日本電気(NEC)は11月9日、日本電信電話(NTT)、東日本電信電話(NTT東日本)と共同で、光ファイバー振動センシング技術を応用し、既に地下に敷設してある通信用光ファイバーに伝わる振動特性から路面状態を推定する機械学習モデルを構築し、豪雪地帯における道路除雪を判断する実証実験に世界で初めて成功したことを発表した。
本実証実験は、青森市内で2022年11月~2023年3月にデータ計測、2023年9月解析・有用性の検証が完了したもの。今冬も継続予定としている。
本実証において3社は、青森市内の道路地下に敷設されている通信用光ファイバーの上部側終端部にセンシング装置を接続して、3つの除雪工区内にある市道の交通振動を2022年11月から2023年3月までセンシングした。
交通振動から車速情報と振動周波数の応答特性の統計データを取得し、除雪要否判定モデルを構築し、精度を評価した。本実証実験を通じて、積雪による路面状況の変化により車速や振動周波数の特性が変化する旨を新たに発見し、モデル化した。
本技術では、すでに張り巡らされている通信用地下光ファイバーが感知した振動データを収集することで、除雪工区内の複数地点における除雪判断の遠隔実施が可能となる。また、対候性に優れるメンテナンスフリーな通信用光ファイバーをそのままセンサーとして活用可能であり、新たなセンサーデバイスの設置が不要である点もメリットとなる。
交通流の円滑さの指標となる車速情報と、路面状態と相関を持つ振動周波数の応答特性を特徴量として構成した除雪要否判定モデルの活用より、調査員の経験則によらず適切な除雪判断が可能となる。また、道路毎に取得したデータから、リアルタイムに除雪判断が可能だ。これにより、道路を除雪するか判断する除雪オペレーターの担い手不足に対応する。
本成果を踏まえ、3社は地域様相の異なるエリアにおいても実験を継続し、将来的にはリアルタイムでの除雪実施判断のDX化により持続可能な道路除雪体制の維持など、豪雪地域の課題解決を目指す。さらに、通信インフラを活用して収集可能な市街の振動データや環境情報を解析することで、地域課題を解決可能な光ファイバーセンシングの応用技術を確立していく。