MT女子も納得のシフトフィール
パワーもこのくらいがちょうどいい
マイカーがNDロードスターのMT車という唯さん。ギアを1速に入れて、クラッチをつなげて発進します。車内にはフラット6(水平対向エンジン)のメカニカル音が心地よく響き渡り、独特の世界へと誘います。
エンジン音は聴こえるのに、ロードノイズや風切り音はかなり控えめ。これはエンジン音が大きくて、ほかの音をかき消しているのではなく、貼り合わせガラスで外気音を低減しているから。911カレラTでエンジンと対話せよ、とポルシェは言っているわけです。実に心憎い演出!
楽しい! と唯さん。「やっぱりクルマはマニュアルですよね」と笑顔でシフトをつなげていきます。ですが「また信号ですか……」とギアを1速に。都内で走る分には4速に入れることすら稀なほどで、7速まで入るのは直線の多い高速道路でしょうか。
クラッチは適度な重さ。ステアリングは軽くもなく重くもなく。「精密機器を扱っているような感覚ですね」と、ポルシェならでは精緻なフィールに満面の笑み。
最高出力は385馬力で、最大トルクは450N・mというパワーは、「これで十分です」と唯さん。うしろからガツンと押されるRR特有のトラクションに「これ以上は扱えきれない」と心底思った次第。圧倒的に速い911を求めるならGT3RSであったりTurboグレードに手を出すべきで、カレラTはフラット6を楽しむためのクルマなのです。
7速ギアを使うべく湾岸へ。まさに水を得た魚とはこのことか。最高のクルージングが楽しめます。あらためて911に惚れる唯さん。思わず頬が緩みます。少し硬質な足をふくめ、やはり3桁の速度を出してから本領を発揮するようです。
80km/hで5速に入れて2000回転程度。シフトインジケーターに上向きの矢印が表示されましたので、6速、7速と入れます。当然エンジン回転数は下がっていきますが、問題はなさそう。ちなみに7速で1000回転を少し上回る程度です。
ですが渋滞にハマり、次第に速度が……。60km/hあたりでシフトダウンの指示が出ます。その時のエンジン回転数は1000回転を少し下回る程度。回転数だけを見れば、実にエコなクルマです。
アダプティブクルーズコントロールは、キチンと支援はしてくれますし便利。ですが速度が落ちればギアを変える必要がありますし、だんだん面倒になって結局、自分で運転した方がラクという気持ちに。クルーズコントロールをMTで使う場合、トップギアで流して走れる直線区間がオススメです。
楽しかった! と唯さん。「やっぱりMTはいいですね」と911のMTを楽しまれたよう。「できればカブリオレでMTを出してほしいですね。絶対に楽しいクルマですよ」とオネダリも。ですが「都内で911を乗るならATを選びますね。都内でMTは足が痛くなりそうです」とも。「都内に住んでいて、このクルマを迎えたら、普段乗り用に軽自動車が欲しくなるかもしれません(笑)」。わかりますその気持ち。
そんな気持ちになりつつも、フラット6はMTで扱うべき、と思わせたのも事実。カレラTは、いま買えるベストバイポルシェであり、マストバイポルシェだと心底思います。MTに慣れていない人でも、この楽しさを知ったら戻れなくなるかもしれません。
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