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カプコン完全新作タイトル『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』直撃インタビュー!

2024年07月02日 19時00分更新

文● ミヤザキ/ASCII

 

プロデューサー&ディレクターインタビュー!

 本作のキーマンとなるプロデューサーの平林良章氏とディレクターの川田脩壱氏にインタビューを敢行。本作についていろいろな話が聞けたので、ぜひとも読んでほしい。

プロデューサー・平林良章氏

ディレクター・川田脩壱氏

――カプコンの新作タイトルとして、本作の特徴をあらためて教えていただけますか?

平林良章氏(以下、敬称略):本作は爽快なアクションの楽しみと、リアルタイムに進むステージに自分なりの戦略で立ち向かうストラテジー要素の達成感をあわせ持った形のゲーム体験をしていただけるタイトルとなっております。世界観としては独創的な和の部分を中心に作らせていただいております。

――日本の家庭用ゲームではタワーディフェンスというジャンルはそれほど多くないと思うのですが、今回チャレンジした理由を教えてください。

川田脩壱氏(以下、敬称略):本作を作るに至った理由としては、自分自身が日本の文化や民間伝承といった世界観が好きだったというのがありますね。そういった日本文化をゲームに落とし込もうと考えたときに、夜になると妖怪が出てきて、それに対して神様などを守りながら戦うというスタイルのゲームが面白いのではないかと思い、本作の開発がスタートしました。

 ストラテジーやディフェンス要素のあるゲームでは、プレイを進めていって後半の方で負けが見えてしまうと、かなり前の段階に戻って段取りをし直さないといけなかったりしますよね。そこで、采配をしつつも、最後の一手をアクションなどでプレイヤーが関与できるものを用意できれば、最後まで諦めずにプレイできるのではと考えました。

 また、諦めずにクリアできたときの達成感からドラマが生まれるのではないかとも考え、今のアクションとストラテジーが融合した形になっていきましたね。

平林:本作は、タワーディフェンスの戦略性のあるものとアクションゲームの達成感の2つをあわせ持った体験としては、まったく新しいものになっていると考えています。

 日本の家庭用向けのタイトルではタワーディフェンスのようなリアルタイムストラテジーはそこまで多くはないですが、グローバルではかなりの数が出ています。ですので、人が少ないからそこに挑戦したというわけではなく、こういったジャンルで新しい体験をしてもらいたいと考え、本作を制作しました。

――ストーリーの注目ポイントを教えてください。

平林:本作はストーリードリブンという形ではなく、ゲームの体験を楽しんでいただく部分を主としています。なので、ストーリーは非常にナラティブ(語り手=プレイヤーが物語を紡ぐ)に作らせていただいており、構造としてはシンプルになっています。また、意図的に言葉を減らして、ダイヤログがほぼない状態にもしています。

 ストーリーを複雑にして面白さを出そうとすると、どうしても説明が多くなってしまうので、今回はあえてそこの部分を受け取り手であるユーザーの皆さんがクリアしたときの読後感として持っていただけるようにしました。

 ただこれは、映像で言うところのムービーパートやカットシーンと呼ばれるところに対してで、拠点で手に入る絵巻というものがあるのですが、そういうものでこの世界がどうなっているのか思いを馳せていただけるような、そういう要素は散りばめさせていただいています。

 ですので、そういうものから自分なりに“これはこういうことだったのか”と読み取って、遊んだ方それぞれが楽しんでいただけるように工夫しています。

――ストラテジーとアクションのバランスで気を付けた点を教えてください。

川田:宋の強さと村人の強さのバランスを取るのが凄く難しかったですね。開発当初は、宋の力を1.1から1.2にするだけで途端にゲームが簡単になったりしました。かといって弱くすると、今度は攻撃しにいくのが面倒になってしまったりして。

 ですので、敵を倒した感がありつつ、そこまで難しく感じないようにバランスを取りつつ、敵の数をどうするか、種類をどうするかなどをかなり時間をかけて調整していきました。

 宋の強さを軸に考えたうえで、村人も含めてみんなで達成したと感じられるように落とし込むのに苦労しました。

――プレイしていて、村人がかなり強いと感じたのですが?

平林:それはプレイの仕方で、結果的にそう感じられたんだと思います。ちなみに、村人たちには相関図のようなものがあるんですね。ゲーム中にミニテキストがあるんですけど、それを読んでいただくと、あの村の人物とこの村人は兄弟なのかなど、山での村人たちの暮らしやディティールが感じられるようにしています。

――各ステージで助けられる村人は後のステージに引き継げたりするのでしょうか?

川田:ゲームデザインも兼ねているのですが、村人はステージごとにその都度、助ける形になります。引き継げるのは敵を倒したり、穢れを祓ったときに手に入る結晶のみですね。あとは職業も引き継がれます。

 ちなみに、ステージは再挑戦できるのですが、再挑戦した際は一度助けた村人は、すでに助けたことにした状態から始まります。

――ステージに出る村人の最大人数は何人くらいになるのでしょうか?

