Cloud)」戦略

 一方で、昨年のOCWでも強調していたように、オラクルは「分散クラウド(Distributed Cloud)」戦略も掲げている。

 パブリッククラウドベンダー自身が設置するリージョン(パブリックリージョン)には、データのレジデンシーやセキュリティ、法規制、ネットワークのレイテンシ、予測不可能なコストといった課題がある。オラクルでは顧客自身や各国パートナーのデータセンターにOracle Cloudのプラットフォームを展開し、そこからOCIやFusion Appsのマネージドサービスを提供することで、パブリックリージョンの持つ課題を解消し、より多くのワークロードをクラウドに移行できると考えている。

 マグワイク氏は、現在のOracle Cloudは「世界中に64の顧客向けリージョンを持つ」と語ったが、このすべてがパブリックリージョンというわけではない。顧客データセンター内に設置される「OCI Dedicated Region Cloud@Customer(DRCC)」、各国パートナーがホストする「Oracle Alloy」、さらにソブリンリージョンや政府専用リージョンといったバリエーションがある。

Oracle Cloudは現在、合計64の顧客向けリージョンを持つ。DRCCやAlloyといった、パブリックリージョンではない新たな形態のリージョンも今後さらに増える見込みだ(写真はラリー・エリソン氏の基調講演より)

 なおマグワイク氏は、OCI、Fusion Appsそれぞれのサービス規模にも触れた。OCIは現在114のサービスを提供しており、顧客企業数は2万2000社以上。またFusion Appsの月間ユーザー数は2500万人以上、NetSuiteの顧客企業数は3600社以上。業界特化型アプリを提供するIndustries Appsも1万社以上が利用しているという。

OCI、Fusion Apps、Industries Appsのサービス数やユーザー数/顧客企業数

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