ソニーが10月13日に発売する超小型のフルサイズミラーレス「α7CⅡ」と「α7CR」。
前編では外観やスペック周りを紹介したが、今回は気になる画質や実際に撮ってみて感じたことをお伝えしていこう。
3300万画素と6100万画素
果たして写りの違いは!?
画素数は「α7CⅡ」が3300万画素で「α7CR」は6100万画素になる。遠景を撮影した写真を拡大して解像感を比較してみると、もちろん画素数が高い「α7CR」のほうがサイズは大きいが「α7CⅡ」も細部の解像感はなかなかのものだ。
考えてみれば現在のスタンダードクラスのフルサイズは2400万画素が主流なので、それよりもワンランク上の解像感が得られるのは当然なのだ。
両機の画質を定点撮影で比較。JPEGのLサイズ、エクストラファインで撮影したときのデータは「α7CⅡ」(写真上)は7008×4672ドット、「α7CR」(写真下)は9504×6336ドットだ。使用レンズ「FE28-60mmF4-5.6」・絞りF8・シャッタースピード1/320秒・ISO100・ホワイトバランスオート。
使用したレンズは「α7CⅡ」のキットにもなっている「FE28-60mmF4-5.6」。ズーム比や開放F値は控えめだが、沈胴式で収納時はとてもコンパクトである。2420万画素の従来機「α7C」と同時に登場したレンズなので、6100万画素の「α7CR」に耐えられるか気になったが、予想以上(と言っては失礼か!)の解像力で全然負けていない。こうなると「α7CR」とのレンズキットも欲しかったところだ。単体で購入すると4万9400円になる。
「ピクセルシフトマルチ撮影」で2億4080万画素の写真を撮影可能
高感度特性は互角か
「α7CR」には画素をずらした撮影した複数の画像を合成する「ピクセルシフトマルチ撮影」を搭載している。
RGB各色の情報を得て解像感を向上させる4枚合成と、2億4080万画素の高画素画像を生成できる16枚合成が選べる。わずかなブレでもピクセルズレを起こすのでカメラを三脚で厳重に固定し、さらに専用ソフトでの処理が必要など敷居は高いが、より高画質を求めたいのなら試してみるといいだろう。
「α7CR」で通常撮影した写真(上)と「ピクセルシフトマルチ撮影」で生成した写真を比較。4枚合成(写真中)では細部の解像感が向上しているのがわかる。16枚合成(写真下)は少し描写の甘さがあるが、19008×12672ドットの巨大なサイズが得られた。使用レンズ「FE28-60mmF4-5.6」・絞りF8・シャッタースピード1/400秒・ISO100・ホワイトバランスオート。
高感度は「α7CⅡ」が常用最高はISO51200で拡張はISO204800まで、「α7CR」は常用最高がISO32000で拡張ISO102400まで設定が可能と異なる。
「α7CⅡ」はISO12800くらいでノイズが目立ち始めるが、ノイズ処理が絶妙でISO25600程度までは常用できる。
「α7CR」もISO12800程度なら常用範囲だが、最大感度の違いからわかるようにノイズや解像感に約1EV程度の差があるように感じる。ただ高画素なので縮小して使用する分にはISO12800くらいまでは、両機の差は気にならないレベルだ。
「α7CⅡ」(写真上)と「α7CR」(下)の高感度別に撮影した写真の一部を拡大して比較。ともに左上からISO3200・ISO6400・ISO12800・ISO25600・ISO51200・ISO102400。ノイズ処理は標準。
最新の専用チップによるAIAFで
人物追従力も向上
ボディー内手ブレ補正はともに約7段と「α7C 」の約5段から向上している。実際に手ブレ補正非搭載のレンズ「FE28-60mmF4-5.6」で試しみると、広角側遠景なら1/2秒でも高確率でブレを防止してくれた。また高画素の「α7CR」のほうがブレやすいかと思ったが、両機とも同等の効果が得られ、手ブレ補正が強化されたことを実感できた。
「α7CR」に「FE28-60mmF4-5.6」で撮影。試しに広角側遠景を1秒のスローシャッターでも撮影してみた。確率は低くなるが、しっかり構えればこの写真くらいにはブレは抑制できた。絞りF5.6 ・シャッタースピード1秒・ISO500・ホワイトバランスオート・JPEGエクストラファイン。
「α7CR」に「FE28-60mmF4-5.6」で撮影。望遠側の中近景でも1/4秒程度ならブレは目立たない。絞りF4・シャッタースピード1/4秒・ISO2500・ホワイトバランスオート・JPEGエクストラファイン。
「α7RⅤ」や「α6700」と同様にAIプロセッシングユニットによる被写体認識機能も搭載し、人物や動物/鳥、車/列車や飛行機、昆虫が選択できる。
認識精度は両機ともに同等のようで、今までの機種のように被写体が明確な場合は、すんなり認識してくれた。
ただ前ボケがあったり、複数の被写体から対象を変更したいときなどは思うように認識しくれない場合もある。被写体認識に任せきりにするよりAFエリアをワイドからスポット変更するなど状況に合わせた工夫が必要だろう。
「α7CⅡ」で撮影。真っ黒なカラスでもちゃんと瞳を認識した。使用レンズ「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/1250秒・ISO800・ホワイトバランスオート。
カメラを「α7CR」に変えてカラスを撮影してみたが、認識具合は同等だった。使用レンズ「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF5.6・シャッタースピード1/250秒・ISO1250・ホワイトバランスオート。
このくらい被写体が小さいと瞳認識は微妙だったが、形状で鳥と認識してくれたようだ。「α7CⅡ」・使用レンズ「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/800秒・ISO100・ホワイトバランスオート。
AFエリアをワイドで撮影。複数の被写体がいる場合は基本手前を認識する。認識対象を変えたい場合はAFエリアをスポットにして測距点移動させる必要がある。「α7CR」・「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/2500秒・ISO1600・ホワイトバランスオート。
これもAFエリアはワイドだが、おそらく手前の鳩が横を向いたため奥の鳩に瞳を認識したらしい。その後どうやっても手前の鳩にピントが戻らなかった、AFエリアをスポットに変更して認識対象を変更した。「α7CⅡ」・使用レンズ「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/400秒・ISO100・ホワイトバランスオート。
顔ははっきり見えているが、薄暗い場所で、前ボケも大きいからかAFエリアのワイドではなかなか認識せず・・・こちらもスポットに変更して撮影した。「α7CⅡ」・使用レンズ「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/500秒・ISO1250・ホワイトバランスオート。
AFエリアのスポットで、さらに測距点をSサイズまで小さくして、木の枝に奥にある瞳を強引に認識させた。「α7CR」・「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/250秒・ISO1250・ホワイトバランスオート。
都市部の上空を飛ぶ飛行機。手前に建物があっても被写体認識のおかげで難なく飛行機にピントが合う。「α7CR」・「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/1000秒・ISO100・ホワイトバランスオート。
街路樹を前ボケにして撮ってみたが、この状況でも飛行機を認識してくれた。「α7CⅡ」・使用レンズ「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/2500秒・ISO100・ホワイトバランスオート。
被写体認識の昆虫で撮影。蝶が激しく飛び回っていたため追随するのに少し苦労していた。「α7CⅡ」・使用レンズ「TAMRON70-180mm F2.8」・絞りF2.8・シャッタースピード1/2000秒・ISO1250・ホワイトバランスオート。
軽快に高速AFでスナップ「α7CⅡ」
どこにでも持ち歩ける最高画質「α7CR」

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