Dropboxがオンラインイベント開催、フリーランス協会代表などが出席して魅力と課題を語る
フリーランスが「自由さ」を享受しつつトラブルを回避する方法とは
パネルディスカッション:「自由さ」を享受しつつトラブルを回避するためには
パネルディスカッションではフリーランス協会 平田氏に加え、フリーランスからの法律相談を無料で受け付ける「フリーランス・トラブル110番」の事業責任者であるひかり総合法律事務所 弁護士の山田康成氏、女性起業家のためのコミュニティ運営や成長支援プログラム開発を行うmeetalk代表取締役社長の山中直子氏も参加して、フリーランスという働き方についての議論が行われた。モデレーターはDropbox Japan 代表取締役社長の梅田成二氏が務めた。
最初のテーマは「フリーランスの魅力と課題」について。Dropbox梅田氏によると、最近同社で行った調査ではフリーランスの7割近い人が「転職やキャリアチェンジを考えていない」と回答した。この割合は会社員よりもかなり高く、そうした魅力はいったいどこにあるのかと梅田氏は尋ねる。
平田氏は、フリーランス協会が行ったコロナ以後に行った調査でも同様の結果が出ているとしたうえで、フリーランスの魅力を「魂が自由」という言葉でまとめる。「誰とどこでどんなふうに働くか、何をなりわいにするかを自分で決められるというのは、すごく豊かなことだなと思います」(平田氏)。
山中氏もその言葉に同意しつつ、仕事を進めるうえで「自分の好きなチームが組める」ことも魅力だと語った。「引き受けた仕事の予算管理が自分になるので、ここは外注しよう、ここはこういうデザイナーさんに発注しようなどと工夫できる。もちろん会社員でもそれができないわけではないが、それが確実に自分でできるというのは良いところだと思う」(山中氏)。
平田氏、山中氏が語るように、フリーランスという働き方の本来の魅力は「自由さ」だろう。ただし、山田氏の携わるフリーランス・トラブル110番に相談に来る人には「そうした自由が確保されてない」フリーランスが多いという。実態としては企業労働者と変わらないものの、労働基準法などで保護されないフリーランス(個人事業主、業務委託)の位置づけで仕事を「発注」されるというものだ。山田氏は「これは社会全体で考えないといけない問題」だとくぎを刺す。
「もうひとつ、たしかに働き方も時間も自由かもしれないけれど、心理的にその発注者(特定の会社)に縛られていて、だから強いことが言えない、契約条件で自分の要望を言えないという方もいる。平田さんがおっしゃった“フリーランスとして働く覚悟”を持って、自分で自分の値段を決めて交渉する、仕事をする前に話し合うことをやっていかないと、のちのちトラブルになることがある」(山田氏)
企業との契約をめぐるトラブルについては、平田氏も山中氏も「報酬未払い」を体験したことがあるという。
「そもそも契約書が存在しない、口約束で仕事をしているフリーランスの方はすごく多い。たとえばコロナ禍でイベントの自粛要請が出たときに、それまで何カ月も自腹で仕込んできたのに電話1本でキャンセルと言われ、収入がなくなったというケースが多く見られた。現在議論が進んでいる“フリーランス新法”は、契約条件を事前に明示的に合意してエビデンスを残すということをしっかりルール化してほしいと求めてきたもの。こうした法律が整備されることで、口約束で言った言わないでもめることがなくなってほしい」(平田氏)
山田氏は、こうしたトラブルの相談ができるのがフリーランス・トラブル110番であり、電話だけでなくメール、対面、Web会議でも無料相談ができるので、ぜひ気軽に利用してほしいと話した。
同パネルディスカッションではそのほかにも、フリーランサーとしての継続的なスキルアップの方法などが話し合われた。
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なおDropbox Japanでは同日、「日本リスキリングコンソーシアム」への参画を発表している。同コンソーシアムは、労働人口の減少や地域産業格差、企業規模によるデジタル格差、デジタル人材不足といった日本社会の課題解消を目的として、国や地方自治体、民間企業が一体となって幅広いリスキリングプログラムを提供していくことを目的としている。参加団体数は8月1日現在で63団体。
Dropboxでは、リモートワークを中心とする新しい働き方のナレッジを集約した「バーチャル・ファースト・ツールキット」を公開しているが、リスキリングコンソーシアムへの参画を通じて、このツールキットを学びやすいプログラムとして提供していくとしている。
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