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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第75回

商業漫画にAIが使われるようになってきた

2024年08月12日 07時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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「育児疲れ」画像生成AIで作ってみた

 筆者も、どうすればよりオリジナルの漫画をより活かす形にできるだろうかと考えてみました。オリジナルの白黒漫画を参考に似たようなシーンを「DALL・E3」(ChatGPT)でサンプル画像を作成して、それを活用して着彩を試みることにします。意図的に吹き出しなどや効果が残るように、プロンプトを指定しています。

加工前の画像。漫画のコマを参考に、プロンプトを考えDALL・E3(ChatGPT)にて作成した。吹き出しは後で削除するために意図的に入れてある。あくまでテストのため原作そっくりではないのはご容赦頂きたい

 2日、画像生成サービスのNovelAIが「ディレクターツール」という新機能を搭載しました。これは漫画作成に使える線画化や着彩機能など、「copainter(コペインター)」や「AI-Assistant」などの競合ツールで実現できる機能に似た機能です。ただし、その中に、「ディクラッター」という機能があり、画面中の吹き出しや描き文字を削除することができます。これを使い、まずセリフ部分を削除。その上で、「線画」で線画画像を作成してみました。

Novel AIの新機能Directorモードを使って「ディクラッター」で吹き出しを除去し、「線画」を選択して、線画のみ残した

 着彩はKrita AI DiffusionをSDXLのLiveモードを使うことにします(「これが無料でいいのか!? “爆速生成AI”がペイントソフトに革命を起こした」参照)。この環境ではリアルタイムでAI生成画像の変化を見られるので、結果を見ながら絵を調整できます。ControlNetの「Lineart」で元画像の線画を指定しつつ、上から大雑把に着彩を行いました。そして、プロンプトには、「疲れた、隈(tired, black corner)」という指示も入れておきます。そうすることで、元の線画の雰囲気を残したまま、カラー化することが可能です。着彩にかかった時間は15分程度。雑に塗っても、適当にいい感じで塗ってくれるのが、この環境の特徴です。

Krita AI DiffusionのLCM(リアルタイム)環境で着彩を行った画面。右がオリジナルの線画で、そこにレイヤーを重ねて着彩すると左の画像になる。現在のバージョンはv1.21.0で、SDXL環境の品質向上、SDXL用ControlNetの多機能化などが図られている

完成画像。最後に原画の背景効果とセリフをPhotoshopで合成。目の光などを消している

 白黒の原画を活かしながら、短い作業時間で、着彩した画像を作成していくことは十分にできると考えます。もちろん、キャラクターを統一するなど全編にわたって機能させるためには、やはり専用キャラクターLoRAを作成するなどの別のテクニックとの組み合わせも必要になるでしょうが。

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