モバイル版オリジナルの「タクティカルフォーカス」など新たな要素にも注目
『シージ』の“唯一無二”をよりカジュアルに堪能『レインボーシックス モバイル』の魅力とは?
欲を言えばもう一声ほしいところはある
グラフィックやモーションに関しては、もうひと頑張りしてほしいというのが私の本音だ。競技性の高い作品ゆえに、あまり複雑なディテールを施すことが難しいということもあってか、破壊可能な壁が複数並んでいる様子など、ちょっと淡白な風景になってしまっている。塩こんぶのような有刺鉄線など、少し工夫に物足りなさを感じるが、多くのモバイル端末に対応させることを考えると、致し方ないことかもしれない。
また、遊びやすさにもう少し力を入れてほしくも思った。例えば、『シージ』では補強が2毎必要な場所を1回で補強できるようにするなど、準備フェーズでの煩わしさの省略や、ドローンで敵をスキャンする際に移動速度が遅くなる調整など、『シージ』の持つ繊細さをどの程度『モバイル』へ持っていくのかの塩梅には課題が残る印象だ。
『シージ』が持つ唯一無二の体験を始めるチャンス
期待を込めて、ネガティブなことも述べてきたが、『モバイル』が持つ魅力は、『シージ』の魅力を上手いこと抽出し、モバイル端末でカジュアルにプレイすることができるという点に尽きる。程よく簡略化され、わかりやすくなったマップは遊びやすく、情報を取って判断するという戦略性と、キャラクターによる固有ガジェットの楽しさによって、『シージ』の根幹にあるプレイアビリティを損なうことはなく、カジュアルさのうえに成立させている。
そして、本作がこれからどのような展開を見せるのかが、楽しみなポイントだ。先行プレイではる現段階では、プレイヤーが成熟していない。守り方・攻め方の戦略も手探りで、拠点の周りを正直に補強するなど、工夫のある戦術はあまり多く見られなかった。今後プレイヤーが『モバイル』を通じてマップを活用した戦術を理解していくことで、本作はより完成に近づいていくと感じる。
最後になるが、やはり『シージ』が生み出したゲーム体験は、類を見ない素晴らしいものであると、『モバイル』をプレイして感じた。ドローンで情報を得て徐々に動ける範囲を広げていく戦略性や、敵の意表を突いたプレイング、だれも知らない遠い場所から射線を空けて撃ち抜く爽快感など、ゲームを知れば知るほどに楽しさが増していく感覚というのは、多くのプレイヤーに体験してほしいものだ。
7年経過した『シージ』を今から始めるにはハードルが高い……と感じている人は、今回新たに登場する『モバイル』で新たなスタートを切り、その魅力に少しでも触れていただけると幸いだ。
(c) 2022 Ubisoft Entertainment. All Rights Reserved. Rainbow Six Mobile, Ubisoft and the Ubisoft logo are registered or unregistered trademarks of Ubisoft Entertainment in the U.S. and/or other countries.
ASCII.jpの最新情報を購読しよう