このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

CES 2023レポート 第14回

3D V-Cache搭載16コア版も2月登場!「Ryzen 9 7950X3D」~「Ryzen 7 7800X3D」発表ほか

2023年01月05日 18時30分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集●ジサトラハッチ/ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 2023年1月5日11時(日本時間)、AMDは「CES 2023」のキーノートスピーチ上で様々な発表を行った。クライアントPCのみならずAIやヘルスケア、データセンターに至るまで広い範囲に言及したが、本稿ではPCユーザーが最も注目する新Ryzenについてのトピックを中心に解説する。

リサ・スーCEO:Microsoftの役員にジャケットを褒められて照れる一面も見せた

16コア+3D V-Cacheで“最速のゲーミングCPU”となる?

 今回の発表における最大のトピックは3D V-CacheをRyzen 7000シリーズに搭載し、2月に発売するというものだ。「世界最速のゲーミングCPU」として登場し、様々なゲームで素晴らしいパフォーマンスを見せたSocket AM4用の「Ryzen 7 5800X3D」が昨年出たばかりだが、今回は最新のSocket AM5向けの製品となる。

Ryzen 7 5800X3Dの構造:CCDの上にさらにSRAMをスタッキングした3D V-Cacheを初めて搭載したCPUがRyzen 7 5800X3D。PCゲーム用としては今もトップクラスの性能を持つが、物理8コア&Socket AM4のみという制約もあった

 最初に発表されたのは8コアの「Ryzen 7 7800X3D」だが、さらにもっとハイレベルな性能を求めるユーザーのために12コア「Ryzen 9 7900X3D」、16コア「Ryzen 9 7950X3D」も発表された。価格は明らかにされなかったが、発売は2月に予定されている。

Ryzen 7 7800X3Dは最大5GHz動作、TDP 120W構成で出荷される

 Ryzen 7000シリーズ版の3D V-Cache搭載モデルのスペックは以下の通りだ。3D V-Cacheを含むL3キャッシュはRyzen 7 7800X3Dでは96MB(5800X3Dと同量)、7900X3Dと7950X3Dでは128MBとなる。コア数とL3キャッシュがなぜ比例しないかと言えば、ダイ(CCD)を2つ備える12コア以上のモデルでは、片方のCCDにのみ3D V-Cacheが搭載されるためだ。

Ryzen 7000X3Dシリーズのスペック。発表されていない価格は???としている

 例えば128MBのL3を持つRyzen 9 7950Xの場合、片方のダイに96MB、もう片方のダイに32MBと言う計算になる。恐らくクロックが上げやすく優秀なコア(所謂Preferred Core/ Elite Core)のある方に3D V-Cacheを組み合わせているものと考えられる。両方のダイに載せてもコストやパフォーマンス的に見合わないと判断されたのだろう。

Ryzen 9 7950X3Dは最大5.7GHz動作で物理16コア。CPUの構造図をよく見ると、2基あるCCDのうち右側のCCDにのみ3D V-Cacheらしきものが載っているように見える

拡大したところ。矢印で示した部分がCCDとそれに載っている3D V-Cacheのようだ

 ここで注目したいのは各モデルの動作クロックとTDPだ。3D V-Cache版Ryzenのうち、7800X3DはTDPが105W→120Wへ引き上げられた一方で、ブーストクロックが最大5.4GHz(Ryzen 7 7700X)→5GHzに若干下げられた。しかしながら、Ryzen 9 7900X3Dと7950X3Dについては、TDPが170W→120Wへ下がったが、ブーストクロックは3D V-Cache無しモデルから変わっていない。

 気になる性能だが、PCゲームにおいてRyzen 7 7800X3Dは5800X3Dよりも30%、Ryzen 9 7950X3DはCore i9-13900Kよりも24%高いフレームレートが出せる「ゲームもある」と主張。3D V-Cacheが効かないゲームや、TDPが下がったことで逆に遅くなるゲームも出るかもしれないが、それについては発売日までのお楽しみとしておきたい。

AMDはRyzen 7 7800X3DはRyzen 7 5800X3Dと比較した。「F1 22」では25%のフレームレート向上が期待できると主張

プレス向けの資料ではさらに比較するゲームを追加。「DOTA 2」ではRyzen 7 5800X3Dよりも30%高いフレームレートが出るとのこと

Ryzen 9 7950X3DはライバルであるCore i9-13900Kと比較。「Horizon Zero Dawn」では24%高いフレームレートが出せるという

発表に使われたスライドではRyzen 9 7950X3DをRyzen「7」7950X3Dとしてしまった一幕も

3D V-Cache搭載版Ryzen 7000シリーズは2023年2月発売。と、その下に何やら興味深い一文が……

拡大してみると「新しい65W版CPUとエントリー向けAM5マザーボード」とある。後者が新チップセット(B650の下位モデル)を指すのか、単に安価なB650マザーなのかは不明だ

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事