川田:一番複雑なステージになると、最大12人ぐらいになります(ちなみに、最初のステージの村人は4人)。助ける村人の数や、どの職業に就けるかなど、ユーザーによって幅が出てくると思います。全員を助ける必要もないので、そういう部分で駆け引きを楽しめるような配分にしています。

――敵のデザインで注意した点や見てほしいポイントを教えてください。

川田:本作の敵は、既存の妖怪の名前になっているのですが、皆さんが知っている姿には絶対なっていないと思います。その部分を楽しんでいただけたら嬉しいです。そこに付随して、敵がプレイヤーに仕掛けてくる嫌な行動も含め、新しい妖怪像を確立できたら面白いと思っています。

――本作はREエンジンで制作されていますが、REエンジンならではの持ち味が発揮された部分を教えてください。

平林:REエンジンでの開発は、各タイトルでのノウハウを次のタイトルに活かせるというところなのですが、本作においても非常にプラスになりました。本作ではミニチュアやキャラクターをフォトグラメトリー技術(※)を使ってゲーム内で再現しているのですが、こういった表現において、これまで培われた技術を利用しています。

※被写体をさまざまなアングルから撮影し、そのデジタル画像を解析、統合して立体的な3DCGモデルを作成する技術。

 その分、ビジュアルの品質はもちろん、リアルタイムストラテジー部分のトライ&エラーなど、本作ならではの部分に集中することができました。制作チームも比較的コンパクトなメンバーで行えたのも大きかったと思います。

――価格が4990円ということで驚いたのですが、この価格にした理由を教えてください。また、ゲームのボリュームはどれくらいになるのでしょうか?

平林:まずゲームのボリュームについては、普通に1回ストーリーをクリアするだけでも20時間は下回らないと思います。また、一回ストーリーをクリアした後でも、ステージのミッションの達成にチャレンジするといった、やり込みの部分もありますので、フルプライスと言われているタイトルのコンテンツと遜色ないものになっています。

 ならフルプライスでもいいのではないかと考える方もいると思いますが、今回は新しいチャレンジをさせていただいている中で、ひとりでも多くの方に手に取っていただきたいという想いがありまして。お試しでも手に取っていただけるような価格帯にしました。

――本作はPC(Steam)でも発売されますが、Steam Deckでも遊べるのでしょうか?

川田:Steam Deckで遊べます。また、ゲームパスはストリーミングに対応しているので、Androidといったスマートフォンでも遊んでいただけます。実際、僕はAndroidでプレイできて感動しました。デバックもしっかりしておりますので、ご安心ください。

――老舗京菓子司「京菓匠 鶴屋吉信」とのコラボレーションが発表されましたが、どういった経緯でコラボすることになったのでしょうか?

平林:まず僕が和菓子が好きというのがあるのですが、本作では日本を徹底してやっていこうと決めていたんですね。その中で面白みが出るもの、人を喜ばせるようなものとしてゲーム内で和菓子を出すのがいいのではないかと思いつきました。その話をしたら、チーム内外でもいいねと賛同されまして。

 せっかくやるのであれば、とことんやろうということになり、長く和菓子にこだわられている鶴屋さんにコラボレーションのお声がけをさせていただいたところ、快諾いただけて。チーム一同、非常に頑張った成果となります。

川田:サイズ感などもしっかり監修していただきましたし、和菓子の説明もきっちり書いていただいたので、ちょっとした豆知識みたいな感じになっています。

平林:和菓子というのは、形や見た目など賞味期限があるので、作っていただいてから一両日待つというわけにはいかないんですね。京都にまで行ってその日に作られたものを絶対に揺らさず、壊さず、大阪まで持ち帰り、ゲーム内で再現するためにその日のうちにフォトスキャンをするといったことを繰り返しました。

川田:照明のライトも熱いので、速度を重視して撮影をしました。もちろん、撮影後にお菓子は美味しくいただきました。

――今後コラボレーションの予定や計画はありますか?

平林:何か皆さんに喜んでいただけるものを考えております。

――DLCなど展開のご予定は?

平林:今回はDLCといった形での継ぎ足しは考えておりません。なので、本編で楽しんでいただける部分が我々が用意しているすべてとなります。

――最後にプレイヤーのみなさんにメッセージをお願いします。

川田:見どころとしては、アクション性とストラテジーの要素をカプコンという会社がうまく融合させているところだと思います。我々がどんな風に融合したのか、その意思を感じていただきたいですね。

 もうひとつのポイントとしては、このゲームでは山に住む人々の暮らしにもフォーカスしています。人々とともに厄を祓っていく、そういう一体感を体験していただければと思います。

平林:アクションとストラテジーの2つ要素を楽しんでいただけることを目指しました。そのどちらのアプローチでも、混ぜたアプローチでも、先に進む達成感を感じていただける作りになっておりますので、ぜひ我々の新しいチャレンジを試していただけると嬉しいです。

【ゲーム情報】

タイトル:『祇(くにつがみ):Path of the Goddess』
ジャンル:神楽戦略活劇
販売:カプコン
プラットフォーム:PlayStation 5/PlayStation 4/Xbox Series X|S/Xbox One/Xbox Game Pass/PC(Windows/Steam)
発売日:2024年7月19日
価格:4990円
CERO:B(12歳以上対象)

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