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Windows Info 第393回

Windows 11のWinUI3対応で、MicrosoftはWin32アプリ、さらにWindows自体を改良しようとしている

2023年08月20日 10時00分更新

文● 塩田紳二 編集● ASCII

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Windows自体の改良も再スタート

 WinUI3やWindows App SDKは、いまだに主流となっているWin32アプリケーションに、UWP同等の「モダン」なユーザーインターフェース(記事冒頭画面)を持ち込む、開発者のための機能だと当初は考えていた。しかし、WinUI3は、Windows自体を改良するためのものという側面もあることに気がついた。

 今年秋のWindows 11アップデート(Ver.23H2)では、エクスプローラーがWinUI3対応になる。WinUI3はProject Reunionの産物で、このプロジェクトは、今ではWindows App SDKと名前を変えて開発が進められている。WinUI3は、このSDKで提供されるユーザーインターフェース・コンポーネントである。簡単に言うと、WinUI3は従来UWP用だった“モダン”なユーザーインターフェース・コンポーネント(GUI部品)をWin32アプリでも利用できるようにしたものだ。

 Windowsに同梱されているプログラムの中には、UWP化してモダンなUIを取り入れたものもあるが、機能上UWPでは実現が難しいものものある。Windows APP SDKを使うことで、これらにUWP同等の進歩したUIや高機能を持たせることが可能だ。

 コントロールパネルから「設定」アプリへの移行など、Windows 8以降、Windowsの標準的なユーザーインターフェース部分は、ストアアプリやUWPを使って更新されてきた。しかし、いまだに旧来のGUIを残す部分も少なくない。UWPアプリには制限があり、カバーしにくい領域もある。Windows App SDKを使うことで、こうしたWin32アプリとして残されたプログラムをWinUI3化することで、見た目を最新にして、高機能を提供することが可能になる。

 よく考えれば、Windowsアプリの世界最大の開発者は、Microsoft自身である。つまり、開発者にとってメリットのあることは、Microsoft自身のメリットにもなる。そう考えると、Project Reunion、つまりWindows App SDKを最も必要としていたのはMicrosoftであり、WinUI3が作られた目的の1つが、Windows自体の改良だったのだ。

 Windows 11から標準搭載アプリとなったWindows Terminalが、非UWPアプリになったのも同じような理由からだ(「タブのウィンドウ間の移動も可能に! Windows Terminal v1.17/v1.18の新機能を見る」)。Windows TerminalもモダンなUIを使うために、UWPアプリ部分とWin32アプリを組み合わせた複雑な構造を持っていた。しかし、UWP化という条件が外れたため、Win32アプリとなった。

 また、Windows 11のアップデートでは、頻繁にウィジェットが更新されている。これも、Windows App SDKに関係がある。というのは、ウィジェットはWindows App SDKで開発されているため、Windows App SDKがバージョンアップするときにウィジェット関連の機能も強化されてきたからだ。

 Windows App SDKは、すでにVer.1.3が安定版でVer.1.4のプレビュー版が登場している。今年1月にVer.1.2.3がリリースされており、アップデート頻度は1月に1~2回と低くない。GitHubにリポジトリ(https://github.com/microsoft/WindowsAppSDK)があり、ここでリリース状況を知ることができる。

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