カメラは暗所撮影が強くなる
カメラ関連では「Snapdragon Sight」として、AIニューラルネットワークが強化されている。
被写体の顔や髪、メガネ、服、空、地面などを識別し、それぞれに最適な処理を施す「セマンティックセグメンテーション」ができるようになる。すでにAQUOS Sense 7でも採用されているが、AIにより、被写体のそれぞれに最適化された画像処理がこれから一般的になりそうだ。
カメラ関連の取り組みとして、クアルコムはソニーと1年ほど前に協業を発表していたが、今回、ソニーセミコンダクタソリューションズが開発した「クアッドデジタルオーバーラップHDR」という技術がSnapdragon 8 Gen 2に向けてチューニングされている。
4つの画素のうち、2つが短露光と長露光で撮影して空間的な認識をして、さらに2つの画素が時間をずらして同様の撮影をする。それらをSnapdragon 8 Gen 2が重ね合わせる処理をすることで、暗い部分でもノイズが出にくい映像に仕上がるという。
カメラのセンサー開発もSnapdragon仕様に
スマートフォンにおいて、カメラ機能は各メーカーが最も注力しているポイントだ。ただ、チップはクアルコム、イメージセンサーはソニー、OSはグーグルという組み合わせの場合、それらを最適化させて画質を上げるというのは各メーカーとしても相当、苦労していると言われている。
あるメーカー関係者は「Snapdragonの型番が変われば、画作りもやり直していくことになる。メーカーとしてノウハウの蓄積もあるが、それとは別に苦労することも多い」とぼやく。
一方、iPhoneのアップルは、イメージセンサーこそ別のメーカーが手がけているが、チップ、OS、ハードウェアなどほとんどのアップルが設計する「垂直統合型」でものづくりをしている。
Android陣営としてもメーカーがバラバラの水平分離型ではアップルのカメラ画質に対等な戦いを挑めないとあって、クアルコムとソニーはラボをつくるなどして、開発段階からSnapdragonにチューニングしたイメージセンサーの開発に着手したというわけだ。
ただし、クアルコムはソニーだけでなく、サムスン電子の2億画素のイメージセンサーにも注力しているし、一方のソニーもクアルコムだけでなく、MediaTekとも友好関係を築いている。水平分業でありながら、イメージセンサーとISPの開発で緊密になることで、画質の向上を狙っているようだ。
また、ソニーとクアルコムのようにイメージセンサーがSnapdragonにチューニングされるようになると、採用するスマートフォンメーカーも開発の負担が下げられるようになるという。採用するメーカーにとっても、開発の負担を下げつつ、画質を上げる効果が期待できるというわけだ。
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