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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第81回

AIイラスト、こうしてゲームに使っています

2024年10月14日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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AIでアイデア出し→権利確認→指示書作成→3D化

 その1つが、ゲーム中で重要な役割を担うカエルのキャラクターです。経産省が7月に公表した「コンテンツ制作のための生成AI利活用ガイドブック」にも事例として掲載されました。

 このカエルのアートワークを筆者が作成したのは、2023年5月頃です。当時、ディレクターから出された最初のオーダーは「かわいいカエルでSFっぽい要素を持っているもの」というものという非常に漠然としたものでした。「こういうものを作ってほしい」という明確なイメージがないんですよね。とにかく、メカっぽくてカエルっぽい、それでいてかわいらしい女の子的な要素を持っているものを作ってくれと。こっちとしては「なんやそれ」というわけです。

カエルの作成のために生成した画像のパターンの一部

 そこでどうしたかというと、当時の最新だったクラウド系画像生成AIの「Midjourney v5」でパターンをたくさん出すことにしました。イラストタッチのかわいいものから、セクシーなお姉さん系、メカメカしいデザインなど、とにかく色々なアイデアを数十枚出しました。それをディレクターに提示することで、ディレクターのイメージがだんだんとかたまっていったんですね。ゲームの中にどのような登場の仕方をするのかといった設定にも広がっていきました。そこで「こういう系統のデザインだ」というものが見えてきたところで、そのデザインを中心に再度生成をしました。

 これが従来のデザイン方法と違うところです。通常、こんなにも漠然としたオーダーからでは、ふわっとしたものしか出てこず、なかなか思ったイメージにたどり着きにくく、時間もかかります。しかし、アイデア出しの段階で大量のバリエーションを出せるのが生成AIの強みです。生成AIを介在させることで、ディレクターのイメージを発展させ、より望ましい姿を形作ることを、効率よく効果的に実現できたと考えています。

 そうして、最終的なデザインがまとまったら、著作権侵害のリスクをチェックするために、Google レンズなどの画像検索にかけて類似性に問題ないかを確認しています。そして、人間がデザインに手を入れて完成させています。

完成したカエルの3DモデルをUnreal Engine 5上で表示している状態。黒い線はボーンと呼ばれる3Dモデルを動かすための制御用の骨

 3Dに起こすための補足説明などを文章で説明したりしつつ、発注指示書を作っていきます。3Dモデルの資料としては必須の「裏側」の情報がないので作成する必要があります。

 当時は、まだ三面図を作成する手法が、現在ほど整っていなかったので、表側の画像をもとに、生成AIを利用しつつ人間が想像しつつ裏面を作り上げていきました。生成AIを使って作成しつつも、フィニッシュ作業はやっぱり人間がすることで最終的なクオリティーを担保するという方法論で進めました。

 「Exelio -エグゼリオ-」に登場するキャラクターは同じような方法で2Dデザインをして3Dモデル化していますが、画像生成AIは登場から約2年間、日進月歩で技術進歩が進んでいることもあり、使用する技術はその時々で目的に合わせて選定しています。そのため、カエルの方法論をすべてのキャラクターに使っているわけではありません。実際、その後も様々な技術が登場していることもあり、使えそうな技術はどんどんと実験して組み入れています。

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