連載:今週の「ざっくり知っておきたいIT業界データ」 第120回
IT市場トレンドやユーザー動向を「3行まとめ」で理解する 1月27日~2月2日
日本のCEO 64%が「10年後に存続できず」、Z世代 34%が“推し活”に投資、2023年はメガランサムウェアの年、ほか
2024年02月05日 08時00分更新
本連載「ざっくり知っておきたいIT業界データ」では、過去1週間に調査会社などから発表されたIT市場予測やユーザー動向などのデータを、それぞれ3行にまとめてお伝えします。
今回(1月27日~2月2日)は、2023年のサイバー脅威状況の総括、企業における生成AI技術の採用動向、Z世代の“推し活”や購買行動、日本のCEOの危機意識、日本企業におけるデータ活用の成果と課題についてのデータを紹介します。
[セキュリティ]2023年は“メガランサムウェア”攻撃の年、組織の10%が標的に(チェック・ポイント・ソフトウェア・テクノロジーズ、1月29日)
・2023年にランサムウェア攻撃を受けた組織は13中1組織
・年平均の攻撃件数は1組織6万件、週平均攻撃数は1158件、2022年比1%増
・小売・卸売への週あたり攻撃数は2022年比22%で増加
同社の脅威インテリジェンス部門チェック・ポイント・リサーチがまとめた2023年のサイバー脅威データ。2023年のランサムウェア攻撃は、従来型に加えて大規模な“メガランサムウェア”が増加した。2023年、組織全体の10%がランサムウェア攻撃の標的となり、過去最大となった。最も多かった地域は「アジア太平洋」で、11%の組織が攻撃の標的に。サイバー攻撃全体では、世界中の組織が週平均1158件の攻撃を経験。「アジア太平」洋は1930件(前年比3%増)と、やはり最多の地域となった。
[生成AI][データ]企業における生成AIの導入率は38%、多くはサードパーティLLM/プロンプトエンジニアリング採用(インフォマティカ、2月1日)
・企業における生成AIの導入は日本38%、世界は45%
・57%がサードパーティLLMを使ったプロンプトエンジニアリングの形式
・LLMをファインチューニングしている企業は19%
日本を含む11カ国で、CDO(最高データ責任者)やCAO(最高分析責任者)など600人を対象に、生成AIの導入状況、データ戦略について調査した「CDO Insights 2024: Charting a Course to AI Readiness」より。生成AIの導入について、日本では38%(世界45%)が「すでに導入済み」、また38%が「今後2年以内に導入予定」とした。導入手法としては「サードパーティLLM/プロンプトエンジニアリング」の採用が57%(日本、世界)を占める。また「オープンソースのLLM」は48%(世界51%)、「RAG(Retrieval-Augmented Generation)」は48%(日本、世界)が、それぞれ利用している。「LLMのファインチューニングやカスタマイズ」を行う企業は、現時点では19%(世界43%)にとどまる。
[消費者][Z世代]Z世代の34%が“推し活”に投資、50%は「お金を借りてでも」推し活をしたい(みんなの銀行、iBankマーケティング、1月30日)
・“推し活”にお金をかけているZ世代は34%
・「借金をしてでも推し活をしたい」Z世代は50%
・Z世代の80%が「商品購入のきっかけはSNS」
Z世代(18~26歳)の購買行動に関する調査。“推し活”にお金をかけるZ世代は34.3%、Y世代(27歳~42歳)は14.1%、X世代(43~58歳)は6.7%。推し活に投資するZ世代の50%が「お金を借りてでも」推し活をしたいと考えている。「購入のきっかけ」となるのは「SNS」が最多で80%、次いで「ネットショップ」「店頭」など。なお、SNSを購入のきっかけにあげたY世代は6割強、X世代は4割強。Z世代がSNSをきっかけに購入するカテゴリとしては「ライブ・イベント」(90.5%)「美容」(90%)「推し活」(89.3%)が多く挙がった。
Z世代の34.3%が、有名人やキャラクターを応援する“推し活”に投資している(出典:みんなの銀行、iBankマーケティング)
自由に使えるお金が少ないほど、推し活に投じるお金の比率が高い(出典:みんなの銀行、iBankマーケティング)
何かを購入するきっかけとなるチャネルは、Z世代、Y世代は「SNS」が、X世代は「ネットショップ」が最多(出典:みんなの銀行、iBankマーケティング)
[経営]日本のCEOの64%が、現状を変えなければ「10年後に経済的に存続できない」(PwC Japanグループ、2月2日)
・今後12ヶ月で自社の売り上げ成長見通しに「自信がある」CEOは67%
・生成AIによる影響は約4割が「自社従業員、自身の生産性が向上」と予想
・現状のままでは「10年後に自社が経済的に存続できない」は64%、世界の45%を上回る
世界105カ国・4700人以上(日本は179人)のCEOを対象に行った「第27回 世界CEO意識調査」より。「現在のビジネスのやり方を変えなかった場合、10年後に経済的に存続できない」と考える日本のCEOは64%(世界45%)で、前回調査に続いて半数を超えた。世界的に見て日本のCEOは将来に対する危機感が強い。改革を阻む要因として、日本では「自社の硬直的なプロセス」(30%)、「テクノロジーに対する自社の技術不足」(27%)、「従業員のスキル不足」(24%)がトップ3。一方で世界は「規制環境」(36%)がトップだった。
[データ]データ活用から全社的な成果を得ている企業は3%(ガートナージャパン、1月29日)
・データ活用から全社的に成果を得ている日本企業は3%程度
・データ利活用の状況や組織体制は「該当なし」が6割で最多
・データ管理の状況については「わからない」が最多
日本企業のデータ活用の取り組みに関する調査。データ利活用への関心は高いものの、「全社的に成果を得ている」割合は3%程度。前回(2022年7月)の2.2%から微増にとどまる。自社のデータ利活用に対する状況/組織体制については約6割が「該当するものがない」、またデータ管理の状況は「わからない」が最多だった。DXを大きく打ち出している一方で、データ利活用の取り組みの姿勢を内外に示すこともなく、組織体制も整備されていない、とガートナーは指摘している。

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