◆ツーリングのおともに選んだのはスズキ「Hayabusa」
都会の熱帯夜に嫌気がさし、夏の終わりにソロキャンプに出てみたくなった。涼を求めるなら、行き先は海ではなく山だ。標高1000m以上が、寝苦しくない高さの目安。今回は中央高速を西に150kmほど走った八ヶ岳近辺のキャンプ場を目指した。キャンプ道具をタンデムシートにくくりつけ、楽しく高速クルーズを楽しむパートナーにスズキの「Hayabusa(隼)」を選んだ。
主に高速を使って移動する時、安全性の面も含めてフルカウルのバイクを選ぶのは当然の選択。さらにハイパワーであればあるほど、高速クルーズは楽しくなる。そう言った意味でも、Hayabusaは最良の選択のひとつだ。しかもマイナーチェンジを施したHayabusaには、新たにクルーズコントロールが装着されている。つまり高速道路で、スロットルをホールドする必要がなくなったのだ。
たったそれだけのことが、どれほどライダーの疲労を軽減するか。一度乗ったら病みつきになるほど、ライダーファーストの機能だ。
約1.5時間の高速クルーズを楽しみ韮崎インターから、北杜市明野にある「フラワーフェス」に向かい、夏の象徴とも言えるひまわり畑を見に行った。言ってしまえばなんて事はないのだが、夏の青空に咲き誇る黄色の大輪はとても美しい。東京に住んでいると、季節を知らせてくれるものは意外と少ない。これもロングツーリングの大きな魅力のひとつだ。
◆高速道路を使わなくても低速域でも安定しているHayabusa
まだまだ暑い明野でひまわりを見たあとは、小淵沢を目指す。明野から小淵沢までの25kmは、あえて高速を使わず田舎道を楽しんだ。まだまだ時期ではないが(この時8月上旬)、見事なぶどう畑や八ヶ岳が眺望できる道を選んでゆっくりクルージング。そんな低速域でもホイールベースの長いHayabusaは、安定していてラクができる。
小淵沢では地元野菜を使った料理が有名な「ハーベストテラス」で軽めのランチを楽しむ。テラス席からは、日本百名山にも選出されている甲斐駒ヶ岳を見ながらランチを楽しめるのだ。ランチ後はヒートアップした体を、クールダウンするために「道の駅小淵沢」へと向かった。お目当ては天然氷のかき氷だ。
夏の時期しか営業していないとのことだが、天然氷に地元で取れた桃のシロップをかけてもらったかき氷は絶品。自分が日本人であった事、そして暑い夏に感謝したくなるほどだ。
体を中からクールダウンさせた後は、キャンプ場に向かってワインディングを楽しむ。標高1000mから1300mまで緩やかに登る、八ヶ岳高原ラインで清里方面へ。大きめのRが続くこの道は、大きめのHayabusaで走っても格好のワインディング。しかも、体に当たる空気もかなり涼しいし、森の間から時折覗かせる展望も山の中腹ならではの絶景だ。
高速走行から、ゆったりとしたクルージング、ワインディングとオールマイティにこなすHayabusaを選んだのは大正解だ。BMWやハーレーでももちろん楽しめるが、国産ではHayabusaがベストチョイスに思える。
◆片道2時間の距離がほどよく気分転換になる
途中のコンビニと地元のハム工房で、夕食の買い出しを済ませ一路キャンプサイトへ。受付で宿泊料3000円を支払い、所定の場所でテントを設営。夕食までの数時間を、コーヒーを飲みながら過ごす。やがて夕刻から夜になる頃(この時期は19:30くらいに日が落ちた)、用意していた食材を日にかけゆっくりと夕食を楽しむ。
一人の夕食はあっという間に終わってしまうが、ここからさらにお楽しみがある。都会では決して見ることのできない星空だ。山中のキャンプサイトの夜は、漆黒と言って良いほど夜が深い。食後のコーヒーを飲みながら、椅子に座って見上げる夜空は格別だ。星空といえば阿智村が有名だが、八ヶ岳近辺の夜空も捨てたものではない。
都会に住んでしまうと、夜空を見上げることなど皆無だ。この景色を見るだけでも、遠くまで来た甲斐がある。しかも気温は18度と若干肌寒いほどだ。
都心から2時間程度の程よい距離で、この環境を味わえるのはうれしすぎる。今年の夏は特に暑かった。都会の喧騒や熱気、熱帯夜から逃れられるキャンプツーリングはリフレッシュのひとつだ。新宿から約150kmは、程よいツーリングの距離でもある。仲間とツーリングし、キャンプでワイワイ過ごすのも良いだろう。そして深い山中の闇の中で眠りに落ちる。一見遠い世界にに思えるが、意外と簡単に経験できるものだ。
仕事などでずっと座っている重い腰を上げて、キャンプツーリングに出てみてはいかがだろうか。
■筆者紹介───折原弘之
1963年1月1日生まれ。埼玉県出身。東京写真学校入学後、オートバイ雑誌「プレイライダー」にアルバイトとして勤務。全日本モトクロス、ロードレースを中心に活動。1983年に「グランプリイラストレイテッド」誌にスタッフフォトグラファーとして参加。同誌の創設者である坪内氏に師事。89年に独立。フリーランスとして、MotoGP、F1GPを撮影。2012年より日本でレース撮影を開始する。
■写真集
3444 片山右京写真集
快速のクロニクル
7人のF1フォトグラファー
■写真展
The Eddge (F1、MotoGP写真展)Canonサロン
Winter Heat (W杯スキー写真展)エスパスタグホイヤー
Emotions(F1写真展)Canonサロン
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