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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第716回

Radeon Pro W7900/W7800が異様に安い価格で投入される理由 AMD GPUロードマップ

2023年04月24日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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Radeon Pro W7900/W7800が異様に安い価格なのは
GeForce RTX 6000 Adaに絶対性能がおよばないから

 これ以降は、全部性能価格比での比較になっている。下の画像はSPECviewperfの結果を改めて価格性能比で示したものだ。

Radeon Pro W7900とW7800を、それぞれRTX A5000/A5500を100%とした場合の価格性能比。RTX 6000 Adaはその価格の高さから分が悪いのは明白である

 そのSPECViewperf 2000で3dx-max-07とmaya-06の成績のみを抜き出したのが下の画像だ。

3dx-max-07とmaya-06の成績のみを抜き出したもの。絶対性能ではRTX 6000 AdaはRTX A6000の倍以上高いことになる

 ここから性能そのものの比(RTX A6000=100)を算出すると下表になる。

RTX A6000を100とした場合の性能比
W7800 W7900 RTX6000 Ada RTX A6000 RTX A5500
62.2 109.4 210.9 100.0 60.6

 もう少し実際のアプリケーションということで、Autodesk Mayaの製品をそのまま利用したSPECapc 2023の結果が下の画像だ。同じように絶対性能の比はその下の表となる。

Autodesk Mayaの製品をそのまま利用したSPECapc 2023の結果。レンダリング処理そのものはCPUでやっているので、GPU性能は案外に影響がない

RTX A6000を100とした場合の性能比(Maya)
W7900 RTX6000 Ada RTX A6000
109.4 92.2 100.0

 同じようにPremire Proでは下のようになる。

PugetBench for Premier Proを利用しての比較

RTX A6000を100とした場合の性能比(Premier Pro)
W7900 RTX6000 Ada RTX A6000
99.6 118.8 100.0

 After EffectsとDaVinch Resolveでは下のようになる。

PugetBench for After Effectsを利用しての比較

RTX A6000を100とした場合の性能比(After Effects)
W7900 RTX6000 Ada RTX A6000
99.6 118.8 100.0

これもPurgeBench for DaVinch Reolveを利用しての比較

RTX A6000を100とした場合の性能比(DaVinch Resolve)
W7900 RTX6000 Ada RTX A6000
98.7 156.0 100.0

 再びSPECViewperf 2020に戻ってCatia-06/Creo-93/Snx-04/Solidworks-07の結果が下の画像と表だ。

どの辺でこの差が付くのか、もう少し詳細の結果が示されるとわかりやすいのだが

RTX A6000を100とした場合の性能比
(Catia-06/Creo-93/Snx-04/Solidworks-07)
W7800 W7900 RTX6000 Ada RTX A6000 RTX A5500
52.4 97.9 251.7 100.0 59.3

 またLumionのアプリケーションを使い、Glass House/Downtown Developmentのシーンを処理させた場合の結果が以下となる。

絶対性能では負けるので、価格性能比をアピールするしかないというのがわかる

RTX A6000を100とした場合の性能比(Lumion)
W7900 RTX6000 Ada RTX A6000
107 141.8 100.0

 要するにRadeon Pro W7900はRTX A6000に比べると性能面で若干の上乗せもあり、消費電力は同等で価格は安いわけだが、RTX 6000 Adaと比べると、純粋にOpenGLで描画してるだけなら差はほとんどないが、いくつかのアプリケーションでは明確に性能差があるのがわかる。

 こうしたワークステーション向けの場合、GPUカードの初期コストよりもエンジニアやデザイナーの作業コストの方が高くつくだけに、絶対性能が高い方が貴ばれるのは言うまでもないことで、ただここでは残念ながらRTX 6000 Adaには敵わないからこそ、性能/コスト比を全面に打ち出したわけであるが、正直これはやや悪手な気がしてならない。

 せめて性能/消費電力比で圧倒できればまだ良かったのだろうが、消費電力は同等なだけに、ここでの差は見せようがない(というか、RTX 6000 Adaの方が良い)のだから仕方ないだろう。

 なるほど、Radeon Pro W7900/W7800が異様に安い価格で投入されるのには、それなりの理由があることが、図らずしもAMDのプレゼンテーションから明らかになってしまった格好だ。

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