Nintendo Switch用ゲームソフト『スーパー野田ゲーWORLD』に収録

野田クリスタルさん&後藤裕之氏に、異色のレースゲーム「Ashi Kogi Racing」の制作秘話などをうかがった

文● 松野翔太 編集●市川/ASCII

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AKRacingのチェアをゲームに落とし込む作業も大変だった

――操作性以外に苦労された点はありますでしょうか。

後藤:AKRacingのゲーミングチェアを複数モデル使用しているんですが、ゲームバランス上、それぞれの性能差をつけるのにけっこう苦労しています。本当のチェアは座り心地や材質で値段の差があると思うんですが、レースゲームに落とし込んだ時にそれは関係ない。で、最終的には一番軽いオットマンが一番速くなっちゃったんですけど、これはどうなのかと(笑)。

そこで重さの概念を付けて、軽い椅子やオットマンはクラッシュしやすくて、重い椅子はドッシリして操作もしやすいという感じに調整しました。慣れるとオットマンが一番速いのは変わらないんですけど。

野田:レースゲームって昔のゲームほど操作キャラクターの最適解が出やすいじゃないですか。そこでオットマンが一番速いっていうのは面白みがあるし、個人的にはそれも“レースゲームあるある”なのかなと思ってます。

AKRacingのチェアやオットマンはコインでアンロックすることで、レースで使用できるようになる。それぞれに重さや空気抵抗が設定されており、どれを選ぶかによって操作感が変わってくる

――個人的には重いチェアを使ったほうが曲がりやすかったので、操作が苦手な人は重いチェアを、しっかり制御できる人は軽いオットマンやチェアを使う、という使い分けの余地があるのはいいですね。ゲームの製作にあたって、AKRacingと意見のやりとりをする機会などはあったんでしょうか。

後藤:何回か製作中のゲームを見ていただいて、「いいですね」「面白いですね」というフィードバックをもらうことはありましたね。「こうしてほしい」といった要望は特になかったです。ちなみに、ゲーム内のゲーミングチェアのモデルはAKRacingから素材となる3Dモデルをいただいて、それを多少ラフにするような調整をかけてアセット化しています。

野田:ゲーミングチェアのサイズをちょっと調整したりもしましたよね。ゲームの画質は初代PlayStationをイメージして全体的に粗くしてるんですけど、最初はチェアが小さすぎて「これAKRacingなのか?」って分からないレベルだった。

なのでちょっと嘘をついて、こぐ人を小さめに、チェアを大きめにしてもらってます。AKRacingこそがメインで、人はパーツなんです。見た目的にも人の個性とかゼロですしね。そういえば、操作性と難易度の調整に関して頭を悩ませてた大きな理由が1つあって。

――大きな理由?

野田:最初にプレイするのがAKRacingの人なんですよ。これ、難しすぎてクリアできないとクソゲー扱いされるぞって。

後藤:(笑)

野田:それが常に頭をよぎってた記憶はありますね。ただ、実際遊んでもらったら特に悪く言われることもなかったので、それは良かったなと。僕はもっと言われるのも覚悟してたんですけど、遊んでいるうちにコツを掴んでもらえることが多いみたいで、そこはけっこういいバランスになってるのかなとは思います。

――「Ashi Kogi Racing」に関して、反響はどうでしょうか。

野田:やっぱり収録されたゲームの中ではやりこめるものになっているので、常にユーザーがいるゲームだなとは思ってますね。タイムアタックの時間も更新されてますし、まだまだ楽しみです。こっちの意図してないことを誰かやってくれないかな、と思っています。

後藤:僕はもともと難しいゲームが好きなので、当初の「Ashi Kogi Racing」のドMなバランスも好きだったんですが、反響を聞いていると、いろんな方に遊んでもらうのであれば今の形が最適解だったなとは思います。でも、ドMモードも作ってみたかったですね……。

野田:それで言うと僕、坂がずーっと続くコースとか作ってみても良かったかなと思ってます。極端なコースを1個作ってみたかった。

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