AWS上のデータ/アプリケーションを移動することなくMySQL HeatWaveの分析/機械学習機能を利用
オラクル、AWS環境で提供する「Oracle MySQL HeatWave on AWS」リリース
2022年09月13日 13時00分更新
オラクルは2022年9月13日、新たなクラウドデータベース(DB)サービス「Oracle MySQL HeatWave on AWS」を提供開始した。高速な分析クエリ性能や機械学習エンジンの組み込みなどを特徴とする「Oracle MySQL HeatWave」を、AWSクラウド上でフルマネージドDBサービスとして提供する。ユーザーはAWS上にあるデータやアプリケーションを移動させることなくMySQL HeatWaveを利用できる。
日本オラクルが開催した記者説明会には、同社 MySQLグローバルビジネスユニット APAC&日本 MySQLソリューション・エンジニアリング・ディレクターの梶山隆輔氏が出席し、MySQL HeatWaveの機能特徴や、AWS環境で利用するメリット、他社のクラウドDB/DWHサービスとのベンチマーク比較によるコストパフォーマンスの高さなどについて説明した。
オラクルではこれまで、自社が提供する「Oracle Cloud Infrastructure(OCI)」において、マネージドDBサービス「MySQL HeatWave Database Service」を提供してきた。商用版の「MySQL」と分析クエリを分散並列処理で高速化するアクセラレーター(MySQL HeatWave)を組み合わせ、1つのデータベースに対してトランザクション処理(OLTP)、リアルタイムな分析処理(OLAP)、機械学習(ML)といった多様なデータ処理を実現するサービスだ。
また、このHeatWaveの運用を自動化する「MySQL Autopilot」機能も追加コストなしで提供している。HeatWaveクラスタのプロビジョニング、各ノードへのデータのロード、処理の並列度のチューニング、最適なシェイプ(インスタンスサイズ)の選択といった作業について、機械学習技術の適用により自動化/アドバイスすることで、DBアーキテクトの運用業務を支援する。
さらにオラクルでは、MySQL HeatWave Database Service他社のクラウドDB/DWHサービスと比較した場合の、分析クエリにおけるコストパフォーマンスの高さもアピールしている。
今回発表されたMySQL HeatWave on AWSは、このMySQL HeatWaveをオラクルがAWS上でホストし、提供するマネージドサービスとなる。機能面ではOCI版のMySQL HeatWave Database Serviceと同じで、継続的な最新版へのアップデートもOCI版とほぼ同時に行われる。パフォーマンスについても、AWSのインフラに対する最適化を行っているため「基本的には(OCI版と)同じような性能が出る、目立った差は出ないはず」(梶山氏)だという。「ただしインフラ周りのコスト面ではOCIが優位であり、同じコストで処理を行うならばOCI版のほうがコストパフォーマンスは高い」(同氏)。
MySQL HeatWaveがAWS環境で提供されることで、すでにAWSでアプリケーションを構築したり、データベースを保管したりしているユーザーは、それらをAWSからOCIに移動させることなく、AWS環境に統合されたかたちでMySQL HeatWaveが利用できることになる。
「すでにAWSでアプリケーションを作り込まれている顧客からすると、HeatWaveは使いたいけれど、DBだけ別のクラウドに持つというのは障壁がある。AWS環境内でHeatWaveを提供することにより、データ転送量(エグレスコスト)の抑制、データ移動に対するコンプライアンス関連の課題回避、HeatWaveアクセス時のレイテンシの最小化といったメリットが得られる」(梶山氏)
さらに梶山氏は、MySQL HeatWave on AWSと競合するクラウドDB/DWHサービス(Amazon Redshift、Snowflake、Google BigQuery、Azure Synapse)のベンチマーク比較データも示した。同じAWS上のサービスであるAmazon Redshiftとの比較でも、高速性能とコストパフォーマンスの両面で大きな優位性を示している。