Nintendo Switch用ゲームソフト『スーパー野田ゲーWORLD』に収録
野田クリスタルさん&後藤裕之氏に、異色のレースゲーム「Ashi Kogi Racing」の制作秘話などをうかがった
操作性の調整に悪戦苦闘したという
――ゲームの形が見えるまでは早かったとのことですが、ゲーミングチェアを足こぎしてコースを進む「Ashi Kogi Racing」は、ほかのレースゲームとはプレイ感覚がかなり異なるように思います。主にゲーム性の部分で、こだわられたのはどういったところでしょうか?
野田:操作性ですね。めっちゃ大変でしたよ(笑)。
後藤:最初、かなりリアルなゲーミングチェアの挙動に合わせてみたんです。スピードも全然出ないし、方向転換も遠心力がかかって曲がりにくい、みたいな。でも、これだとゲームとしてつまらないということになって、だんだんファンタジーの方向に振っていって。もうちょっとスピードを出して、遠心力もそれほど関係なく曲がれるように調整していきました。嘘とリアルのちょうどいいところを探っていって、今の形に落ち着いています。
野田:そもそも、細かい仕様が普通のレースゲームと違うんですよね。たとえばこのゲームの椅子ってボタンを押すたびに足こぎで進んでいくんですけど、足こぎのたびに一回一回エンジンをかけてるようなものなんです。これを単純に実装しようとすると、チェアの進行方向がプレイヤーの感覚と合わなくなるんですよね。
毎回会議で「こうだよ」「ああだよ」って言い合って、かなり後半まで苦しめられました。今はかなり楽になったんですけど、最初はヤバかったです。誰もクリアできない。
――製品版を実際にプレイしてみたんですが、この仕様でも最初は感覚をつかむのに苦労しました。とはいえ、2~3回遊べばゴールまではたどり着けるようになったので、歯ごたえがある中でもバランスは取れている印象を受けました。
野田:どこまで簡略化するかは結構考えたんですよね。たとえば進むのは自動化して、方向だけ自分で操作するとか。でもそれだと普通のレースゲームになっちゃうなって。普通のレースゲームと差別化しようとしたらこんなことになっちゃった、という感じです。
後藤:開発期間は20個のゲームを並行して製作していたんですが、「Ashi Kogi Racing」は着手から完成までが一番長かったですね。すぐできるものは2~3週間で完成するんですが、これは結局半年ぐらい調整をかけていました。
――結果として、やりこめば大きくタイムを縮められるバランスになっているのはレースゲームとしては面白いところだと思います。タイムアタックはオンラインランキングが用意されていますけど、上位の方はかなり速いですね。
野田:ランキングのあるゲームって、どんなところにもヤバイ人っていますよね。「このゲームそんなにやることねえよ!」って思いますけど(笑)。
世界ランキングを実装すると上位が変なタイムになることは想定してたんですけど、今のところ大幅にショートカットしたんじゃなくて、普通にしっかり走って出せそうなタイムに収まってるので、そういう意味ではちゃんと作れてたのかな、とは思いました。発売前はタイム10秒とかいると思いましたもん。
後藤:基本的に、大幅にコースを外れるようなショートカットはできないように調整しています。ステージによっては障害物を使って空中を進むようなショートカットも可能なんですが。