2025年投入予定のFalcon Shores
Rialto Bridgeに代わるFalcon Shoresであるが、こちらはx86コアとXeコアを1つのパッケージに載せた構成で、AMDのInstinct MI300や(アーキテクチャーはx86ではないが)NVIDIAのGrace Hopperなどと同じようなAPU(インテル用語ではXPU)である。
こちらも2022年5月のISCにおける基調講演ではもう少し詳細な説明が出てきている。基本的にはSapphire RapidsやPonte Vecchioと同じくマルチタイル構成であるのは間違いないが、ただわかるのはそこまでである。
ちなみに上の画像ではx86タイルとXeタイルが2つづつ、合計4タイル構成で示されているが、2月のInvestor Meetingの際には3タイル構成の図が示されている。おそらくどちらも適当に作った図、という感じがしなくもない。最終的にCPUとXeのタイルがどういう数になるかはまだまだわからない。
そのFalcon Shoresの概念図が下の画像であるが、普通に考えればこの内蔵メモリーとCPU/GPUの間はCache Coherencyがありそうに思えるのだが、実際どうなのだろう?

このLow Capacity/High B/W Memoryがなにを意味するのかだが、Xeon MAX同様にオンパッケージでHBM3を搭載する意味なのか、Ponte Vecchioで採用されたRAMBO Cacheの意味なのか、それとも他のものなのか、皆目見当が付かない
さらに言えば、タイル方式なのでCPU/GPUコア以外にカスタムタイルも構成可能としている。
それよりも問題は、2024年投入予定だったFalcon Shoresが、今回のプレスリリースではしれっと2025年投入に後退していることだろうか。そもそもPonte Vecchio(とSapphire Rapids)の投入が遅れたから、そのあおりを喰らって後ろにずれたのだろう。
同様に、次の製品投入が2年後になったのがFlexシリーズの製品。要するにデータセンターGPUとして投入されている製品だ。最初のFlexシリーズは2022年のIntel Visionで発表になっており、8月にFlex 140/170として製品発表された。
これが初代のArctic Soundベースの製品であったが、これに続く製品として2023年以降にLancaster Soundという製品が予定されていることが以前アナウンスされていた。もっともアナウンスされたのはコード名だけで具体的な構造などは不明なままであったが、先に出たRialto Bridge同様に製造プロセスは変えずにXeコアの数やエンコーダーの数を増やした程度だったと思われる。
ただこちらもキャンセルになり、これに続くMelville Soundに注力すると発表された。このMelville Soundはプレスリリースによれば「性能、機能、ワークロードの面で現世代から大きく飛躍する」ものになるそうで、プロセスの微細化によりコアの数やエンコーダーの数を大幅に増やした製品になるものと思われる。

この連載の記事
-
第812回
PC
2倍の帯域をほぼ同等の電力で実現するTSMCのHPC向け次世代SoIC IEDM 2024レポート -
第811回
PC
Panther Lakeを2025年後半、Nova Lakeを2026年に投入 インテル CPUロードマップ -
第810回
PC
2nmプロセスのN2がTSMCで今年量産開始 IEDM 2024レポート -
第809回
PC
銅配線をルテニウム配線に変えると抵抗を25%削減できる IEDM 2024レポート -
第808回
PC
酸化ハフニウム(HfO2)でフィンをカバーすると性能が改善、TMD半導体の実現に近づく IEDM 2024レポート -
第807回
PC
Core Ultra 200H/U/Sをあえて組み込み向けに投入するのはあの強敵に対抗するため インテル CPUロードマップ -
第806回
PC
トランジスタ最先端! RibbonFETに最適なゲート長とフィン厚が判明 IEDM 2024レポート -
第805回
PC
1万5000以上のチップレットを数分で構築する新技法SLTは従来比で100倍以上早い! IEDM 2024レポート -
第804回
PC
AI向けシステムの課題は電力とメモリーの膨大な消費量 IEDM 2024レポート -
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 - この連載の一覧へ