メルマガはこちらから

PAGE
TOP

K-FIRST、新しい働き方のニーズに「尖った」発想で不動産を提供

堺市発のイノベーションを創出する若きスタートアップ起業家連続インタビュー第2回

特集
堺市・中百舌鳥の社会課題解決型イノベーション

提供: NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市

1 2 3

「ただのスペースじゃない」スタートアップが求める機能を実装し、地方のスタートアップが抱える課題を解決する

―――Re:ZONE事業の今後の展望や戦略についてはどのようなビジョンをお持ちでしょうか。

田中:今利用者で最も多いのはフリーランスで、ある程度仕事の受注があるので独立したという方が多い。2番目に多いのが士業の方。入居者の70%くらいの方がコスパが良いねと言って決めてくれています。

 そういったコストパフォーマンスがセールスポイントだったのですが、今後コスパの良い物件には限界があるでしょうし、競合からも同じような価格帯が出てくるかもしれません。そこで今考えているのは、Re:ZONEに入居した方へのソフト面でのサービスです。

 例えばクラウドベースの会計ソリューションの会社と提携して安く提供したり、専門家からアドバイスをもらえるといったサービスを作りこんでいけば、単なるスペースの提供だけでない、フリーランサーのインフラ的な存在になれるのではないかと思っています。それもオプションサービスでお金を取ろうという話じゃなくて、いずれそれが自分たちの価値になると長期的な目線で考えています。

 あと地方への展開を考えると、こういったことは絶対にやらなくてはいけない。

―――ビルがあるのはやはり都心ですし、事業の成長だけを考えれば都心に集中するというやり方もあると思うが、なぜ地方なのでしょうか。

田中:長期的に考えて地に足の着いた事業をやりたいと思っているからです。都心(で行う事業)は流行りものに流れる傾向がありますが、地方で根を張ることができればずっと続いていく。そちらの方がずっと良いと考えています。

 ただ地方に行くとコスパが良いだけではスペースが埋まりません。我々のお客さんは自宅スペースの代替として利用する方が多いのですが、地方は家が広いため代替えのスペースを必要としない方が多いです。そのため単なるスペースの提供だけじゃなく、機能・サービスを組み込んでいかなくてはいけない。どんなことができるのかずっと考えています。

―――スタートアップやフリーランサー向けのエコシステムを全部自前で作ってしまおうという野心にも聞こえますね。

田中:我々だけでは作れないので、他社と連携して、Win-Winできちんと収益配分していきたいと思っています。でもまず今後の展開として一番やっていきたいと思っているのは地方の行政と組んで遊休施設を有効活用していくことですね。多くの地方行政の方は、スタートアップの支援という観点では適切なオフィススペースも提供できていなくて困っていらっしゃいます。

 堺市にはS-Cube(さかい新事業創造センター)というインキュベーション施設があって、そこでも15平米とか20平米程度の小さめの部屋はすぐ埋まりますが、50平米の部屋はなかなか埋まらない。そこで50平米を2部屋借りてRe:ZONEにモデルチェンジをして、5平米程度の個室を12部屋提供しましたら、半年程度で満室になりました。それで12コの事業に貢献できたわけですので、そんな風に社会に貢献していきたいと思っています。

S-Cube(さかい新事業創造センター)

―――創業時からあった人の役に立ちたいという熱い思いが新しい事業を生み、いまでもそれを心の中にお持ちだということがよくわかりました。今日はありがとうございました。

 K-FIRSTは、フリーランスや士業など個人の層やスタートアップが本当に求めているオフィススペースを提供するRe:ZONE事業で急速に業績を伸ばしてきた。その成長の基盤には田中氏が持っていた誠意や熱い思いが生んだ共感と人の繋がりがあったことが強く感じられたインタビューだった。

 さらに同社は地方のスタートアップも不安なく成長できる土壌を生み出すことを目指して、オフィススペースに機能を組み合わせたサービスを実装しようとしている。サラリーマン時代には関わらずに済んでいたバックヤード業務や、事業のスピードアップにつながるデジタルツール、サービスの使いこなし方などもサポートの有無で劇的に事業効率が変わるだろう。

 使われずにいた古いビルを再区画したオフィスは、大手事業者が手をこまねいているうちに、次代を担うスタートアップ達が共有するインフラとなっているかもしれない。

(提供:NAKAMOZUイノベーションコア創出コンソーシアム、堺市)

「ASCII STARTUPウィークリーレビュー」配信のご案内

ASCII STARTUPでは、「ASCII STARTUPウィークリーレビュー」と題したメールマガジンにて、国内最先端のスタートアップ情報、イベントレポート、関連するエコシステム識者などの取材成果を毎週月曜に配信しています。興味がある方は、以下の登録フォームボタンをクリックいただき、メールアドレスの設定をお願いいたします。

1 2 3

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー