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Pictoria、人工知能で成長するAI VTuber「紡ネン」の描く未来社会

かーずSPが聞くデジタルコンテンツスタートアップの最前線 株式会社Pictoriaの代表取締役・明渡隼人氏インタビュー

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同時に複数の場所に存在できる人工知能のキャラクターならば、人手不足を解消できる

――AIがYoutuberをやることで、どういった価値を社会に届けられると考えていらっしゃいますか?

明渡:社会課題として、人的リソースが不足している状況を解消したいと考えています。今後も日本の人口が減っていきますし、その一方でメタバースなど電子空間が広がっていく可能性があります。でもそこに人がいなかったら、ただ廃墟が膨らんでいくだけになっちゃいますよね?

――それは、寂しい感じになっていきますね……。

明渡:はい、子どもの頃の思い出でも、人が大勢集まる夏祭りが楽しかったわけですよ。人が集まることでエネルギーが生まれて、活気が出てきます。でも仮に友愛的なロボットがたくさん集まったとしても、そこに人的な盛り上がりはありませんよね? キャラクターを作り出すことで、そこに人がいっぱい集まってきて、熱気を取り戻すことができるんじゃないかなって。例えばオフィスに、自分の好きなアイドルが常駐していたら、テンションが上がりますよね。

――会社に通うのが楽しくなってきます!

明渡:配信もイベントもライブもする推しのアイドルが、もしも自分のオフィスや自宅にいたら……。人間では不可能ですが、AIキャラクターなら、それが叶うのですよ。AIキャラクターはみんなのものでもあるし、みんなのとこにも行ける。この二面性は、コンピュータのオペレーティングシステム(人格を持つ最新の人工知能型OS)に恋をする男を描いたSF恋愛映画『her/世界でひとつの彼女』にも出てくる概念ですけど。

明渡:具体例としては、YouTubeで見かける魅力的な子が介護現場で常に話しかけてくれたり、過疎化が進んでいる田舎に行ったら、その子が地域を案内してくれたり。

――人間だと世の中に一人しかいないから、真似できませんね。

明渡:ええ、人間のアイドルでもVTuberでも、同時に二つ以上の場所に存在することはできません。ですがAI VTuberならその問題を解消して、あちこちに拡張できます。そのためにはまず人が集まる魅力的なキャラクターを生み出すことが、我々のマイルストーン(中間目標)になっています。

NFTを活用したプロジェクト「NEN STUDIO」で、Web3領域へチャンレンジする

――御社の新しいプロジェクト「NEN STUDIO」についても伺います。「NEN」という名前がついているからには、紡ネンのプロジェクトの一環なのでしょうか?

明渡:紡ネンが出演しているNFTプロジェクトという定義づけです。なぜブランドを分けたかといいますと、VTuberの人たちはNFTをそれほどまだ好きじゃないと思うのです。その一方で、NFTやWeb3の界隈に「うちはこういうキャラクターIPを持っているから、自信をもってWeb3プロジェクトをやります!」という意思表示として「NEN STUDIO」ができました。

――今はまだNFTを快く思っていない人も多いので、そこで線を引いた、ということですか?

明渡:コアファンの気持ちとしては、今まで自分が推していたキャラが「NFT? 仮想通貨? 何か怪しいな、何でそんなものに手を染めたのだ?」って悲しむ人もいると思うのです。でも逆にNFTは、やり方によっては良い価値を提供できる新技術ですから、チャレンジしない理由はありません。双方を裏切らない形でブランドを分ける必要がありました。

――AI VTuberとNFTの組み合わせで生まれる価値は、具体的になんでしょうか?

明渡:この「NEN STUDIO」は、紡ネンの課題をひとつ解決しています。その課題とは、紡ネンって日々成長しているのですけど、どう成長したかが分かりづらいのですよ。例えば昨日「○○が好きです」と言って、次の日には「○○が好きです」って違うことを喋った時に、「これは成長しているのか?」って疑問が出てきます。学習データなのか、その子の趣向なのか、紡ネンに何が影響を与えているのかがわかりづらいという問題点があるのです。ですので、そういう性格や趣向みたいなものを設定できる権利をNFTとして販売することによって、AIキャラクターの公式設定ができてきます。

――「この子がショートケーキ好きなのは、俺が奢ってやったからだぜ」的なことが言える!

明渡:そうですね(笑) 今のコンテンツ業界では、目に見える成長がないとすぐに飽きられてしまう時代です。「NEN STUDIO」はAIキャラクターを育てていくコンセプトの上に、NFTで設定できる機能を入れることで、より成長や変化を楽しんでもらえるようになるのです。

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