凸版印刷は6月1日、スマホで撮影したくずし字資料を高精度のAI-OCR技術によりその場で手軽に解読できるiOS版くずし字解読アプリ「古文書カメラ」の配信を開始した。
また、古文書の一部分だけ範囲を指定して解読する機能や、AI-OCRが提示する複数の解読候補から選択する機能、解読結果を利用者が修正する機能等を搭載することで、より専門的で高度な利用シーンにも対応する。
古文書は、日本国内に数十億点以上残存すると言われているが、ほとんどは「くずし字」で書かれているため現代人にとって判読が困難となってしまい、当時の記録・文献を活用する際の大きな障壁になっている。また、個人が所有している古文書は、内容がわからないために破棄されるケースも多く、解読されないまま災害による損傷や紛失、焼失などのリスクにさらされた状態で全国各地に眠っている。
同社は、これらの課題を解決する新たな手法として、2015年より大学共同利用機関法人人間文化研究機構 国文学研究資料館との共同研究を開始し、以後、多数の研究機関等とくずし字OCR技術の開発・実証を重ねてきた。2017年にリリースした原本画像と解読テキストを重ねて表示できる「ふみのは ビューア」、2021年にリリースしたオンラインくずし字解読支援システム「ふみのは ゼミ」をはじめ、古文書解読とくずし字資料の利活用サービス「ふみのは」として、さまざまなくずし字解読ソリューションを提供している。
古文書カメラは凸版印刷が独自に開発したくずし字解読アプリで、2022年9月に開発の発表を行なって以降、京都市歴史資料館、公益財団法人三井文庫、和洋女子大学の協力のもと実証実験を行ない、より使いやすいアプリケーションUIの改善や、AI-OCRの読み取り精度の向上などの改良を行なったという。
AI解読はAIお任せの「フルオートモード」と、選択した数文字に対してAIが候補文字を複数提示する「範囲選択モード」を利用できる。AIの解読結果が間違っていた場合は、利用者自身が解読した文字を直接入力でき、修正した内容はAIの再学習へ反映され段階的にAIの精度が向上。解読結果は画像・テキストでの保存が可能。
Apple App storeにて公開しており、AI-OCRによる解読機能は1日10回まで無料(回数制限の解除については夏頃のアップデートで案内予定)。また、Google Playでの配信は秋を予定している。