昔に比べると明らかに減ってはいるのだが、今でも街を歩いてると、ふと猫に出会うことがある。街のすき間で生きてる姿を見ると、つい頑張れよと思いつつカメラを向けてしまう(だから、この連載も続いてるのだけど)わけである。
で、どんな猫だった? と聞かれると、色や毛の長さや模様で答えるしかない。今回は、そんな話。まあ、白ければ白猫だし、黒ければ黒猫だ。純粋な白猫や黒猫はほとんどいないのだけど、その辺はアバウトだ。冒頭写真の長毛の黒猫も、陽射しが当たってると、かなり茶色が混じってるのがわかる。
三色混じっていれば、三毛(ミケ)である。たいてい黒と茶と白だ。
白が混じらない、黒と茶の猫はサビネコと呼ばれる。鉄錆の「サビ」だ。最近、東京ではあまり見かけない気がする(この写真は神奈川県で撮ったもの)。サビネコって、その精悍な感じがけっこう好きなので、出会えなくて寂しい。
縞模様があれば、トラである。大雑把にいって、明るい茶色であればチャトラ、暗めのトラならキジトラ、グレーならサバトラだ。
キジトラのキジは、鳥の「雉」。雄(オス)のキジは派手な色をしているが、キジトラの雉は雌(メス)のキジのことで、確かにそういう色をしている。サバトラのサバは、魚の「鯖」だ。
トラ系でいちばん多いのがキジトラだそうで、確かによく見かける。うちのかふかも、キジトラだ。さらにチャトラに白が混じってれば、チャシロ、キジトラに白が混じっていれば、キジシロなんて呼ばれる。
この猫は、キジトラで白が混じってて、おでこのところがぱかっと割れてる(ハチワレという)ので、「キジシロのハチワレ」といったところか。ハチワレは、「鉢割れ」のこと。
でも、猫の色と模様って実際にはもっと複雑で、いろんな要素が混じっているからややこしい。 この猫なんか、白にキジトラが混じってる。白ベースにほかの色が混じってるのを「トビ柄」と言うそうで、この場合は「トビキジ」か。
では、この太い縞の猫の模様は何と呼ぶべきか。
この、白猫に墨で何か描いたような模様は何と呼ぶべきか。
街で出会う猫は、いろんな色や模様が混じってて、何と表現したらいいか、語彙が試されるような気になる。とある団地で見かけたクリーム色の猫を、子供たちは「ラテ」と呼んでた。なかなかいいセンスだ。
猫を撮りたくなるのは、みな個性的で、色も模様も毛の長さも性格も違うところなのかもしれない。鼻の色も目の色も肉球の色も組み合わせると、バリエーションはすごく豊富なのだ。それがいいのである。
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筆者紹介─荻窪 圭

老舗のデジタル系ライターだが、最近はMacとデジカメがメイン。ウェブ媒体やカメラ雑誌などに連載を持ちつつ、毎月何かしらの新型デジカメをレビューをしている。趣味はネコと自転車と古道散歩。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジカメ撮影の知恵 (宝島社新書) (宝島社新書)』(宝島社新書)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『東京古道散歩』(中経文庫)、『古地図とめぐる東京歴史探訪』(ソフトバンク新書)、『古地図でめぐる今昔 東京さんぽガイド 』(玄光社MOOK)。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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