漫画制作でAIの活用機会が増えてきた
漫画制作において、AIの活用機会はじわじわと増えてきています。
たとえ『南緯六〇度線の約束』を連載中のうめさんは、写真をStable Diffusionで2値化(白黒化)し、AI着彩サービス「Copainter」で整えることで背景の下絵を作る試みを紹介しています。
元写真→SketchEdge→2枚目→Copainter→3枚目
— うめ (@ume_nanminchamp) July 23, 2024
写真から線画を自動で起こす方法はいくつかあるけど、これは癖がない線で汎用性高い。ここまでくれば、あとは手作業で微修正&仕上げでいけそう。元写真の代わりに以下のリンクの方法でAdobe Fireflyで画像を作ってもいけますねhttps://t.co/HF9aRyJ1mjpic.twitter.com/LbBc6Cbwwu
『ケンガンアシュラ』で作画担当のだろめおんさんは、ラフで描いたキャラクターから、i2i(画像→画像)生成機能を複数組み合わせて画像を作り出し、モブシーンの土台として作画されていると明かしています。
今週の生成AIモブ pic.twitter.com/uAWa9VIv32
— だろめおん🖋 (@daromeon) July 31, 2024
集英社の漫画投稿サービス「ジャンプルーキー!」では、オキヌケ船長さんのAI作画の漫画「JKになったおっさんがファミレスで駄弁る話」が登場し、「月間ルーキー賞」で6月期の10位に入ったということが話題になりました。
JKになったおっさんがファミレスで駄弁る話 2話
— オキヌケ船長 (@namaedousiyoka) June 24, 2024
完成版(1/5)#漫画が読めるハッシュタグpic.twitter.com/gOChCDs5Mr
生成AIは、プロの漫画家が使うには、まだまだ完璧ではない部分も多々残っていますが、支援ツールとして部分的に使える可能性について、様々な人が実験を始めつつあります。ウェブマンガの登場によって、漫画家がデビューすること自体のハードルが下がっているため、優秀なアシスタントを見つけにくい状況が生まれており、そこを補うことへの期待という面もあるようです。
筆者は、普段ゲーム開発の仕事をしているため、漫画ほど様々な表情を求められるような画像を作成する機会はほとんどありません。当然、「子育てに疲れた母親」といったという表現などやったことがありません。一方で、実際に着彩作業を試みてみると、オリジナル版『児童福祉司一貫田逸子』が魅力的なセリフ運びと作画によって支えられているのかということに気が付かされました。疲れた母親は、微妙な表情とその体つきで、その日常生活を情報として一瞬で感じさせるほどの情報量が込められているのだなと。まだ、リメイク版には、そこまでの魅力にまでは達していないようには思えます。それでも、リメイク版が読まれていることは、ウェブ電子コミック時代に変化が訪れていることが感じられます。
古くなった漫画作品を、新しく注目を集めて、また読んでもらう方法として、このAIリメイクという方法は一般化していく可能性が十分にあるでしょう。そして、AI技術の発展も続いているため、よりオリジナル作品の魅力を引き出すような方法の開発も行われてくると考えられます。
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