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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第720回

Meteor Lakeには4次キャッシュが存在する インテル CPUロードマップ

2023年05月22日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Meteor Lakeには4次キャッシュが存在する

 これとは別に、やや気になる記述が特許の中に存在する。それが下の画像である。

この点線は、単に2次キャッシュまではコアごとに独立であるということを示しているだけである

 この図の脚注は単にメモリーの階層化を示したもの、としか書いていないのだが、この特許の本題である起動の高速化の手法の一部で、DRAMの初期化をしてからブートすると遅くなるので、DRAM初期化は最後に回すとしたうえで、仮に初期化中のみ4次キャッシュをSRAMとして扱うようにすることで、DRAMを利用するよりも高速アクセス可能で、かつブート用のコードを全部4次キャッシュ中に展開できるというテクニックを披露している。

 ここで3次キャッシュでなく4次キャッシュを名指しにしていることがポイントで、ということはMeteor Lakeには4次キャッシュが存在する(少なくとも存在するSKUがあり得る)ということになる。

 他にも「次世代のClient SoCのアーキテクチャーには、大規模なオン・パッケージ・ジャッシュが導入される可能性があり、これによって斬新な使い方が可能になります。4次キャッシュ(例えば、“Adamantine”または“ADM”)のアクセス時間は、DRAMのアクセス時間よりもはるかに短い場合があり、これはホストCPUとセキュリティコントローラーの通信を改善するために使用されます。」という文章が入っている。

 ちなみに“Adamantine(アダマンタイン)”は「堅固・強固」の意味で、あまりこの業界で使う用語ではないのだが、とりあえずインテルはこのMeteor Lakeの4次キャッシュをADMキャッシュと呼んでいるらしい。

 実はこのADMキャッシュこと4次キャッシュ、もう1つ情報源がある。今年4月11日にインテルのFei Yang氏(Software Architect:その前はMotorola Mobilityに在籍しており、Android Kernel周りの作業に携わっているらしい)がポストしたグラフィックスドライバー用のパッチがこちらなのだが、冒頭に「Meteor Lakeでは、グラフィックスはもうLLCをアクセスしない。

 この対応パッチを、ADM/4次キャッシュのサポート、およびMOCS/PATテーブルアップデート(のパッチ)と併せて投稿する」とあり、やはりMeteor Lakeにはなにかしら4次キャッシュ/ADMキャッシュを搭載するSKUが予定されているのは間違いなさそうだ(最終的に製品として出てくるかどうか、はまた別の話だが)。

 ところでこの4次キャッシュ、一体どこに置かれるのだろう? というのが次の疑問。「大規模なオン・パッケージ・キャッシュ」というあたりは、CPUタイルではなさそうである。可能性があるのはSoCタイルかベースタイルのどちらかである。もう少し細かく言えば

(1) SoCタイルの一部に4次キャッシュを搭載

 TSMCのN6をキャッシュに使うというアイディアは、例えばAMDのRadeon RX 7000シリーズでも行なわれている。現在のプロセスではN5以下に微細化しても、SRAMに関してはほとんど容量が増えないので、N6というのはバランス的にちょうど良いとされる。

 連載682回でMeteor Lakeのパッケージを掲載したが、どう見てもSoCタイルが大きすぎる。4次キャッシュの容量次第ではあるが、64MBクラス程度ならギリギリSoCタイルでまかなえるように考えられる。この方式が、構造的には一番楽である。

Meteor Lakeのパッケージ。SoCタイルが大きすぎるように見える

(2) Base Tileの一部に4次キャッシュを搭載

 ベースタイルの目的はタイル同士の接続に加え、電源供給を改善する目的があるという話は連載682回で説明したとおりだが、全部が全部電源供給にしなくてもいいだろう、という気はしていた。

 CPUタイルの直下は電源供給用に必要だろうが、SoCタイルやIOEタイルの真下はそこまで電源供給に充てなくても普通に足りると思われるからだ。したがって、この一部を4次キャッシュにするというアイデアはあり得る。

 ただこの方法の問題は、インテルの22FFLプロセスでベースタイルが構成されていることを考えると、フルスピードでのアクセスはまず間に合わないと思われる。もちろん4次キャッシュなので、例えばコアの半分の速度で動かすといった形でも許容される可能性はある。

 もしもべースタイルの一部を4次キャッシュとして割り当てるのであれば、下の画像になにかしら言及があっても良かったように思える。

Meteor Lakeはバイパスコンデンサーが必要なので、ベースタイルを入れてFoverosを利用している

 以上のことから、筆者としては(1)説を推したい。ただこの場合だと、容量はせいぜいが64MB程度で、やや少ないかもしれない。逆に(2)説だと128MBなどの構成も比較的容易だろう。なお、繰り返しになるが全SKUで4次キャッシュが有効になるかどうかは不明である。

Meteor LakeはCore iではなく
Core Ultraという名称になる?

 最後に小ネタを1つ。5月1日付けのtom's Hardwareが、ブランド名の変更の可能性を報じた。曰く、Core Ultraという名称になるのではないか? とのこと。

 昨年9月、インテルはPentium/Celeronに代わる新しいブランドとして“Intel Processor”という名称を発表したが、これに続く形なのかもしれない。

 現状Intel ProcessorはNシリーズとUシリーズで合計6製品のみがラインナップされているが、あるいはこのタイミングでさらに増えるのかもしれない。

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