代表交代、資金注入で立て直しはかる
苦しい状態に直面していたStablity AIですが、変化の動きもありました。25日、新CEOにプレム・アッカラジュ氏が就任したと発表が行われました。元々現在のCEOは、投資家筋から評判が悪かったと言われる創業者のエマド・モスタク(Emad Mostaque)氏の3月の退任後、追加の資金調達なりが決まるまでの暫定CEOという位置づけでした。
アッカラジュ氏は、「ロード・オブ・ザ・リング」などで知られるニュージーランドの映画スタジオWeta DigitalのCEOも勤めたことのあり、その後、Unity Softwareが買収する部門のWeta Cloudの創業者でもあり、映像業界で長年のキャリアを積んできた人物のようです。
これに合わせて、AI関連にも積極投資をしている米大手ベンチャーキャピタルのGreycroftを始めとする4社に加え、ナップスターで知られるショーン・パーカー氏、グーグル共同創業者エリック・シュミット氏などの個人投資家、さらに、アッカラジュ氏自身も投資したと明らかにされました。「世界トップクラスの投資家グループからの初期投資ラウンドを完了した」と発表があったのみで、投資金額は明らかにされていませんが、倒産の危機にさえ直面していると見られていたStablity AIの財務問題は、当面は解決されたと考えてよさそうです。
そして、早速、アッカラジュ氏は、7月5日にライセンス問題に手を打ってきました。これまでは、非商用/クリエイター(月20ドル)/エンタープライズの3種でしたが、クリエイターライセンスを廃止して「コミュニティライセンス」とし、100万ドル以下の年間売上の場合は無償とシンプル化しました。100万ドルを超えているかどうかも自己申告制とし、その場合にはエンタープライズライセンスに移行してもらうというものです。
リリースでは、SD3Mの継続的な改善を約束し、「今後数週間のうちに大幅に改善されたバージョンをリリースすることを目指しています」ともしました。「私たちは私たちの発見とコミュニティ内の他の人たちの発見を共有していきます」とも述べており、コミュニティとの関係改善を図ることも明らかにされました。
まだ、新体制となって以降、CivitAIなどの各社やユーザーに新しい動きはでていませんが、エンタープライズライセンスについても関係者間での議論がされているのではないかと推察されます。
Stablity AIの社内が混乱状態にあったのは、間違いないでしょう。結果的に、SD3Mを通じてコミュニティとの関係も悪化させる要因になってしまいました。オープンソースモデルと収益性のバランスを取りながら技術開発と普及とを実現するのが、いかに難しいかを示しているとも言えます。ただ、Stablity AIは、新CEO体制に切り替わり、戦略の巻き直しが図られることで、状況改善にも期待が持てそうにもなってきました。
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