連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第136回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 5月25日~5月31日
正社員の45%「会社は管理過剰」、モバイル通信市場は法人向けが牽引、退職後に備える貯蓄の理想と現実、ほか
2024年06月05日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(5月25日~5月31日)は、企業における非構造化データと生成AIの活用実態、国内通信サービス市場の成長率、会社員の「退職後に備える貯蓄」の実態、ITインフラの運用に関する課題、会社や上司の「管理過剰」がもたらす影響についてのデータを紹介します。
[データ][AI]企業は非構造化データの活用に期待、ただし70%が生成AIでの活用体制が未整備(クリックテック・ジャパン、5月30日)
・非構造化データが「業務効率の改善につながる」と考える企業IT担当は62%
・一方、70%近くが「非構造化データを生成AIで活用する体制が整っていない」
・非構造化データのAI活用に関心を持つ3人に2人が、実際に投資を計画
2024年4月に実施した「非構造化データと生成AIに関する調査」より。「非構造化データが業務効率の改善につながる」との回答は62%だったが、「イノベーションを促進できる」は31%にとどまった。また、非構造化データの生成AI利用に関心がある回答者のうち、3人に2人が非構造化データ用の生成AIツールへの投資を計画しているが、AI技術に「重要な」投資を行っているという回答は22%だった。
[モバイル][消費者][IoT]国内通信サービス市場、個人向けはマイナス、法人向けはプラスで2028年に6.7兆円規模へ(IDC Japan、5月29日)
・国内モバイル通信サービスのエンドユーザー支出額は2023年、前年比マイナス0.3%
・個人セグメントのデータ通信支出額はマイナス0.9%
・法人セグメントは5.1%増、IoT端末や業務用デバイスの通信需要が後押し
国内通信サービス市場予測より。2023年の国内モバイル通信サービスのエンドユーザー支出額は6兆6800億円で、前年比マイナス0.3%となった。個人セグメントにおけるデータ通信支出は前年比マイナス0.9%と縮小したものの、2022年の落ち込み(マイナス2.9%)からは改善している。一方で法人セグメントでは、IoT端末や業務用デバイス向けの需要拡大により、前年比5.1%のプラスとなった。こちらも2022年の成長(3.2%)を上回っている。この市場は2028年まで年間平均成長率(CAGR)0.3%で成長し、2028年には6兆7750億円規模を見込む。
[生活]中・大企業社員の69%が「前年の収入に対し、退職後に備える貯蓄が十分ではない」(WTW、5月27日)
・退職後に備えた貯蓄が「十分ではない」は69%
・年収に対する目標貯蓄額の平均は23%、しかし実績は平均14%
・退職後に備えた「積立は順調、新規積立も十分(貯蓄率年8%超)」は32%
隔年で実施しているグローバルベネフィット意識調査の最新版。日本の大規模/中堅企業の社員1000名を対象に調べた。「前年の収入に対して、退職後に備えるための貯蓄(会社が提供する退職給付を含む)は十分ではなかった」と回答したのは69%で、2019年の72%、2022年の66%と並ぶ高い水準だった。また、前年の年収に対する「目標貯蓄額」は平均で23%だったが、「実績貯蓄率」はこれを下回る平均14%にとどまった。これまでの在職期間を含め、退職後に備える貯蓄について「積立は順調で、新規積立も十分(貯蓄率年8%超)」と回答した人は全体の32%だった。
[ITインフラ]国内のメインフレーム継続利用意向は62%、ITインフラ運用の課題は「スキル不足」がトップ(IDC Japan、5月27日)
・ITインフラ採用方針は「専有型ITインフラを優先(必要に応じてクラウド)」が45%で最多
・ITインフラの課題トップは「ITエンジニアのスキル不足」で25%
・メインフレームを次回も更新して継続利用する意向の回答者は62%
ITインフラ導入の意思決定などに関与する557人を対象に国内で実施した、ITインフラ運用動向調査より。ITインフラの採用方針では「専有型ITインフラを優先(必要に応じてパブリッククラウドも利用)」(45.2%)が半数近くを占め、「マルチクラウド/マルチインフラ(適材適所)」(29.1%)が続く。課題のトップは「エンジニアのスキル不足」で、具体的なスキル分野としては「クラウド/ソフトウェア」や「セキュリティ」などが挙がる。メインフレームに対する次回更新の方針については、「更新して全面的に継続利用」と「部分的に残し、他のプラットフォームと併用する」の合計が62.5%で、継続して利用する意向が強いことがわかった。
[人事]会社/上司からの「管理過剰感」と「疲労感」「離職意向」の関係(リクルートマネジメントソリューションズ、5月30日)
・正社員の45%が「会社は従業員を管理しすぎ」、32%は「上司が管理しすぎ」
・管理過剰感が高いと感じる上司は「報告・連絡・相談を求める」
・管理過剰感と「疲労感」「離職意向」には正の相関関係、「適応感」「主体性」には負の相関関係
会社勤務の正社員930名を対象にした「会社や上司からの管理に関する意識調査」より。「管理が過剰」と感じる割合は、会社に対しては45.7%、上司に対しては32.3%。会社からの管理過剰感につながるのは「ノルマ・行動管理」「監視」「規則・手続きが多い」など、上司からの管理過剰感につながるのは「細かな指示や口出し」「報告・連絡・相談を求める」など。「管理過剰感の強さ」に基づき回答者を高群/中群/低群に分けて分析したところ、高群は低群に比べて「適応感」が低く、「疲弊感」も高いといった相関関係が見られた。

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