メルマガはこちらから

PAGE
TOP

「空飛ぶクルマ」SkyDriveが日本代表、世界2位に スタートアップワールドカップ2022

ペガサス・テック・ベンチャーズ スタートアップワールドカップ2022日本予選

特集
ASCII STARTUP イベントピックアップ

1 2 3 4

 2022年、「2022 FIFAワールドカップ カタール」大会では、リオネル・メッシが悲願のトロフィーを掲げ、またドイツ、スペインといった強豪に競り勝った日本代表の活躍も大きな感動を与えてくれた。今世紀最高のワールドカップと評されたが、スタートアップ業界でもワールドカップが開催されたのをご存じだろうか?

 イーロン・マスク氏の宇宙ロケットベンチャー「SpaceX」などにも投資し、世界16拠点で24のファンド、1600億円規模の投資資産を展開しているベンチャーキャピタル、米ペガサス・テック・ベンチャーズが開催している、世界規模のスタートアップのプレゼンテーションコンテスト「スタートアップワールドカップ」だ。2022年も70の国と地域からスタートアップ企業が5万社以上応募し、各国で予選が開催された。そして、9月30日にはアメリカのシリコンバレーでの決勝には世界ファイナリスト10社が登壇し、優勝投資賞金約1億円をかけて競い合った、まさに世界最大級のビジネスピッチコンテストとなっている。

スタートアップワールドカップで日本代表のSkyDriveが準優勝

 その「スタートアップワールドカップ」の日本予選決勝が7月に開催された。日本エリアからも105社が応募し、日本予選決勝ではファイナリスト10社が参集。プレゼンテーションと審査員との質疑応答を元に、審査とSNSでの投票によってファイナリストを選出した。見事、日本代表に勝ち残ったのは「空飛ぶクルマ」を開発する、SkyDriveだ。同社は2022年9月のシリコンバレーの決勝でも見事にアメリカ、イスラエル、中国といった世界の強豪に競り勝ち、準優勝という快挙を成し遂げた。優勝はカナダ代表のsrtx社、防弾チョッキや登山用具に使用されている繊維を使った、破れないストッキングを開発、運営している。

 本記事では、2022年7月21日にグランドハイアット東京にて開催された日本予選決勝の様子をお届けする。ペガサス・テック・ベンチャーズの創設者兼CEOのアニス・ウッザマン氏が登壇、日本予選ファイナリスト10社によるピッチがスタートした。

ペガサス・テック・ベンチャーズの創設者兼CEOのアニス・ウッザマン氏

株式会社ZENKIGEN(ゼンキゲン)

 ZENKIGENは、人の持つ能力の全てを発揮するという禅の言葉「全機現」を由来とする。従業員のコミュニケーションを円滑にして熱意を持って働く従業員を増やすという課題解決に向けて、1on1の動画を解析してアドバイスするAI「revii」を紹介。属性ではなく、従業員ひとり一人の状態を分析して非活性社員を活性化して、意欲のある社員はより難易度の高い役割を与えることでより能力を生かすことができるとしている。

 AIの進化には動画データ数が重要で、同社では約200万件と国内最大規模のデータ数を有しているのが強みだと言う。

 審査員からは、プレゼンで触れられていた6兆円という市場規模についての確認があった。 代表取締役 CEOの野澤比日樹氏からは、職場のエンゲージメントを高めるという目的の中で自社のプロダクトで資することができるポテンシャルを市場規模としていると回答があった。世界でどう勝つかという質問には、人の表情や目や体の動きから感情を推定する「アフェクティブコンピューティング」は、世界でも立ち上がったばかりの領域だが、それを既にプロダクト化しているところが強みだと回答が示された。

Terra Motors株式会社(テラモーターズ)

 テラモーターズは、電気自動車向けの充電サービス「Terra Charge」を展開する。

 EV市場は拡大しており、中国での伸びが著しい。ドイツでは新車販売の3割、ヨーロッパ全体でも2割を占める。アメリカでもEVシフトが進み、日本でも各メーカーがEVへ注力し始めている。一方で、充電インフラが足りないと言う問題も表面化しているのが現状だ。

 特に日本の分譲マンションへの導入はハードルが高く、実現のためにイニシャルとランニングコストを無料とする施策を実施。充電ハードウェアを安価にしてアプリで充電量などの管理、課金するシステムとなっている。

「なぜインドで始めて、インドでの経験がどう生かされているのか?」という質問には、創業者で取締役会長の徳重徹氏は、元々日本で事業を立ち上げたがEV化が思うように進まずアジアへ進出、インドでトップになることができた。世界でも難しいインド市場の戦い方がやっとわかっていたと言うところと回答。もともと電動バイクから始まったテラモーターズが充電インフラに舵を切った理由については、プラットフォーム事業で、競争相手が少なく市場規模が大きいなど、事業としての筋が良いことを挙げた。

ラトナ株式会社

 ラトナ株式会社は、DXの導入に際して、OS、インフラ層の課題を解決するソリューションを提供している。エッジ環境上でコンテナ管理、監視、制御する技術を提供しており、製造業では工場向けAI検品システムやロボットの監視、制御、小売業向けには店内監視や顧客導線分析、カメラやマイクによる顧客分析などの実績がある。代表取締役社長 大田和響子氏が登壇し、今後航空宇宙産業や車載向けなどにも進出を予定していると語った。

 エッジセンサーやコアシステム(ハードウェア)を導入し、ソフトウェアのアップデートをサブスクリプションで提供するビジネスモデル。ユーザーにとってはイニシャルコストを抑えられラトナにとっては定期的な収入が見込めると言う。

 差別化戦略に関しての質問には、技術をオープンソース化しているので、その技術が使われて拡張することがポイントだと回答。トラクションについては、国内のみで今後国外へ拡張していきたいと締めた。

1 2 3 4

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー