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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第10回

ザッカーバーグの焦りを感じる「アバター問題」ふたたび

2022年10月27日 16時00分更新

文● 新清士 編集● ASCII

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足つきアバターはただのイメージだった

 一方、基調講演で見せたアバターにも疑いがありました。

 まず、今後のアップデートの目玉として見せられた新型アバターについてのプレゼン自体がHorizon Worldsでやっているわけではないのでは? ということですね。それらしく見せていますが、明らかに手前と観客が座っている奥が絵の雰囲気が違うので合成なのではないかと疑っています。

プレゼンをするザッカーバーグ氏のアバター

観衆はこれまでどおり足がないアバター

 何よりもがっかりだったのは足ですね。

 全身像のアバターとして登場したザッカーバーグ氏がジャンプをする場面があり、「おおすごい、Quest 2 のセンサーでここまでできるのか」と感心したんです。Redditでも「どうなっているんだ」という議論が起きました。

アバターに「足がある」と言って、ジャンプしてみせる場面もあった

 そこでUploadVRという米メディアがメタに問い合わせたところ「将来をイメージしたモーションキャプチャーです」と返事があったというんですね。つまりこのシーンは将来実現する予定のイメージ映像だったわけです。

 ザッカーバーグ氏は「足がつきます!」と言って新しいアバターをアピールしていましたが、よく聞くとさらりと「来年には」と言っています。要するに「これが実現できる可能性がある」という話なわけですが、「いや、それってインチキでは?」と感じてしまいました。確かに、来年のいつかまでには一定の範囲で実現できる目処はすでに立っているのかもしれませんが、それにしてもです。

 おまけに言うなら、今回のアバターが以前に比べ、ザッカーバーグ氏本人に似ているかと言われると微妙でした。画質が上がっているとは言え、このクオリティのアバターが欲しいかと言われると疑問です。少なくとも日常生活で自分を代表するアバターとして、メタアバターの新バージョンであっても、使いたいとは思える魅力を感じませんでした。

 もう独自アバターの開発を続けるのではなく、いっそユーザーの一定の支持を集めているRecRoomかVRChatを買収したほうが早いんじゃないかと冗談を言われているくらいです。

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