原価高騰で“型落ちチップセット”が選択肢に
スマートフォン市場では部材費の高騰や円安基調などで、日本における端末代金がとにかく上がっているのが現状だ。また、世界的にもハイエンドスマートフォンの売れ行きは決して良いとは言えず、さらにチップセットの進化も緩やかになりつつあるという状況にある。
そこで、スマートフォンメーカーとしては、最先端のチップセットを採用することなく、あえて、すでに量産効果が出ていて、コストの安くなりつつある「型落ち」を選ぶ傾向にあるようだ。
また、Snapdragon 8+ Gen1に関しては、サムスン電子からTSMCに製造が変更となり、発熱問題なども解消していることから、Nothing Technologyなどは積極的に搭載に踏み切ったとしている。
半導体メーカーも“型落ち”採用をうながした
この型落ちを選ぶ傾向は、実はクアルコムがある程度、メーカーに促した感もある。
昨年11月に開催されたSnapdragon Summitにおいて、クアルコムのシニアバイスプレジデント、アレックス・カトージアン氏は「2年というライフサイクルにすることで、部材費は下がり、価格も下がる。最新のハイエンドモデルを販売するだけでなく、過去のハイエンドモデルの寿命を延ばすことにもなる」と語る。
業界を俯瞰してみれば、アップルも昨年9月に発売したiPhone 14 Proは最新のA16チップを搭載しているが、iPhone 14に関しては一昨年のA15チップを継続している。アップルとしても、ハイエンドは最先端を追いかけつつ、普及モデルに関しては型落ちとも言えるチップを継続し続け、コスト削減を狙っている感があるのだ。
特にアップルはiOSの寿命が長いと言うこともあり、数年前のモデルも継続的に販売しつつ、毎年のように値下げを行い、ユーザーが手に取りやすいようにしている。
最近ではこうした売り方をAndroid勢も真似するようになり、Galaxy S23が出た後には、Gaalxy S22の価格を調整し、手軽に買える施策もするようになった。
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