Crestmontはインテルの工場だけではなく
TSMCの工場でも製造できる
次いでSoCダイであるが、左下のPCH IPはいわゆるPCH用の機能を全部統合したもので、SATAやUSB、GbE、PCIe Gen4、パワー・マネジメントなどに加え、Magnetar CNVIという大きなブロックがあるが、これはWi-Fiブロックである。
CNVIはConnectivity Integration(インテル統合接続)と呼ばれる、インテルが自社のWi-Fiモジュールを容易に接続するためのI/Fである。
おもしろいのはその右側だ。まず上からCrestmont×2のCPUコアがある。これはSoCの制御用で、冒頭に述べた特許の中ではセキュア・ブートの中でも使われているが、別にセキュリティ制御専用と言うよりは、SoC側の諸々の処理をCPUタイル上のCPU Complexを動かすことなく行なえるようにしよう、ということのようだ。
逆に言えば、このCrestmont×2はブート後にOSから認識されるのかどうかはやや微妙である。個人的にはこのCrestmont×2は見えない形になっているのではないかと考える。
ところでこのSoCタイル、製造はTSMCのN6を利用するはずである。つまりCrestmontはインテルの工場だけではなく、TSMCの工場でも製造できるように工夫されているということだ。
Crestmontがアーキテクチャーを一新したというのは、この「工場を選ばない」特性を実現するために、物理的な設計だけでなく論理的な設計も配慮されている(インテルの工場でしか実現できない速度設計にしないなど)という意味なのかもしれない。
その下のパワー・マネージメントはSoCの、というよりはCPUタイルの電力管理用に見える。その下のVPUはMovidius VPUを指しているものと思われる。実はインテルの第3世代VPUであるMobidius VPU、現状Mobidius 3700Vのみ発売されており、上位の3800V/3900Vは先日販売終了になってしまった。
どうもインテルは今後ディスクリートの形でのMobidiusのVPUは、限られた顧客にのみ提供するに留めて、その代わりMeteor Lake以降のSoCタイルにこのVPUを統合する形で提供するらしい。
続くMedia 1.3はビデオ・エンコーダー/デコーダー、Display14はGPUと対になるディスプレーエンジンのことである。IPU6EPはISP(Image Signal Processor:カメラ映像エンジン)で、これはAlder Lakeの世代と違いがない。
次のGNA 3.5は以前説明したとおりのものだ。その右にあるMIPI/MIPI DSI/HDMI/eDPはどはどれも映像出力用の端子。その下にあるのは128bit幅のDDR/LPDDR5/LPDDR4対応メモリーI/Fである。
このSoCタイルのさらに右にはPMC(Power Management Controller)が配されるが、これはCPU全体の電源管理用だろう。上位機種にはこれとは別に、やはりD2D(Die to Die)I/F経由でIOEタイルが接続されるはずだが、先に述べたように、UあるいはY-SKU向けということでここでは省かれているものと思われる。
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