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企業価値につながるコンタクトセンター内製化 LIXILとARIが人とテクノロジーで実現

2024年01月17日 09時00分更新

文● 大谷イビサ 編集●ASCII 写真●曽根田元

提供: ARアドバンストテクノロジ

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 建築材料・住宅設備機器において業界最大手のLIXILは、水回り商材に特化した見積もり・発注システムの利用をサポートするコンタクトセンターを内製化している。ARアドバンストテクノロジの人材育成および業務改善支援とAmazon Connectのレポート可視化ツール「Mieta(ミエタ)」導入により、自走するコンタクトセンターに成長している。

3ヶ月で在宅コンタクトセンターを内製化せよ

 トイレ・お風呂・キッチンなどの水回り製品、窓、玄関ドア、インテリアなど建材製品を展開するLIXIL。トステム、INAX、新日軽、サンウエーブ工業、東洋エクステリアの5社合併からすでに12年が経ち、住まいと暮らしを支える総合住生活企業としてLIXILのブランドは高い認知度を誇る。2022年には本社を東京都品川区の大崎ガーデンタワーへ移転し、働き方改革も加速。既存事業の変革や新規ビジネスの開発、従業エンゲージメントの向上などを目的としたDXについても、2年連続で「DX銘柄」に選定されており、国内企業をリードする立場にある。そんな同社が2021年からチャレンジしているのが、「イイコネ(e-Connection)」のコンタクトセンターの内製化だ。

 イイコネは、流通店様や社内の営業メンバーを対象として、水回り製品の見積もりから発注まで行なえるシステム。コンタクトセンターの構築・運営をリードするLIXILの小田豊氏は、「もともと見積もりはメーカー側の仕事でした。でも、人員も限られるし、時間がかかってしまうため、イイコネを作りました。イイコネを使えば、パートナーがオンラインで見積もりや発注書の作成が可能で、納期まで分かります。LIXILの代理店であれば、他社より早く提案できるという差別化にもつながります」と、イイコネについて説明する。

LIXIL デジタル部門 システム開発運用統括部 デジタルサービスサポート部 小田豊氏

 イイコネは、前世代も含めて10年以上の歴史を持っており、さまざまなシステムとの統合を繰り返し、進化を続けている。現在では、単に見積もりや発注書の作成だけでなく、図面やプレゼンボードを作ったり、商品のQ&Aを調べたり、メンテナンスの依頼まで可能になった。また、ダウンロード型だった前世代のシステムと異なり、クラウドにシフトしているため、大容量データでも軽快に動くのが大きな特徴。しかし、機能がリッチになり、利用する流通店様が増えるとともに、営業だけでは問い合わせをさばききれなくなってきた。そこで構築されることになったのが、イイコネの問い合わせをまるごと引き受ける専門部隊となるコンタクトセンターだ。

 当初、このイイコネ向けコンタクトセンターは、外部にアウトソーシングしていた。しかし、実際に運営してみるとコール数とコストのバランスを上手く取れず、社内にノウハウが溜まらないという課題があった。「イイコネを多くの流通店様に拡大していくとなると、社内の営業との連携も重要だし、アウトソーシングだと問い合わせのデータを溜めて活用するのも難しかった」と、小田氏は振り返る。また、コンタクトセンターの拠点が札幌にしかなかったため、BCPの観点においても問題があったという。

 こうした課題を解決すべく、2021年3月に経営陣からの方針で決まったのが、イイコネコンタクトセンターの内製化だ。しかも、コロナ禍ということもあり、最初からすべて在宅で対応することになった。「企画がスタートしたのが4月で、センター運営のスタートが7月。3ヶ月間は、怒濤の日々でした」と、小田氏は振り返る。

Amazon Connectでコンタクトセンター構築実現 課題は人材育成

 センター規模は、20程度。3ヶ月という期間が切られたプロジェクトだったが、音声基盤システムは短期間で構築し、オペレータの訓練になるべく時間を割く必要があった。これを実現するための選択肢は、 AWS(アマゾン ウェブ サービス)のクラウドコンタクトセンターサービスであるAmazon Connect(アマゾン・コネクト) しかなかったという。「選定したのはゴールデンウィークだったので、システム構築は実質1ヶ月でした」(小田氏)。

 構築を担当したベンダーの奮闘もあり、電話とCTIのシステム構築は、1ヶ月でなんとか完了。しかし、そこからコンタクトセンターでの業務未経験者が大半のオペレータへのAmazon Connectの指導やイイコネに関する教育は大変だった。5月からチームにジョインした竹川寛氏や黒川純子氏も、コンタクトセンターの業務は初めて。「ヘッドセットをして、受話器を持たずに、知らない方とお話するという段階で、敷居が高かったです」(竹川氏)、「社員としてイイコネは使ってきましたが、コンタクトセンターでみなさんに教えるほどの知識や経験はありません。こちらが聞きたいくらいだったので(笑)、始まるまでは不安でした」(黒川氏)と振り返る。

LIXIL デジタル部門 システム開発運用統括部 デジタルサービスサポート部 SVL 竹川寛氏

オペレータの黒川純子氏

 このようにイイコネコンタクトセンターの最大の難関は、システム構築より、コンタクトセンターでの業務未経験の社員を短期間でコンタクトセンター要員に育て上げることだった。しかも、単純に操作についてサポートすればよいだけではなく、複数の部材を適切に組み合わせるためのコンサルティングまで踏み込むのがここでのポイントだ。長くキッチンの見積もりを担当してきた黒川氏は、「キッチンは特にそうですが、見積もりは複数の部材をプラモデルのように組み合わせて、施主様の理想に近づけていく作業です。でも、組み合わせられない部材同士を組み合わせてエラーが出てしまったり、施主様の意図にそぐわないものが出たりしてしまうので、この場合は別の提案を出す必要があるんです」と語る。

 もちろん、キッチンのみならず、ユニットバス、トイレ、キッチン、洗面化粧台、タイルなど、総合メーカーであるLIXILは扱う商品数も多いので、膨大な商品知識が必要だ。加えて、どんな問い合わせが来るかも分からないインバウンドの対応は、架電先や商材が決まっているアウトバウンドよりもハードルが高いという。「人数が多くないので、担当も分けられない。すべての問い合わせを受けられる人員を短期間で育てなければなりませんでした」と小田氏は振り返る。3ヶ月に商品知識や電話対応などの研修を詰め込み、土日祝日も問い合わせ対応のため、チームも複数で構成したという。

 結局、研修は1ヶ月では厳しかったため、アウトソーシング先の担当者に数ヶ月残ってもらい、オーバーフローした際の対応やメンバーの教育・指導のために伴走してもらった。自らがオペレータとして学ぶだけではなく、あとから来たメンバーが迅速に業務にかかれるように、研修カリキュラムを構築したり、通話録音ログを解析したりするといったことも並行で行なった。なんとか2021年10月には人員面は完全内製化にシフトし、遅れていたCRMシステムも11月に構築が完了したという。

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