楽天モバイルのプラチナバンド再割り当てに救世主が現れた。
これまで楽天モバイルは「プラチナバンド」というつながりやすい周波数帯を持っておらず、エリア展開に苦戦を強いられていた。
2023年には全国で6万基地局を建設する計画だが、山間部などはいまだにKDDIのネットワークにローミングせざるを得ない。ユーザーがKDDIネットワークにローミングすれば、楽天モバイルはKDDIに対して接続料を支払わなくてはならず、これが赤字につながっていた。
楽天モバイルとしては早期に全国ネットワーク網を構築しなくてはならないのだが、4Gで所有している周波数帯が1.7GHzだけであるため、効率よくエリアを広げるのに限界があった。
プラチナバンドがあれば、山間部や離島、さらに都心部のビルの中など隅々にまで電波を飛ばすことができる。楽天モバイルが既存3社と互角に戦うにはプラチナバンドが不可欠なのだ。
楽天モバイルを何とか支援したい総務省が編み出したのが「既存3社のプラチナバンドを少しずつ返してもらい、楽天モバイルに渡す」という秘策であった。総務省では2022年10月1日に電気通信事業法を改正し、すでに使っている周波数帯でも、別の事業者が「うちのほうが電波の利用効率が良い感じで使えます」とアピールして認められれば、周波数帯を奪えるというルールを作ったのだった。
この法改正に合わせて有識者会議が開かれ、楽天モバイルは「1年で電波を渡してほしい。工事に関する費用は一切負担しない」と宣言。それに対して既存3社は「渡すのに10年かかる。工事費も1000億円ぐらいかかる」と猛反発した。
総務省は結局、「5年かけて移行する。工事費用は既存3社が負担」という楽天モバイルに有利な決着をつけたのだった。

この連載の記事
-
第262回
トピックス
ソフトバンクとKDDIが“空の救助網” 雪山遭難、ドローンで発見 -
第261回
トピックス
スマホ5G“ミリ波”肩透かし 6Gは“センチメートル波”が鍵に -
第260回
トピックス
ドコモ苦戦 携帯3社、“値上げ”で明暗 -
第259回
トピックス
KDDI、通信品質で再び首位に ドコモとソフトバンクが不満「あの評価基準はおかしい」 -
第258回
トピックス
アドビ、AIで若年層開拓 “映える”画像を作りやすく -
第257回
トピックス
ドコモ経由の“NISAデビュー”増える マネックスか、SBIか、悩ましい選択に -
第256回
トピックス
KDDIドローン事業、9年目で軌道に乗る兆し 無人AIポート運用に成功 -
第255回
トピックス
楽天モバイル“値上げしない宣言”に他社が苦言 「自分たちでネットワークを構築しないくせに」 -
第254回
トピックス
クアルコム「Snapdragon」名称迷走 PC市場での認知施策が課題に -
第253回
iPhone
アップル新型「iPhone」全部比べた オススメはこれ -
第252回
トピックス
アップル「iPhone 17」eSIM専用に? 注目集める - この連載の一覧へ












