足つきアバターはただのイメージだった
一方、基調講演で見せたアバターにも疑いがありました。
まず、今後のアップデートの目玉として見せられた新型アバターについてのプレゼン自体がHorizon Worldsでやっているわけではないのでは? ということですね。それらしく見せていますが、明らかに手前と観客が座っている奥が絵の雰囲気が違うので合成なのではないかと疑っています。
何よりもがっかりだったのは足ですね。
全身像のアバターとして登場したザッカーバーグ氏がジャンプをする場面があり、「おおすごい、Quest 2 のセンサーでここまでできるのか」と感心したんです。Redditでも「どうなっているんだ」という議論が起きました。
そこでUploadVRという米メディアがメタに問い合わせたところ「将来をイメージしたモーションキャプチャーです」と返事があったというんですね。つまりこのシーンは将来実現する予定のイメージ映像だったわけです。
ザッカーバーグ氏は「足がつきます!」と言って新しいアバターをアピールしていましたが、よく聞くとさらりと「来年には」と言っています。要するに「これが実現できる可能性がある」という話なわけですが、「いや、それってインチキでは?」と感じてしまいました。確かに、来年のいつかまでには一定の範囲で実現できる目処はすでに立っているのかもしれませんが、それにしてもです。
おまけに言うなら、今回のアバターが以前に比べ、ザッカーバーグ氏本人に似ているかと言われると微妙でした。画質が上がっているとは言え、このクオリティのアバターが欲しいかと言われると疑問です。少なくとも日常生活で自分を代表するアバターとして、メタアバターの新バージョンであっても、使いたいとは思える魅力を感じませんでした。
もう独自アバターの開発を続けるのではなく、いっそユーザーの一定の支持を集めているRecRoomかVRChatを買収したほうが早いんじゃないかと冗談を言われているくらいです。
この連載の記事
-
第61回
AI
画像生成AI“児童ポルノ”学習問題、日本では表現規制の議論にも -
第60回
AI
3Dアニメーション技術の革新が止まらない -
第59回
AI
政府、生成AI推進に向けて議論を加速 -
第58回
AI
画像生成AIで同じキャラクターが簡単に作れるようになってきた -
第57回
AI
日本発のリアルタイム画像生成AIサービスが熱い 大手にとっては“イノベーションのジレンマ”に -
第56回
AI
画像生成AIの著作権問題、文化庁議論で争点はっきり -
第55回
AI
動画生成AIの常識を破壊した OpenAI「Sora」の衝撃 -
第54回
AI
画像生成AI、安いPCでも高速に 衝撃の「Stable Diffusion WebUI Forge」 -
第53回
AI
日本発の画像生成AIサービスがすごい 無料アップスケーラー「カクダイV1」 -
第52回
AI
美少女イラスト、AI技術で立体化 ポケットサイズの裸眼立体視ディスプレーが人気に -
第51回
AI
“生成AIゲーム”急増の兆し すでに150タイトル以上が登録 - この連載の一覧へ